裁判長は「違憲」警鐘も 性風俗除外「合憲」判決の裏に見える配慮

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2025年06月16日 21:14  毎日新聞

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毎日新聞

最高裁での合憲判決を受けて記者会見する原告側弁護団=東京・霞が関の司法記者クラブで2025年6月16日午後4時42分、猪飼健史撮影

 新型コロナウイルス対策の持続化給付金などの支給対象から性風俗事業者を除外した国の規定を「合憲」とした16日の最高裁判決は、公金が原資となっている点を重視し、行政側の裁量の逸脱を認めなかった。ただ、裁判官の個別意見に目を向けると、職業差別を容認するような誤ったメッセージとならないよう配慮した形跡がうかがえる。


 国は訴訟で「性風俗事業者に対する給付金支給は国民の理解が得られない」と主張し、1、2審判決は「国民の理解」を重視した。これに対して無店舗型性風俗店(デリバリーヘルス)を運営する原告側は「根拠がない」と強く反発していた。


 最高裁判決からは「国民の理解」という言葉は消えた。代わりにデリバリーヘルスの風俗営業法上の特徴を精査し、公安委員会への「届け出制」にした上で規制を課して善良な風俗環境の確保を図る法的位置づけから合憲判断を導いた。


 一方、違憲の反対意見を述べた宮川美津子裁判長は、法的位置づけを考慮してもデリバリーヘルスの除外は新型コロナで苦しむ事業者を広く救済しようとした給付金の趣旨と整合しないとした。「社会的に見て劣位に置かれているという印象を与える恐れがある」と警鐘も鳴らした。


 「合憲」の多数意見に加わった安浪亮介判事も補足意見で、同様に「性風俗事業者を劣位と評価したものではない」と念を押した。


 原告の運営会社で代表を務める30代女性は判決後の記者会見で「真面目に休業要請に従い、納税をしているのに社会の一員と認めてもらえなかった。これが人権を守る裁判所の判断なのか」と涙ながらに憤った。


 原告代理人の亀石倫子弁護士は、宮川裁判長が反対意見を付けたことを評価し、「職業で差別されない社会になってほしい」と述べた。【安達恒太郎、巽賢司】



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