【クラブワールドカップ】リーベルプレートの選手たちが語る浦和レッズ戦 「彼らは守備を固めなかった」

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2025年06月20日 18:20  webスポルティーバ

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 クラブワールドカップで日本の浦和レッズが、アルゼンチンのリーベルプレートに1−3で敗れた。試合後、リーベルの選手たちに率直な感想を聞いてみた。

 まずは後半途中から出場したピティことベテランMFのゴンサロ・ニコラス・マルティネス。

「浦和の持つポテンシャルに驚いた。勇敢だったし、何より自分だけでなく仲間にもプレーさせることができるチームだと感じた。これはとても大事な資質だ。だからこそ、彼らはここにいるし、世界で戦うにふさわしいチームだと思う。正直に言うと、この試合は彼らにとってもっと難しいものになると思っていたんだが、我々にとっても難しい試合だった。彼らは我々を苦しめ、疲れさせた。暑さもピッチのコンディションもひどかったしね。でも最適なタイミングでゴールを取れたことが、リーベルの勝利につながった」

「2−1とされた時が一番、冷や汗をかいた」とはリーベルのコロンビア人CFミゲル・ボルハの言葉だ。

「彼らに同点にされるのではないかと焦ったよ。頭から冷たい水をかけられた気分だった。僕たちはこの初戦でどうしても勝たなければいけなかったからね。2−0の時は、僕らは落ち着いていて、これは勝てると感じていたのに、浦和は1点を取ると急に活気づき、ボールを持つようになり、リーベルのDFを脅かし始めた。これは驚きだったよ」

 そしてこう付け加えた。

「後半、同点にされていたら、僕らはより困難になっただろう。とにかく浦和の持つ強さが気に入った。特にアタッカーはすごく攻撃的でよかったね。彼らのような難しいチームに勝つことができたおかげで、今後の試合には自信を持って臨むことができそうだ。その点でも初戦でいい戦いをしてくれた浦和には感謝している」

 イタリアやスペインでのプレー経験もあるDFのヘルマン・ペッセッラは「難しい試合だった」と感想を語る。

「浦和はすごくスピードがあり、パスをよく通し、我々よりも早く簡単にスペースを制していた。リーベルはこの点をもっと改善しなくてはいけないと気づかされた。浦和の強みは中盤とFWで、何人かの選手はすばらしい動きと戦術的なセンスを持っていた。特にあの金髪の選手(松尾佑介)はよかったね。あと(サミュエル・)グスタフソンも。チーム全体が闘志を持っていて、これから彼らと対戦するチームは厄介に感じると思う。1点を返されあと、彼らと戦うのは大変だった」

【浦和の守備の脆弱さを指摘】

 一方、MFイグナシオ・フェルナンデスの意見はちょっと違った。

「リーベルプレートにとってこの試合は重要だった。ある時間帯、浦和は我々に好きなようにプレーさせてくれて、おかげでいろいろな動きを試すことができた。それにしても浦和のプレースタイルには少し驚かされた。なぜって我々に好き勝手にやられている時も、彼らは守備的にはならなかったからね。普通、弱いチームは守備を固める。彼らがそうしていたら我々にとって難しい試合になっただろう。でも、彼らはゴール周りを固めなかった。

 実は試合前、我々はカテナチオのチームと戦う覚悟だった。でも実際にピッチで見たのは、もっとオープンなチームで、簡単に3ゴールを決めることができた。浦和にはリスペクトを持っているけれど、正直、難しい試合ではなかったね。今後の試合に向けてのテストマッチという感じだったし、僕自身も100%の力を出す必要はなかった。初戦で彼らに当たったのはよかったよ。いろいろ調整することができた」

