警視庁本部=東京都千代田区 大川原化工機を巡る訴訟で上告を断念した警視庁は11日、捜査の問題点を洗い出す検証チームの設置を明らかにした。検察当局も、最高検が検証して結果を公表すると表明。双方とも検証結果を待たず同社の大川原正明社長らに直接謝罪する意向を示した。
「多大なご心労、ご負担をおかけしたことについて深くおわびを申し上げたい」。訟務課を所管する警務部の菅潤一郎参事官は同日、同庁本部で謝罪を表明した。
検証チームは副総監をトップとして監察部門や公安部員ら計13人で構成し、東京高裁判決で指摘された法令解釈や取り調べなどの問題点を検証する。取りまとめ時期は「できるだけ早く」とし、結果は公表するとした。
大川原社長らはこれまで、警視庁や検察に謝罪と検証を求めていた。
同席した中島寛公安部長は、直接の謝罪先として原告の大川原社長や元役員島田順司さん、勾留中に判明したがんで亡くなった元顧問相嶋静夫さんらを挙げ、「先方の希望もあるが、できるだけ早く実施したい」と話した。一方、現段階での捜査の反省点については「緻密かつ適正な捜査が不徹底だった」と述べるにとどめた。
東京地検の新河隆志次席検事も同日、報道陣の取材に応じ、おわびを表明。「一審に続いて公訴提起が違法と判断されたことを真摯(しんし)に受け止めている。控訴審の判決を覆すことは困難だと判断した」と上告断念の理由を説明した。最高検の山元裕史次長検事は、自身が責任者となり、最高検公安部を中心に検証する方針を明らかにした。