
30代の男性Aさんはアパートで一人暮らしをしています。日中は仕事で家にいないため、帰宅した際に郵便物を確認します。ある日帰宅すると、ポストから郵便物がはみ出ており、端が少し折れ曲がっていました。端が少し折れた郵便物を見て、Aさんは若干不快に感じるものの、「この程度ならいいか」と思い直します。
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しかしある時、「折り曲げ厳禁」と書かれているにも関わらず、しっかりと折り曲げた状態で入れられた郵便物を発見し、遂にAさんは我慢の限界を迎えました。翌日、担当の配達局に抗議の連絡したところ「今後から気を付けるよう指導します」と謝罪をしてもらいました。
Aさんの怒りはある程度収まりましたが、「今後も同じようなことが起きるかもしれないと考えるのではないか」と考えてしまいます。このような場合、法的責任を問うことはできるのでしょうか。弁護士の正木絢生さんに聞きました。
「折り曲げ厳禁」の責任はどこまで有効か
ー「折り曲げ厳禁」の文言があったにも関わらず折り曲げられた場合、配達した人や配達会社に対して法的責任を問えるのでしょうか
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場合によっては損害賠償をしてもらうことが可能です。例えば一般郵便物(手紙)ではなく一般書留やセキュリティサービスのついている配送サービスを使用する場合は、損害賠償制度が付属しております。また配達会社に郵送依頼をした場合も、損害賠償制度は付属しています。
逆にいうと、ポストに投函するような一般郵便物は損害賠償制度の対象外です。そのため、大切な書類などを送る際はポストに投函するのではなく、書留や配達会社の郵送サービスを利用することをおすすめします。
ーそれでは「折り曲げ厳禁」と書いても意味がないのでしょうか
書留等のサービスを利用することなく「折り曲げ厳禁」と書いても、配達する人や配達会社に対して注意喚起する意味はありますが、法的意味はないということになります。
ーもし書留等のサービスを利用して、折り曲げによる損傷があった場合、どのような補償を受けられるのでしょうか
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一般書留の場合、差し出しの際に損害要償額の申し出がない場合は、10万円を限度とする実損額が補償されます。損害要償額の申し出があり、5万円ごとに23円を支払うと、上限500万円を限度とする実損額が補償されます。簡易書留の場合、5万円を限度とする実損額が補償されます。
◆正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士法人ユア・エース代表。 第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・離婚・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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