 後半から出場したFWのジュリアーノ・ガロッポは浦和のサポーターが印象的だったようだ。

「こんなにすごいサポーターが彼らにいるとは思っていなかった。満員のスタジアムでプレーすることには慣れているが、彼らは90分間、途切れることなくずっと自分のチームを鼓舞し続けていた。もちろんリーベルのサポーターもすばらしかったが、日本人の熱さに驚かされたよ。これはチームにとって大きな力になると思う」

 アルゼンチンの主要メディアの記者たちとも話をしたが、彼らが共通して指摘していたのが、浦和の守備の脆弱さだった。

 アルゼンチンメディアはこの日のリーベルの出来には満足していない。3ゴールのすべてが浦和DFの未熟さから生まれたもので、リーベルの組み立てから生まれたものではなかったからだ。3点を取れたのは、ひとえに日本のゴール周辺が甘かったらにすぎない。一方、浦和の攻撃については、「危険だが詰めが甘い」という印象を与えたようだ。

【海外メディアに好評だったグスタフソン】

 浦和の選手のなかで、世界から来ているメディアにフレンドリーだと好評だったのがグスタフソンだ。海外メディアに対して彼が語った試合の分析は、インテリジェンスを感じさせた。

「リーベルより浦和が劣っていると感じたところはひとつもない。選手もそろっていたし、ボールも足元にあった。相手を恐れてもおらず、互角に戦えると信じていた。しかし、何かが足りなかった。今日の浦和は100%でなかったし、僕が知っている浦和でもなかった。失点はすべて我々のミスだ。だが少なくともこの試合でチームを目覚めさせることはできたかもしれない。前半の浦和は眠っているようだったが、後半はずいぶんよくなってきた。僕たちはここに遠足にきたわけじゃない。何がいけなかったのか、どうすればいいかをこのあと皆で話し合いたい。次の2試合は絶対に勝たなくてはいけないから」

 試合を見た筆者の感想はいたってシンプルだ。とにかく浦和のディフェンスは弱かった。

 GKの西川周作は優秀で、失点は彼のせいではなかったが、それでもタイミングがずれているところが見られた。SBの石原広教は対峙するマルコス・アクーニャにいつもおいていかれ、チームを助けていないように見えた。またCBのダニーロ・ボザはマークが緩く、相手アタッカーを自由にし、背中を見せていた。正直、1点目と3点目の失点は彼のせいだったと思う。一方、2点目の失点はマリウス・ホイブラーテンのミス。彼はいつも競り負けてボールを相手に渡していた。彼らがいつもJリーグでどんなプレーをしているのかは知らないが、世界で戦うにはこんなCBでは通用しない。

 長沼洋一は、フランコ・マスタントゥオーノとの戦いには敗れていたが、攻撃には貢献していた。浦和のMVPはグスタフソンだったと思う。彼にはしっかりとしたプレーのビジョンがあり、チームを引っ張っていた。もうひとり、私の興味を引いた選手は金子拓郎だ。彼のシュートはすばらしかった。マテウス・サヴィオは、前半はひどかったが、後半に入ってからは調子を上げ、チームにバランスを与えていた。そんな選手をなぜ交代させたのかは謎だった。

 また、松尾は何度か相手を脅かし、サヴィオ、グスタフソンとともにチームを支えていた。チアゴ・サンタナは後半途中から入るとすぐに活躍していた。彼のような強靭な選手をなぜ最初から使わなかったのか、これも謎だった。

 リーベルとの実力差は大きく、その差は3−1以上だったと思う。しかし、浦和のDFがもう少しタイトで誠実であったなら、また別の結果になっていたのではないかとも思う。

 浦和はこうした世界的大会の初戦での戦い方をわかっていないような気がした。最初の試合ではなにがなんでも負けないことが大事になる。そうでないと、そのあとの試合はより厳しいものとなってしまう。リーベルは浦和にとって格下のチームではない。率直に言って、南米の強豪相手にはもっと守備的なプレーで挑むべきだった。少なくとも45分間は引き分けに終わらせるべきだった。これで浦和の今後は厳しいものとなってしまった。

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