
夢は陸上男子100mの日本記録、9秒95の更新。その可能性を秘めた高校生スプリンターがいる。去年8月の関東中学校陸上競技大会男子100m決勝。当時、習志野市立第四中の3年生だった小寺慎之助(16、千葉・市立柏高)は、10秒46の中学日本新記録を樹立し、陸上界にその名を轟かせた。
【動画で見る】登校は2時間かけて・・・男子100m中学日本記録保持者の小寺慎之助に密着
「(日本新記録が)出ちゃって、自分でも信じられなくて。スタートから飛び出せたので出た瞬間いけると思ったし、走っていて冷静でいつもより楽に走り終えた感覚でした」
今年4月には高校に進学。約20の強豪校からオファーが来たが、選んだのは自宅から2時間の道のりの市立柏高校だった。「最初は市立柏高校に来る予定は全くなくて、他の学校に行こうと思っていたんですけど、池ノ谷智先生がいて決めました」。恩師との出会いが決断させた。
同校の陸上部の顧問を務める池ノ谷先生は、1998年のインターハイで、のちに日本スプリント界初のメダリストとなる、あの末續慎吾さんを破って男子100mを制したスプリンターだ。小寺は「(中学時代)国体の代表に選んでもらった時に指導してくださって、すごく分かりやすくて池ノ谷先生にどんどん惹かれていった」とその指導法に感銘を受けたという。
|
|
池ノ谷先生も小寺を絶賛する。「出した足に重心を乗り込ませるのが本当にピカイチ」「伸長期に対してのストライドも日本でトップクラス」と評価し「もう少しピッチが出てくれば将来的にも面白いし、9秒台というところは目指してもらいたいしその可能性は大きくある」と期待を寄せている。
小寺は高校3年間での目標を次のように掲げる。「高校1年の日本最高記録(10秒26)を目指して今年は頑張っていきたい。10秒25を出せればいいなと思います。(高校生活の目標は)桐生祥秀さんの出した高校記録(10秒01)を塗り替えて9秒台に入っていきたい」。
さらにその先には大きな夢がある。「将来の夢は世界で戦える選手になること、9秒7台、9秒8台とみんなが驚くような記録を出したい」。山縣亮太が持つ9秒95の日本記録更新へ、次世代のスプリンターが一歩を踏み出した。