
今回は、特別支給の老齢厚生年金の繰り下げについてです。
Q:60歳以降も年収が高く、特別支給の老齢厚生年金はほとんどもらえません。66歳以降に請求すれば支給停止されずにもらえますか?
「1965年10月生まれの会社員女性です。64歳から特別支給の老齢厚生年金が出るそうですが、60歳以降も年収は高く、特別支給の老齢厚生年金はほとんどもらえません。65歳からは仕事をしない予定ですので、66歳以降に請求すれば支給停止されずにもらうことはできますか?」(59歳女性)A:特別支給の老齢厚生年金は、66歳以降に請求する「繰り下げ制度」の対象ではありませんので、66歳以降に請求できません
相談者さんは、年収が高いため、在職老齢年金制度によって64歳から受け取れる特別支給の老齢厚生年金のほとんどがカットされてしまうことを心配しているようです。在職老齢年金制度とは、老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)を受け取りながら、60歳以降に厚生年金に加入して働く人が対象の制度です。
この制度では、「老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の報酬比例部分の月額(=基本月額)」と、「総報酬月額相当額(給与収入など)」の合計が、支給停止調整額(令和7年度は月額51万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります。
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相談者は1965年(昭和40年)生まれの女性ですので、64歳から特別支給の老齢厚生年金が受け取れるようですが、特別支給の老齢厚生年金は65歳になるまで支給される年金ですので、繰り下げ制度の対象ではなりません。
64歳の受給開始年齢に達したときは、速やかに請求するようにしましょう。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
(文:All About 編集部)
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