漫画のような出来事は漫画の中でしか起きない、と思われているかもしれない。Xに5月中旬に投稿された『お気に入りの銭湯で知らない人に話しかけられて困った話』は、決して派手ではないが、これはこれで“漫画らしい”日常の出来事を切り取ったエッセイ漫画だ。
参考:【エッセイ漫画】『お気に入りの銭湯で知らない人に話しかけられて困った話』を読む
銭湯に行きたくなり、さらには何気ない日常が恋しくなる本作。作者・緑丘まこさん(@makoishappy777)に、制作している時の心情などを聞いた。(望月悠木)
■話しかけられた時の心境は
――今回『お気に入りの銭湯で知らない人に話しかけられて困った話』を制作した理由は?
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緑丘:銭湯で実際にあった本当に何気ない出来事だったのですが、個人的に日記に残しておきたい気持ちになったので描きました。
――他のエッセイ漫画も同じかもしれませんが、本作を描く際は当時の記憶を思い出しながら制作したのですか?
緑丘:エッセイ漫画は「後から描きたいな」と思うことが多く、基本的には記憶をたどりながら制作します。ただ、「漫画のネタになるかも」と思うような出来事があると、すぐにメモをとります。また、旅漫画の場合、旅をする最初から「漫画にしよう」と決めていることが多く、旅行中にまめにメモをとったり写真を撮ったりします。
――本作は言ってしまえば銭湯で“ダル絡み”された内容でした。ただ、ご婦人を悪者にすることはなく、終始和やかな世界観が徹底されていましたね。
緑丘:銭湯での出来事があったあの時を振り返ると、ほっこりした気持ちのほうが大きかったからこそ、漫画の中で毒づく表現にならなかったのだと思います。もしモヤモヤやイライラなど負の感情が大きければ、作品も和やかな空気にはならなかったかもしれません。
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――出来事に対する心情で雰囲気が変化すると。
緑丘:とはいえ、「できるだけ読後感のいい、自分も読んでくださる人もほっこりする漫画を描いていたい」という気持ちもあります。
■銭湯の魅力
――制作している時はどのような気持ちで描き上げていったのですか?
緑丘:話しかけてくるご婦人の水風呂での笑顔が浮かんでいました。私も銭湯が大好きで、よく救われているのですが、「嫌なことも悲しいことも汗と一緒に流せる銭湯って、やっぱりすごいな」と、しみじみ感じながら描きました。
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――銭湯への魅力だけではなく、感謝の気持ちもつまった作品なのですね。
緑丘:はい。もちろん、銭湯に行けば必ず救われるわけではありません。ただ、「私にとっても、きっとそのご婦人にとっても銭湯って生きていくなかで大きな存在になっているんだな」と感じます。
――サウナ内のテレビ番組など、細かいところまで描写していましたが、情報を入れすぎると情報過多になって読者の負担になりそうですが。
緑丘:特にあまり深く考えずに描いていました。自分の日記のような漫画なので、印象に残ったことを中心に描いた感じです。
――今後はどういった作品を制作していく予定ですか?
緑丘:今後は、現在描いている途中のシリーズ漫画をすべて完成させることが目標です。幼少期に母子家庭施設にいた時のことを描いた『夜逃げして母子家庭施設に入居した話』、『初めてのワーホリが甘くなかった話』を描き上げたいです。また、過去に描いたエッセイ漫画も、kindleに多数まとめています。ほとんどの作品が無料なので、ぜひ読んでもらえると嬉しいです。
(C)緑丘まこ
(文・取材=望月悠木)
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