「一回も注意されたことがない」新入社員が、パワハラを受けたと‟ウソの通報”をして社内が混乱…「なぜそんなことをしたのか、いまだに誰もわからない」

4

2025年06月27日 09:10  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

画像はイメージです
 2022年にレバレジーズ株式会社が行った「入社後の状況に関する調査」によると、新入社員の3割以上が入社後4〜6カ月で退職を検討しているという。
 食品会社で企画業務を行っている工藤巧さん(仮名・32歳)から、そんな新入社員の退職について、「意味がわからず困惑した」経験をお聞きしたので紹介したい。

◆厳しいことは何一つ言っていなかったのに…

「ある年に入ってきた新入社員の話です。部署のメンバーみんなで可愛がっていて、怒るどころか厳しいことは何一つ言っていなかったにもかかわらず、パワハラだと訴えられてしまったことがあるんです」

 工藤さんが所属する企画部は、社内でも花形とされる部署。新入社員の配属希望先としても人気があった。

「新入社員からだけでなく、既存社員の配置転換先としてもやはり人気があります。そのため商品を熟知している既存社員が選ばれる例がほとんどで、何年も新人が配属されることはありませんでした。ただその年は、まだ会社の色に染まってない若い考えを取り入れようとのことで、新入社員が配属されたんです」

◆やる気のある姿から一転して突如会社を休むように…

 そうして配属されたのが、新入社員の北岡さん(仮名)だった。

「北岡は大学時代に文化祭の運営スタッフとして数々の企画を立案し、来場者数を大きく伸ばすことに成功したという逸話がある新人でした。もしかしたら自信過剰なタイプかとも懸念はあったんですが、実際にOJTで仕事を教えてみると、特に気になることはありませんでした」

 それどころか日を追うにつれ、北岡さんの仕事ぶりに好感を持つようになっていったそうだ。

「北岡はとにかくガッツがあって、次々と企画を生み出していました。独りよがりの企画になりがちで、注意してもなかなか払拭できない節もあったんですけどね。それでも、そうした癖を補ってあまり有る試行回数の多さに期待が膨らみました」

 企画を量産し続ける北岡さんに、工藤さんら先輩社員は優しくアドバイスを行った。だが、ある日を境に北岡さんの様子に変化が起こる。

「北岡が突如会社を休むようになったんです。最初のうちは月1回ぐらいだったのが、2週に1回程度と増えていき、ついにはパタリと出社しなくなったんです。メンタル的なものだとは聞いたものの、何が精神的な負荷になっていたのかはわからないままでした」

◆パワハラが横行しているというタレコミが…

 それからしばらくして、部署に激震が走る。

「企画部でパワハラが横行しているとして人事部の調査が入ることになったんです。詳細は降りてこないなか、『パワハラがあった』とされていることだけが伝わってきたんですが……。これには困惑するしかありませんでした」

 そうこうするうちに、部員間での特定騒ぎが始まってしまう。 

「北岡の企画をフィードバックする時なども厳しい言葉は一切使っていませんし、勤務態度について注意したこともなかったんです。北岡から相談を受けたメンバーもおらず、みんな思い当たることがないという状態でした」

 のちに明らかになった北岡さんの主張は、驚くべきものだった。

「営業との会議の席で、自分は営業から責められているのに企画部のメンバーは誰も守ってくれなかったというんです。自分にはつらい、無理な仕事を強要された。それが北岡がパワハラだと主張する内容でした」

◆復職してもらう予定も拒否され…

 だが、工藤さんら部員は北岡さんの主張にまるで納得がいかなかった。

「確かに営業とのMTGではお互いの立場から意見の衝突が起きることがあって、時に営業から厳しい言葉を投げかけられることもあります。ですが、北岡は新人です。営業の批判の矢面に立たせたことなんて一度もありませんでした。MTG中に北岡に意見を言わせたことすらありませんでしたよ」

 のちに意見が食い違った理由が明らかとなったが、一同の困惑はより深まることになる。

「自分たちの見解をもとに改めて人事が北岡と話をしてわかったんですが、北岡は営業部に先輩たちが責められているのを見て自分が責められていると受け止めていたようでした。自分は責められているのに誰も自分のことを守ってくれない。それが北岡がパワハラだと主張したものだったんです」

 企画部の主張は営業部の話でも裏付けが取れ、会社は北岡さんの主張をパワハラだとは認定しなかった。

「北岡は大学時代も、文化祭の運営に関する他の部門とのMTGなどには参加していなかったようでした。そんなことがあるのかと困惑したものの、仕事自体に慣れてないがために混乱してしまったのだと考え、北岡の体調が戻ったら企画部への復職を受け入れる手筈でした。……でも、北岡に拒否されたんです」

◆捨て台詞を残して会社を去っていった

 拒否したのは、「パワハラがあったのに謝罪すらないから」とのことで。

「人事には何度も説明してもらったんですが、北岡は『企画部でパワハラを受けた』主張を一切変えませんでした。さすがにそこまで言うのであればと思い、企画部への受け入れは取りやめることにしました」

 その後、北岡さんは批判の矛先を拡大させ、「この会社にはパワハラが横行している」との捨て台詞を残して会社を去っていったのだとか。なぜ彼が豹変し、虚言を吐いて辞めていったのかは、いまだに誰もわからないという。

<TEXT/和泉太郎>

【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

このニュースに関するつぶやき

  • 今までの人生の中で「いつも誰か(主に親)から守られ、それが自分にとって当然」で普通の事という認識。
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(4件)

話題数ランキング

一覧へ

前日のランキングへ

ニュース設定