NEC社長、サイバーセキュリティ事業強化を熱弁 日本を守るには「国産AIが必須」

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2025年06月29日 11:30  ITmedia ビジネスオンライン

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NEC CEOの森田隆之氏(左)とNEC CSOの中谷昇氏

 スローガンは「.JP(日本のサイバー空間)を守る」――。


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 NECは、日本のデジタルインフラの安全性確保に向けて、サイバーセキュリティ事業を強化する。5月8日に開催したNEC サイバーセキュリティ事業説明会(住所非公表)で森田隆之CEOが発表した。米国政府機関が採用する「NIST SP800-53」を基準とした「Cyber Intelligence & Operation Center」(サイバー・インテリジェンス・オペレーション・センター)を新設。日本政府や重要インフラ事業者、海外展開する日本企業向けに2025年下期からサービスを提供する。


●森田社長「日本のデジタルインフラを守りたい」 その意図は?


 説明会で森田社長は「国内で最大規模のサイバーセキュリティ事業を担うことで、日本のインフラの神経網となっているデジタルインフラを守りたい。まずはグローバル展開している国内企業が対象となる」と話した。


 森田社長は新春のトップインタビューの中でも、NECの最重要分野としてAIとセキュリティに注力すると述べていた。


 この背景は、こうだ。近年、重要インフラを狙ったサイバー攻撃のリスクが高まっている。NICTERの観測レポート2023によると、サイバー攻撃による被害額は名目GDP世界3位規模に相当する8兆ドルに上るという。サイバー攻撃数も直近9年で9倍に増加したと報告されている。こうした状況を踏まえ、迅速な対策が求められている状況だ。


 日本政府は、サイバーセキュリティを含む重要情報の管理強化を目的に、セキュリティ・クリアランス制度の導入や、サイバー対応力の強化を重要施策として取り上げている。


 同センターでは、サイバー攻撃の複雑化・高度化や各国での法規制の違いに対応。地政学的なサイバー脅威の分析や、グローバルな攻撃トレンドを踏まえた監視や対処をサプライチェーンを含めて実施する。


 サイバー脅威情報の収集・分析・可視化・対処には、自社開発の生成AI「cotomi」(コトミ)などのAI技術を活用。分析から対処までの約90%の作業を完全自動化し、リアルタイムで分析結果を顧客に報告するという。


 残り10%の手動分析では、AIが関連情報を自動収集してアナリストに提示することで、より効率的かつ高精度な分析を支援する。信頼性の高い国産AI技術を用いることで、安全性と機能性を両立したサービスを提供する。森田社長は「いまのサイバーセキュリティは95%以上AIが絡んでいる。これからはAI同士、より攻撃と防御の戦いになる。その中で、このAIがどういう形で動くかを全て把握しておかなければならず、それは国産でないとできない」と、国産の技術である必要性を強調した。


 2026年度以降には、APAC、欧州、米国にも拠点を順次開設。各拠点間が密接に連携することで、グローバルで一貫したサイバーセキュリティ体制を確立させるという。NECは先進技術とサイバーセキュリティの知見を活用し、日本の経済安全保障に貢献する。


 NEC 執行役 Corporate EVP 兼 CSOの中谷昇氏は「サイバーセキュリティに関しては新たなステージに入っており、そこをサポートすることで新しい事業となると認識している」と話した。


(小松恋、アイティメディア今野大一)



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  • またゲームに参入してエルフのゲーム移植してよ
    • イイネ!2
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