今回紹介する動画は、ニコニコ動画に投稿された『『水は二週間に一度だけ』代わりに飲んでいるのは毎日2Lの『コーラ』 地域住人の3割は糖尿病になり、毎年3000人以上が死亡する”コーラの街”何故こんなことに?【ゆっくり解説】』というゆっくりするところさんの動画。
数十年にわたるメキシコの経済発展メキシコの田舎町で起こった『コーラ工場による水資源危機事件』を、音声読み上げソフトを使用して解説しています。
■水がコーラより高い異常事態魔理沙:
今回は、以前リクエストをもらっていた「コーラの街」について話したいと思うんだぜ。
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霊夢:
コーラの街? ……コーラって飲み物のコーラのこと?
魔理沙:
ああ。日本はもちろん世界各国で販売されている、あの飲料水のコーラのことだぜ。コーラは様々なメーカーが製造販売しているが、基本的には砂糖などの甘味料に果糖、酸味料、スパイス、香料、カフェイン、着色料などを合わせたシロップに炭酸がプラスされた飲料のことを指す。
霊夢:
コーラってすごく甘いけど、たまに飲むとハマっちゃうのよね。
魔理沙:
ただ、その成分や栄養素などから、過剰に摂取すると様々な健康被害をきたす可能性があるので、1日に何本も摂取することは推奨されておらず、適量を心がけねばならない飲み物のひとつだが、やむを得ない事情で、このコーラを毎日大量に飲まなければいけない地域も存在するんだ。
霊夢:
え……?どういうことよそれ。
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魔理沙:
北米大陸の最南部に位置するメキシコ合衆国南部のチアパス州には、「サンクリストバル・デ・ラス・カサス」という市がある。ここは標高2100mと非常に高く、自然豊かな田舎町といった地域で、町の人々は農地を開拓し、野菜を栽培し、家畜を飼って暮らし、裕福ではなかったが、非常に健康的な食生活を送っていた。
しかし、1960年以降、世界的に有名な清涼飲料水メーカーC社の工場が建設されて以来、雇用が拡大し、めまぐるしい経済発展をしていった。
霊夢:
ああ、日本でもそういうのよくあるわよね。
魔理沙:
また、C社はまだコーラというものを知らなかったこの町の人々にコーラを受け入れてもらうために、様々な施策を実施した。C社はこの地域の伝統的な民族衣装を使用した広告を打ち、地域に自社の飲料を受け入れてもらえるよう繰り返し宣伝を行った。 その結果、地域ではこの会社の看板商品であるコーラが浸透し、どこの店でも、どこの一般家庭にも必ずこのコーラが置かれる時代が到来したんだ。
霊夢:
それまではあんまり一般的じゃなかったのね。
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魔理沙:
ああ。当時はメキシコの中でもかなりの田舎町だったし、コーラの存在を知らない人も多かったそうだ。
霊夢:
そんな状態でよくそこまでコーラが浸透したわね。
魔理沙:
コーラなどの炭酸飲料を飲むと、ゲップが出ることがあるけど、この地域ではゲップというのが体の中の悪霊や悪いものを外に吐き出す神聖な行為として伝えられていたため、コーラそのものも「神聖なものなのではないか?」ということになり、儀式や祭典で使用されるようになったんだよ。
霊夢:
へえ、なんかそういうのテレビで見たことあるわね。ゲップで悪業退散みたいなの。
魔理沙:
そのため、家庭でも日常的にコーラを飲むようになり、特に小さな子供や高齢者は、進んで健康になるためにコーラを飲むようになっていたという。
霊夢:
でも、コーラも飲めるし、みんなが裕福になるなら、いいことばっかりじゃない。
魔理沙:
もちろん、この経済発展は地域にとっていい影響もあったが、その一方で徐々に恐ろしい影響も広がっていった。1990年から2000年あたりにかけて、徐々にその悪影響が明るみになっていった。 この地域はメキシコの中でも非常に雨量が多く、地下水も豊富な場所だったんだが、C社がこの土地で地下水の抽出を始めると、途端に地域全体が水不足状態になり、地下水を飲料水などの生活用水に使うことが難しくなってしまったんだ。
霊夢:
ええ……そんなことあるの??
魔理沙:
そのため、各家庭に供給される水道の水は、お世辞にも綺麗とは言えない、濁った河川の水や雨水をろ過したものを使うしかなかった。しかしこの水には消毒用の塩素がきつく、飲料水として使用することができない水になってしまっていた。
霊夢:
飲めないほど消毒しなきゃいけないって、どんな川の水なのよそれ……。
魔理沙:
この地域では下水道がまだ整備されておらず、下水収集を行うインフラもなかったため、当時は排水をそのまま河川に廃棄しており、川には大量の大腸菌が含まれ、それを消毒するには、かなりの薬品類を使わざるを得なかったんだ。
霊夢:
そういうことだったんだ……。
魔理沙:
当然、ペットボトル入りの飲料など、商品になっている飲料水の販売も行われていたが、この地域ではC社の工場が建設されて以来、水が貴重品となり、簡単には手に入らなくなってしまったんだ。
霊夢:
そんな影響が……でも、なんでそんなにC社が水をたくさん汲んでいいことになってるわけ?普通はそういうのって規制があるでしょ。
魔理沙:
当然、企業には地下水抽出の規制がかけられていたが、この当時、C社はメキシコ政府から1日に約100万Lまで地下水を抽出する許可を得ており、毎日この制限ギリギリの地下水を抽出していたんだ。
霊夢:
ひゃ、ひゃくまんりっとる!? いくら缶ジュースとかを作ってるとはいえ、そんなに必要なものなの?
