SBI新生銀行の看板 SBI新生銀行が7月末に公的資金を完済する方針を決めた。バブル崩壊後に巨額の不良債権を抱えた銀行の破綻を防ぐため、国は大手行や地方銀行に公的資金を相次ぎ注入。同行は、当時の返済が残る最後の1行だった。「平成金融危機」への対応が約30年を経て、ようやく大きな区切りを迎えることになる。
日本では1990年代初頭に不動産バブルが崩壊。株価や地価が暴落して企業倒産が相次ぎ、金融機関の不良債権が膨らんだ。97年には北海道拓殖銀行や山一証券が破綻。98年に日本長期信用銀行(現SBI新生銀)と日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)も破綻したことなどを受け、国は預金保護のため、当初反発が根強かった銀行への公金投入に踏み切った。
98〜2003年の間、早期健全化法や預金保険法などに基づき、普通株や優先株、劣後ローンなどの形で大手行や地銀に注入された公的資金の総額は、計12兆円超に上る。三菱UFJフィナンシャル・グループなど現メガバンクグループ3社は06年に完済。最大の累計3兆1280億円が投じられたりそなホールディングスや、あおぞら銀も15年に返済を終え、新生銀だけが残されていた。
一方、国は06年以降、地域への円滑な資金供給を目的とした金融機能強化法に基づき、地域金融機関に公的資金を注入してきた。東日本大震災やコロナ禍を経て適用要件が緩和されたが、経営再建が進まず返済のめどが立たない例や、注入先の不正が見過ごされたケースもある。金融庁は、制度再延長の検討に着手したが、厳格な経営監視との両立が一段と求められる。