
接客業を経験したことがある人ならきっと一度は理不尽なお客様に出会ったことがあるでしょう。そんなあるある体験を描いたも〜さんの作品『神の耳が必要だと感じた日』が多くの共感を集めています。
この話の舞台はも〜さんが実家の飲食店を手伝っていた時のことです。ある日、来店したお客様に「ご注文はお決まりでしょうか?」と声をかけたところ、相手は新聞をめくりながら「もう言うた」とだけ言われてしまいます。不思議に思い、他の店員に「どなたかご注文を伺いましたか?」と確認しても、「してない」とのこと。
しかもそのお客様は、たった今来店したばかりだったことから、不思議に思ったも〜さんは再度お客様のもとへ向かいます。注文をしているのかお客様に再確認すると、「した言うとるやろ!!」とさらに強い口調で言われ、料理が来るのが遅いことに苛立っている様子でした。
も〜さんは仕方なく、「ご注文お伺いできてなかったみたいなので、もう一度お願いできますか…」と丁寧に聞き返すと、今度は「何ィ〜!?」とお客様は怒りをあらわにします。そして続けて「入ってきた時に言うたやろが!!」と言いました。
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つまり、お客様は店に入ったと同時に注文を伝えたようです。これを聞いたも〜さんは、お客様の話を聞きながら状況を把握すると、「店員から返事や復唱が無い場合は聞こえていない」「店の扉を開けた瞬間に言われても聞こえない」「今度からは席に着いた時か対面した時に言ってほしい」と説明。「そらわかりませんて 無理ですて…」と、本来はお客様に直接言わず心の中だけに留めておくようなことを、すべてお客様に言ってしまうのでした。
普段お店などでは聞くことができないような、店員の本音をぶつけられたお客様は、ビックリしつつも注文を再度伝えてくれたようです。この時の様子を作者のも〜さんに詳しく聞きました。
不思議と呼吸のようにス〜ッと出てきました(笑)
ーこの言葉はついうっかり出てしまったのでしょうか?
不思議と呼吸のようにス〜ッと出てきました(笑)。頭で考える前に口から出てしまったのですが、ケンカ腰にならなくて良かったです。
ーお客様は驚いていたとのことですが、どのような反応でしたか?
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ポカンとしていらっしゃったと思います。怒ったりするような感じはなく、ただただビックリしていたご様子でした(めちゃくちゃ昔の話なので、詳細はそこまで鮮明には思い出せないのですが…)。
ーお手伝いをしている中で同じように理不尽に怒る人はよくいるのでしょうか?
はい。もちろん優しいお客様もいらっしゃいましたが、理不尽なお怒りも、まっとうなお怒りもたくさんありましたね!働いていた年数が長いので、ケースバイケースで対応していたと思います。
怒鳴るような方の場合は厨房に逃げ帰って、体の大きな父親に「対応お願いしま〜す!」と丸投げしたりもしました(大体父親が出ると大人しくなったりします)。めちゃくちゃ嫌味を言う方もいらっしゃったんですけど、ちょっと大きめの声で母親に「私は嫌われてるみたい。次呼ばれたらお願いしていいかな?」と伝えたら、かなりバツの悪そうな表情をしていらっしゃいました(笑)。
(海川 まこと/漫画収集家)
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