フィギュアスケート女子で22年北京五輪団体銀メダル、個人銅メダルの坂本花織(25=シスメックス)が20日、26年ミラノ・コルティナ五輪シーズンとなる来季限りで現役引退すると表明した。20日、神戸市内に誕生した新たな練習拠点「シスメックス神戸アイスキャンパス」のオープニングセレモニーで演技を披露。引退後は、かねて熱望していたコーチ転向を予定している。集大成となる3度目の五輪では、個人と団体ともに銀メダル以上を狙う。
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坂本には最後のシーズンを駆け抜ける覚悟がある。真新しいリンクでのエキシビション演技。同門の4人で滑りを披露し「地元に通年リンクができて、この上なく整った環境。五輪に向けて準備は整ったので、あとは自分がやるだけです」とほほ笑んだ。昨季から「2年でひとくくり」と26年五輪を集大成とし、来季がラスト1年と決めていた。
「自分の競技人生は1年を切っている。次の(30年五輪に向けた)4年は不可能かなと考えました。中途半端に2〜3年やるよりも、いい区切りと思います」
神戸で生まれ、愛する港町で育った。スケートを始めた4歳から現在まで中野園子コーチ(72)の指導を受け、18年平昌大会から五輪2大会連続出場。22年北京五輪では2つのメダルを獲得し、同年から世界選手権3連覇、21年から全日本選手権4連覇中と国内外のフィギュア界をけん引してきた。来季の新ショートプログラム(SP)はブノワ・リショー氏(37)が4季ぶりに振り付けた「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」。フリーは憧れの鈴木明子さんが14年ソチ五輪シーズンで舞った「愛の讃歌」を自ら選び、マリーフランス・デュブレイユさん(50)と4季連続で作り上げた。
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「SPは『さようなら』ではなく、次の自分に向け、次に進むためのプログラムです。フリーは自分が引退するシーズンで『絶対にこの曲を使いたい』と思っていました。前後2曲とのメドレーみたいな形です」
競技引退後はコーチとして後進育成を志す。最後の1年へ懸ける思いは強い。
「五輪の団体も個人も、銀(メダル)以上を取れたら目標達成です。神戸から世界に羽ばたく選手を、さらに出していければと思っているので、まずは現役の間にできることをやりたい。結果を残して、ちょっとでも注目を集められるように頑張りたいと思います」
限りある競技生活に、悔いは残さない。【松本航】
○…神戸唯一の通年型リンクは、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルエリア「HAT神戸」(中央区)の一角に生まれた。アイスホッケーのプロチーム「スターズ神戸」の練習拠点にもなり、坂本は「周りにたくさんの子供がいる。真夏に涼みに来てもいいし、いろいろなきっかけでリンクを訪れて、本格的に始める子がいてくれたらいいなと思います」と願いを込めた。
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この日は坂本をはじめ、4大陸選手権金メダル2個の三原舞依、3月の世界選手権に出場した壷井達也、22歳の三宅咲綺が4人での演技を披露した。三原は「練習をたくさん積めるリンクを作ってくださって、感謝の思いでいっぱいです」と笑顔を見せ、神戸大を休学した壷井は「本当にスケート一本でやっていきたい」とミラノ・コルティナ五輪を目指す。
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