アジャイル開発の導入メリット 3位「品質向上」、2位「市場投入の加速」、1位は?

0

2025年06月29日 11:31  ITmedia ビジネスオンライン

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia ビジネスオンライン

アジャイル開発に関する調査

 アジャイル開発を導入したことで、最も多くのエンジニアが実感しているメリットは「柔軟・迅速な対応」だった。プロジェクト管理ツールを提供するアジャイルウェア(大阪市)がシステムエンジニア400人を対象に実施した「アジャイル開発に関する調査」で明らかになった。


【その他の画像】


●8割のエンジニアが「アジャイル開発の効果」を実感 課題は?


 アジャイル開発を導入した目的について、1位が「要求や仕様変更への柔軟・迅速な対応」(58.5%)、2位が「市場投入の加速」(34.5%)、3位が「品質向上や不具合修正の迅速化」(30.0%)となった。


 アジャイル開発に感じているメリットについても「要求や仕様変更への柔軟・迅速な対応」(49.5%)が最多となり、導入目的と実際の効果がほぼ一致していることが分かった。


 アジャイル開発導入前と導入後を比較した成果については、「期待通りの成果」(59.0%)が最多で、「期待以上の成果」(18.5%)と合わせて、約8割がポジティブな成果を実感していた。


 回答者からは、「業務の効率化・スピード向上により、生産性が向上した」「コミュニケーションが円滑になり、認識のズレが減った」といった声が寄せられた。


 一方、「期待した成果が出なかった」と回答した人は22.5%で、回答者からは、「メンバーのスキル不足が影響した」「仕様変更が多く、開発者の負担が増大した」といった声が上がった。


 アジャイル開発の運用課題については、「リリース計画やロードマップが立てにくい」(37.5%)が最も多く、「メンバーの知識・スキル不足」(25.5%)、「スコープの頻繁な変動管理が難しい」(25.0%)が続いた。


 一方、アジャイル開発で「期待した成果が出なかった」と回答した人は、成果が期待以上・期待通りと回答した層に比べると、「レガシー環境や大規模案件への適用が難しい」「手法やツール運用の形骸化」「ドキュメンテーション不足」といった課題を抱えていることが明らかになった。


 アジャイル開発を社内に浸透させるための工夫については、1位が「教育・トレーニングの実施」(29.5%)、2位が「ツールの整備」(28.0%)、3位が「ガイドライン・テンプレートの整備」(27.5%)となった。


 続いて、4位には「特に実施していない」(23.0%)が入り、アジャイル開発は形式的な導入にとどまっている企業も多く、ノウハウやリソース不足が社内浸透を妨げている可能性がある。


●アジャイル開発を進める上で重視していること


 アジャイル開発を進める上で重視していることについては、「顧客ニーズに応じた優先順位の決定」(40.0%)が最多となり、「状況の見える化」(37.5%)、「チーム内外の連携」(25.5%)が続いた。


 ここからは、ウォーターフォール型開発を採用している人に尋ねた結果を紹介する。今後アジャイル開発を導入するかについては、「導入予定はない」(39.5%)が最多となり、「ハイブリッド開発を検討中」(30.5%)が続いた。一方で、「アジャイル開発を検討中」と回答した人は9.5%にとどまった。


 また、アジャイル開発を導入しない理由については、「知識・スキル不足」(30.0%)が最も多く、次いで「サービスやプロダクトがアジャイル開発に不向き」(27.5%)、「チーム構造や組織文化が適していない」(20.0%)となった。


 今後アジャイル開発を導入する場合に期待する効果については、「要求や仕様変更への柔軟・迅速な対応」(36.0%)が最も多く、「市場投入の加速」(24.0%)、「プロジェクトのリスク低減」(23.5%)と続いた。


 アジャイル開発の導入を進めるために必要だと感じることについては、「アジャイル開発の教育・トレーニングの実施」(46.0%)が、2位「成功事例の共有」(25.0%)との差を大きく広げ1位となった。


 また、「必要なことが分からない」も24.5%おり、アジャイル開発に関するノウハウや情報不足が障壁となっており、導入が進まない一因と考えられる。


 調査は、製造業・情報通信業に従事するシステムエンジニア400人を対象にインターネットで実施した。調査期間は、2月14〜15日。


(小松恋、アイティメディア今野大一)



    前日のランキングへ

    ニュース設定