2種類の「豪雨」を知る!集中豪雨と予測困難なゲリラ豪雨【気象予報士・森朗のお天気タイムマシン】

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2025年06月25日 21:42  TBS NEWS DIG

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 今週は梅雨前線による豪雨が各地で起こっています。予測が難しいとされる「ゲリラ豪雨」と、甚大な被害をもたらす「集中豪雨」。どちらも注意が必要な「豪雨」ですが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)

【写真で見る】100ミリの雨が降ると街にまんべんなく10cmの水たまりができます

「豪雨」は2種類ある!

豪雨には大きく分けて2種類あります。

1.梅雨前線や秋雨前線などに伴って発生し、線状降水帯などを形成する「集中豪雨」。
これは広範囲で長時間にわたって強い雨が降り続くことで、甚大な被害を引き起こすことがあります。

2.非常に局地的な範囲で予測不可能な「ゲリラ豪雨」です。
突然激しい雨が降り、短時間で一気に水位が上昇するなど予期せぬ被害をもたらすことがあります。

歴史を動かしたゲリラ豪雨?「桶狭間の戦い」

今から465年前、豪雨が戦いの勝敗に影響したとされる出来事があります。1560年6月12日に起こった「桶狭間の戦い」です。織田信長が今川義元の大軍を打ち破った際、激しい雷雨が大きな役割を果たしたと言われています。

信長公記によると、桶狭間の戦い当日の朝は、南方に約7km離れた砦の煙が見えるほど晴れていました。ところが昼ごろ、織田軍が桶狭間山付近まで進んだ際、急な雨が降り始め、大きなクスノキが倒れるほどの激しい雨となったと記されています。その約2時間後、空が晴れたのを見た信長が槍を持って「それかかれ かかれ」と号令をかけ、見事勝利を収めたと伝えられています。

気象予報士 森 朗氏:
記録から朝は晴れていましたが、昼頃、天気が急変し、大木が倒れるほどの猛烈な風だったことがわかります。約2時間の間に、雹も降っていたようで“ゲリラ雷雨”のような状態だったのではないかと想像できます。

「ゲリラ豪雨」という言葉はいつ頃から?

ゲリラ豪雨という言葉は比較的最近耳にするようになった印象がありますが、実は最初に使われたのは1969年(昭和44年)8月、新聞の見出しに“ゲリラ豪雨”という言葉が記載されたのが始まりといわれています。しかし一般に広く認知されるようになったのはずっと後のことで、特に2008年には新語・流行語大賞のトップテンに選ばれ、この言葉は私たちの日常に深く根付くこととなりました。

気象予報士 森 朗氏:
「ゲリラ豪雨」という言葉は実は気象庁の予報用語にはありません。「集中豪雨」「局地的大雨」「短時間強雨」などの用語を雨の状況によって使い分けています。

予測技術の進化!2022年から線状降水帯の予測が始まった!

かつては予測が非常に困難だった豪雨ですが、気象技術の進歩により、その精度は向上しています。特に注目すべきは2022年から始まった「線状降水帯」の予測です。

線状降水帯とは次々と発生する積乱雲が線状に連なり、同じ場所で強い雨を長時間降らせる現象で、甚大な被害を引き起こすことが知られています。この予測が可能になったことで、より早期の避難や対策が期待できるようになりました。

気象予報士 森 朗氏:
去年(2024年)5月から線状降水帯による大雨の可能性を地方単位から県単位で、半日程度前から呼びかけられるようになりました。来年(2026年)からは2〜3時間前を目標にした、より精度の高い予測情報の提供が開始される予定です。

たった数ミリが命取りに?豪雨の危険度を知る

豪雨の恐ろしさは、その局地性と短時間での猛烈な雨量にあります。たった数ミリの差が甚大な被害へとつながってしまうことがあります。
・1時間に50ミリの雨 傘が全く役に立たなくなり、道路が冠水し始めます。
・80ミリを超える雨 視界が極端に悪くなり、車の運転は非常に危険な状態に。
・100ミリを超える雨 大規模な浸水や土砂災害が発生する可能性が極めて高まります。

100ミリの雨が降ったということは地面全体が高さ10cmの水たまりになってしまう量の雨が降ったということになります。

気象予報士 森 朗氏:
現在も各地で起こっているように、これからの時期、「ゲリラ豪雨」や「集中豪雨」などの「豪雨」の可能性が高まります。自分の身を守るため、最新の気象情報をこまめに確認するようにして下さい。

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