魔理沙:
これには諸説あるが、当時のC社がコーラ1Lを製造するためには、その6倍以上の6.24Lの飲料水が必要だったと言われていた。
霊夢:
コーラ作るのに水がそんなに必要なんだ……。
魔理沙:
現在では企業努力によって必要な水はこの半分ほどになっているそうだがな。しかし、この企業はアメリカの中でもトップレベルの大企業。工場の規模も大きく、毎日大量にコーラを生産するために、地下から大量の水を抽出していたんだ。その結果、水の価格が高騰し、なんとコーラ1本あたりの価格よりも飲料水1本の価格の方が高くなってしまうという異常事態が発生していた。
霊夢:
ええ……でも、こんなことになってたら普通は住民からの反発がすごいだろうし。そもそも、なんで政府はこんなことを容認してるわけ?
魔理沙:
工場によって雇用が増え、経済的に豊かになっていた住人たちは当初は喜んでいたものの、水が手に入らないという異常事態に気づき、C社に抗議を行った。しかし、この問題が提起された2000年当初にメキシコ大統領を務めていた男性Vは、C社の経営陣の1人でもあり、この異例とも言われる大量の地下水抽出に許可を出していたんだ。
霊夢:
それって癒着してるんじゃ……。
魔理沙:
そう思われても仕方ないだろうな。彼は1960年代の後半に、かつてC社の配達員であったがその後昇進し、1975年に同社の社長に就任。2000年にはメキシコの大統領に就任しており、C社のコーラを国内で手に入りやすくするため、北米貿易協定に加盟し、コーラの価格はかつてよりも安価になっていた。
C社は住民の抗議活動やデモを受けて声明を出したが、「地域住人に安全な水が供給されていないのは、弊社の地下水抽出の影響ではなく、政府のインフラ整備不足によるものである」という内容だった。この騒動の影響で、一時政府はC社に地下水抽出の停止命令を出したが、そのすぐ後にまた抽出のライセンスを譲渡した。
霊夢:
なんでC社ばっかりそんな特別扱いなのよ……。
魔理沙:
それは元大統領がC社の経営陣だったという影響もあっただろうが、メキシコではC社のコーラが清涼飲料水市場の約7割を席巻しており、世界的に見ても最も清涼飲料水を消費する国だったということも、大きかったのかもしれない。
霊夢:
メキシコって、そんなに消費量多いんだ……。
魔理沙:
そのため、国民の健康維持を目的もあり、清涼飲料水に「ソフトドリンク税」というものが導入されようとしていたが、それが先送りになり、2014年まで施行されることはなかった。そして結果的に、C社の生産量増加を後押しする形になっていたんだな。
霊夢:
そんな背景もあったんだ……。
魔理沙:
水が高く、手に入りにくい影響は非常に大きく、多くの一般家庭では二週間に一度地域を訪れる給水車から飲料水を購入するしかなかった。
霊夢:
そんなんじゃ全然足りないんじゃ……。
魔理沙:
そのため、普段は水ではなく、それよりも安価に手に入るコーラを水代わりに飲むしかなかった。
霊夢:
えええええ!? そ、そんなことしてたら……。
魔理沙:
ああ。C社の工場が地域にできてからというもの、小さな子供たちは水の代わりにコーラを飲んで育ち、大人も食事中、水分補給の全てでコーラを飲むようになり、なんと毎日2L以上のコーラを飲み、年間では約800Lを消費。当時の全国平均、年間150Lという消費量の5倍以上を飲んでいた。
霊夢:
そそそ、そんなに!?……あんなに甘いものを、よくそんなに飲めたわね……。
魔理沙:
コーラを飲むと余計に喉が乾くが、水が手に入らない以上、コーラを飲んで喉が乾いたら、またそれをコーラで潤すしかなかったんだろう。
霊夢:
こんなことって……。
魔理沙:
2013年の調査では、この地域には人口約18万6000人が暮らしていたが、その中の4割以上が肥満と診断され、3割以上が糖尿病に罹ってしまっていた。
霊夢:
毎日コーラを過剰摂取してたら、そうなるわよね……。
魔理沙:
この時、国民の肥満率は約33%となり、かつて1位だったアメリカを追い抜き、世界一の肥満国になってしまっていた。この結果を受け、州保健当局は糖尿病の緊急事態を宣言した。
霊夢:
き、緊急事態宣言が出されるほどのことになってたんだ……。
魔理沙:
州人口は560万人だったが、糖尿病、それに関連する合併症で亡くなる人は、年間3000人以上にのぼり、心臓病に次いで2番目に多い死因となっていた。この緊急事態に対処するため、メキシコ政府は2014年に砂糖税を導入し、砂糖が添加されたノンアルコール飲料の価格を約10%引き上げた。
