夢をかなえた試合を振り返ったイチロー (C)ORICON NewS inc. 元メジャーリーガーのイチロー氏が20日、大阪・関西万博で開かれた「『PEACE FOR ALL』3周年記念トークセッション第2弾『好きなことを見つけて扉を開こう』」に出席し、野球人生で印象に残った試合を明かした。
【写真】かわいい!イチロー氏デザインのTシャツ 今年で3周年を迎える、ユニクロのTシャツ「UT」を通じ、平和のためにアクションする『PEACE FOR ALL』プロジェクトに、新たにイチロー氏と俳優の役所広司がコラボレーターとして参加。それぞれがデザインしたTシャツが、万博の国連パビリオンで先行発売、20日から全国で販売される。
イチロー氏がデザインに参加したTシャツは、真ん中に一つの扉のイラスト。「好きなことを見つけてとにかく、その扉を開いて、一歩進み出してほしいという思いでデザインした」との込めた思いを紹介。さらに、どっちに開くのか分からないようになっている絵についても「意味があって」と言い、「若い人たちには恐れることなく、どんと押してほしい。そして、人生経験のある人には覗きながら、考えながら一歩踏み出してほしい」と話した。
イベントには、近畿大学附属高等学校をはじめ約100人の学生が参加。代表する高校生と大学生3人が登壇し、イチロー氏とトークセッションを行った。さらに、政治や経済の混乱、食料難などによりペルーで暮らすベネズエラ難民の野球少年が動画で登場した。
そんな野球少年から、今までで一番の試合を聞かれたイチローは「たくさんしてきましたからね。一つをあげるのは難しいんですけど…」と思案しつつ、2019年の引退試合をあげた。「球場の360度が“あ、僕のこと応援してくれてたんだ”って。スタジアム全体が通常そうなることはありえないこと、敵と味方がいるので。野球選手としての一つの夢だったんですね。球場全体から応援してもらえるって。そんなことは不可能だと思ってた。それが最後の試合で、そう感じるような終わり方だった」としみじみ。
「あの終わり方なしに、その後の僕があっただろうかと考えると…2019年3月21日の引退試合は外せない試合」と語った。そう語るイチローの目はうるんでいるようだった。