2024年だけでも“1,433件”発生…「土砂災害」の危険性と身を守るためのポイントを専門家が解説

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2025年06月16日 21:30  TOKYO FM +

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杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。6月15日(日)の放送テーマは「土砂災害 日頃の備えと早めの避難」。国土交通省 砂防計画課の平澤良輔さんから、土砂災害の特徴や対策を伺いました。


(左から)杉浦太陽、平澤良輔さん、村上佳菜子



◆土砂災害の発生件数が近年急増

6月に入り、雨の日が増える季節がやってきました。梅雨時期や台風シーズンでは、土砂災害が多く発生します。土砂災害は、大雨や地震などが引き金となって土砂が急激に動き出す自然災害で、主に「がけ崩れ」「地すべり」「土石流」の3つに分類されます。

【がけ崩れ】
雨や地震などの影響によって土の抵抗力が弱まり、急激に斜面が崩れ落ちる現象。

【地すべり】
地下水などの影響により、斜面の広い範囲の地面がゆっくり下に滑り落ちる現象。

【土石流】
山や谷などの土砂、石の一部が、長雨や集中豪雨などによる大量の水とともに一気に下流へ押し流される現象。

日本は傾斜が急な山や谷、崖が多く地震や火山活動も活発です。そのうえ、台風や大雨などに見舞われやすい気象条件のため、土砂災害が発生しやすい国と言われています。

さらに、近年は地球温暖化の影響で大雨が頻繁に降るようになり、線状降水帯(積乱雲が線状に次々に発生して、ほぼ同じ場所を通過もしくは停滞し続ける自然現象)による集中豪雨のニュースもよく耳にするようになりました。国土交通省の調べでは、2024年だけでも1,433件の土砂災害が発生し、直近10年間の土砂災害件数は、それ以前の10年間と比べて約1.3倍に増加しています。

2024年は、47都道府県のうち茨城県と岡山県をのぞく45の都道府県で土砂災害が発生。亡くなった方は56名にのぼり、特に石川県は2024年1月に能登半島地震が発生し、同年9月は輪島市、珠洲市、能登町で大雨による被害で49名が亡くなっています。

◆土砂災害から身を守るために…

土砂災害は、他の自然災害と比べて死者や行方不明者の割合が高い傾向にあります。平澤さんは「要因はいろいろ考えられますが、1つは土砂災害ならではの特徴があるからです。土砂災害は、津波や洪水などに比べて突発的に発生するうえに、非常に速いスピードで土砂や石、岩を巻き込んで家屋を破壊してしまいます。そのため、人的被害が発生しやすいです」と説明します。

さらに、土砂災害は屋内で被災する割合も他の災害に比べて高い傾向にあります。「土砂災害の危険が高まっていても、その兆しを目で見て確認するのは難しいです。洪水の場合、川の水位が上がってきているのを見て避難の判断をすることができますが、土砂災害は地面のなかの状況が外からはわかりにくいため、避難のタイミングがつかみにくいです」と解説します。

土砂災害は雨の量や地形、地質など複数の要因が影響するため、発生を精度高く予測することは困難です。ただし、被害を受ける可能性がある場所は、過去の土砂災害の事例から、地形的な推定がある程度可能です。

そこで重要になるのが、土砂災害のリスクが高い場所を示した“ハザードマップ”です。「土砂災害から身を守るためのポイントは『事前の備え』と『早めの避難』です。事前の備えとして、ハザードマップで自宅や勤め先、よく利用する場所の近くに土砂災害警戒区域がないかを確認しておきましょう」と平澤さん。

土砂災害警戒区域は崩壊などが発生した場合、住民などの命や体に危害が生じる恐れがあると認められる区域を指し、2024年末時点では全国に約70万区域が指定されています。なお、この数は基礎調査を実施したうえで公表されているので、調査が進めばさらに更新される可能性があります。

そして、土砂災害に備えて避難先までの安全な経路の確認も必要です。「土砂災害警戒区域以外でも土砂災害が発生する可能性があります。付近に崖や小さな沢などがあれば注意してください。そうした情報を共有するためにも、事前の備えとして地域の防災訓練に参加し、ご近所の方々とコミュニケーションを取っておくことも大切です」と言います。

◆情報収集と高い防災意識が命を守る

続いて“早めに避難するためのポイント”を伺いました。雨が降り出したら、まずは土砂災害警戒情報に注意してください。sは、大雨により土砂災害の発生リスクが高まったときに、都道府県と気象庁が共同で発表する防災情報です。気象庁や各都道府県の砂防課のWebサイトで確認できるほか、テレビやラジオの気象情報でも発表されます。今いる場所で土砂災害警戒情報が発表されたら、市町村からの避難指示に従って避難してください。

また、平澤さんは「市町村からは、土砂災害警戒情報の発表よりも早い段階で、ご高齢の方など避難に時間がかかる方に向けて発表がされますので、この段階で、近くの避難所など安全な場所に避難してください。それ以外の方も、大雨のときは早めに避難の準備をおこない、危険を感じたら自主的に避難することを心がけましょう」と呼びかけます。

一方で“自分だけは大丈夫”と思い込み、災害発生の危険を過小評価する「正常性バイアス」に陥る人も少なくありません。「自分にとって不都合な情報を深刻に受け取らず“前も大丈夫だったから今回も平気”などと考えて、避難が遅れてしまうことがあります。しかし、前も大丈夫だったからといって今回も安全とは限りません。土砂災害から身を守るためには、最悪の事態を想定して早めに避難する。この心構えが必要です」と指摘します。

「早めの避難」のためには防災意識の向上が求められます。そのために、日頃から地域の防災訓練に参加するなど、もしものときの避難行動をリアルに感じることが大切です。

最後に平澤さんは「防災意識を高めるために日頃からできることはたくさんあります。6月は土砂災害防止月間でもあり、避難訓練を実施している自治体などもあります。この機会にぜひ避難訓練に参加したり、ハザードマップを見返したりしてみてください。土砂災害から身を守るためには『日頃の備え』と『早めの避難』です」とあらためて注意喚起しました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「土砂災害から身を守る方法」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず村上が挙げたのは「情報収集をすれば、早めに避難しなければならないことが分かりますから」と言い“情報収集をして早めの避難を”とスケッチブックに書きました。一方、杉浦は“ハザードマップで事前の備えを”と書き、「土砂災害について詳しく知りたい方は、国土交通省Webサイトの『砂防』のページをご覧ください」とコメントしました。


(左から)杉浦太陽、村上佳菜子



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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm

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