その結果、税導入後の約2年間で、課税対象となったコーラの消費量が、推定で約7.6%減少したが、これまで長年コーラを飲み続けてきた住人たちの多くは肥満状態になり、糖尿病をはじめとした生活習慣病に苦しんでいたんだ。
かつてこの地域は孤立した山の中にある、メキシコの中で最も貧しい地域と呼ばれていたが、人々は野菜中心の健康的な生活を送っていた。しかし、大企業であるC社の工場がこの地域に進出してからというもの、町の水は枯渇し、地域のどこに行ってもコーラの広告を見かるようになり、それが儀式に使用されるまでになった。
そして、水が高騰した一方で、コーラの価格は下がり、人々は水代わりにコーラを過剰摂取を続け、「コーラによって滅びゆく町」に変貌してしまったんだ。
霊夢:
こんなことあるんだ……。
魔理沙:
住人の中には、深刻な健康被害で家族を亡くしたことで、C社に対して損害賠償請求を行った人もいたそうだが、因果関係の立証が難しく、C社に抗議を行っても、「糖尿病は生活習慣病であり、日々の食生活や運動、先天的な体質によるものだ」として、自社製品が原因ではないという旨の声明を発表し、これを否定していた。
また、その後の調査の結果、この地域に暮らす人々は遺伝的に糖尿病にかかりやすい体質だということも分かり、悪い相乗効果で糖尿病患者が増加していた可能性が示唆された。
霊夢:
そもそも糖尿病になりやすい体質だったんだ……。
魔理沙:
住人たちは「C社は非情で、手口が狡猾だ。彼らは私たちの綺麗な水を奪っておきながら、テレビではコーラで『人生が弾ける』と宣伝して人々を騙している。そして金を巻き上げて逃げるのだ」と強く非難しているが、一方で、C社の幹部たちは「工場の存在は市の水の供給に対してほとんど影響を及ぼしていない。工場で使用する井戸は、地域住民に供給される表層の水源よりも地下深く掘られているからだ」と主張していた。
また広報担当者いわく「弊社はサンクリストバルにおける重要な経済基盤であり、約400人を雇用し、2億ドルを国の経済に寄与している」と話しており、あくまでもクリーンな経済活動だという主張を行った。
霊夢:
因果関係が立証できないっていうのが難しいところね。
魔理沙:
しかし、これは地方自治体ではなく、政府に支払われているものであり、住人には全く還元されていないとの指摘も多く、そのため、長らく工場と住人の間の話し合いは平行線をたどったが、2018年に、地域住人をなだめる策として、C社は話し合いの末、清潔な飲料水を地域の500世帯に供給するための水処理場を建設しようという計画を立ち上げた。 しかし、この計画は住人の反発を和らげるどころか、むしろさらなる抗議の火種を生み、抗議活動やデモが激化。その結果、計画は頓挫し、現在も全ての世帯に安全な飲料水が供給されておらず、C社と住人の戦いはまだ続いているという。
霊夢:
こんな地域があるなんて全然知らなかったわ……。コーラって、どこの国でも売ってるような飲み物だけど、地域の水不足の原因が本当にC社の水抽出にあるとしたら、利益を優先して人の健康を無視した恐ろしい行為よね……。
魔理沙:
そうだな。この地域はかつてメキシコ一貧しい場所と言われていたこともあり、コーラ工場が建設されたことで住人も経済的に豊かになり、地域が発展したかもしれないが、そのせいで地域に深く浸透してしまったコーラによって、深刻な健康被害を負ってしまい、後世にも大きな影響を及ぼすことになってしまった。この地域からコーラを取り除くことは、もう難しいかもしれない。
霊夢:
工場ができた方が良かったって考える人もいるだろうし、因果関係が立証できない以上、法的に何かの保証を受けるのも難しそうだし……難しい問題ね。
大手企業の工場が進出し経済が潤う反面、住民の生活へ影響が及び、肥満や糖尿病により多くの命が失われる事態となりました。
元の動画では、より詳しく解説を行っていますので、気になった方はぜひ動画をチェックしてみてください。
▼動画はこちらから視聴できます▼
『水は二週間に一度だけ』代わりに飲んでいるのは毎日2Lの『コーラ』 地域住人の3割は糖尿病になり、毎年3000人以上が死亡する”コーラの街”何故こんなことに?【ゆっくり解説】
https://www.nicovideo.jp/watch/sm44026321
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