
私が担当している管理職研修では、参加者から「部下同士の仲が悪いんです」といった悩みが吐露されることがよくあります。
仲が悪くても仕事が回っていればいいのですが、組織の雰囲気を悪くし、組織成果にまで悪影響を及ぼしてしまっては放置しておくわけにいきません。
そこで今回はこうした状況に対して管理職ができる“3つの行動”をご紹介していきます。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
喧嘩になる理由は、深層心理にある「自己重要感」と「恐れ」
そもそも、部下同士の仲違いはどうして起きるのでしょうか。人は誰でも、「自分のことを大切な存在だと他人からも思われたいし、自分自身でも思いたい」という欲求を持っています。これを「自己重要感」と呼びます。
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自己重要感が満たされず、「自分には価値がないのかもしれない」と感じるようになります。すると、無意識の不安や恐れが生まれ、他人を攻撃して「自分は相手より上」と安心感を得ようとするのです。部下のいがみ合いの背景には、自己重要感の問題があることが多いです。
管理職としては、いかにして部下の自己重要感を満たし、恐れを克服させるか、がポイントになります。
部下同士の仲が悪い状況を「組織課題」と捉える
部下同士の対立を2人の問題だからと “見て見ぬふり”は管理職としてNGです。なぜなら部下の自己重要感が下がっている原因が組織にあるかもしれないからです。部下の問題行動は組織の課題として捉え、積極的に対処していきましょう。
具体的にどうすればいいのでしょうか。以下の3つのステップで進めていくのがおすすめです。
【ステップ1】1on1面談で仕事の不満を聞き出す
仲の悪い部下それぞれに1対1の面談をしていきましょう。喧嘩になっている理由についても具体的に聞いていきますが、現在の仕事に対して満足している部分、不満足な部分を聴取していくことが大切です。不満足な部分が、その人の自己重要感を下げてしまっている理由になるかもしれないからです。上司が内容を具体的に傾聴し克服できる支援ができれば、その部下の自己重要感が高まって問題行動は減っていくと思われます。
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【ステップ2】職場で「ポジティブな声かけ」を増やしていく
組織メンバーの自己重要感を高めるためには、人の話をしっかり聴き、挨拶・感謝・労いの言葉が多く飛び交うカルチャーを作っていく必要があります。管理職や先輩社員が上位下達的に指示ばかりしていないか、「お疲れ様」「ありがとう」といった言葉が飛び交っているかどうかを確認し、足りない部分に対しては、管理職として施策を打っていきましょう。
1ON1面談を定期的に開催するとともに、管理職自身が積極的に上記のようなポジティブな声かけをしていくことが大切です。
【ステップ3】チームの心理的安全性を高め、当事者意識を育くむ
部下同士の争いを無くすためには、部下間の信頼関係を育くみ、心理的安全性のある組織を作っていく必要があります。そのためには、組織全体での対話の場を持つことがおすすめです。
管理職がファシリテーターとなり、組織の課題や方針について部下全員と対話する場を展開しましょう。部下全員が、組織の状況に当事者意識を持ち、自らの行動を変えることができれば強い組織になっていきます。
管理職が積極的に関与すれば、自身の成長にも繋がる
部下同士の対立は頭の痛い問題です。最悪、喧嘩をしている者同士の仕事の接点を物理的に無くすといった方法も考えられますが、その前に、本日の内容を参考にしてみてください。
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組織の問題に管理職が積極的に関与すれば、組織がより良くなるだけでなく、管理職自身の成長にも繋がっていきます。自身のそんな成長を楽しみながら、様々な組織の課題に向かっていってください。応援しております。