奨学生保護者に口止め=問い合わせ受け不正額返金も―日大重量挙げ部元監督再逮捕・警視庁

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2025年06月30日 10:31  時事通信社

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時事通信社

警視庁品川署に移送される日大重量挙げ部の元監督難波謙二容疑者=6月10日、東京都品川区
 日本大重量挙げ部の奨学生の保護者が学費名目で金をだまし取られた事件で、同部元監督難波謙二容疑者(64)が保護者から問い合わせを受けて不正徴収した金を返還した上、「全員クビになる」と言って口止めしていたことが30日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁捜査2課は30日、詐欺容疑で、難波容疑者を再逮捕した。「寄付金として保護者の了解を得て、いただいたお金だと思っていた」と容疑を否認しているという。

 捜査関係者によると、ある保護者は部員の入学に際し、部から送付された請求書に基づき、学費などとして計約150万円を振り込んだ。後日、大学からも学費振り込みに関する連絡があり、不審に思って問い合わせると、同容疑者は一部以外を返金した。

 さらに、難波容疑者らは保護者と面会し、「だましていない。ただ、発覚すると監督やコーチが全員クビになるかもしれない」と釈明。2年生になったら部員を奨学生にすると主張する一方、「(クビになったら)お約束できない」と脅し、口外しないよう求めた。

 難波容疑者が2024年春ごろ、不正徴収するなどした少なくとも1500万円を自身の研究室で保管していたことも判明。このうち、大学側は1100万円を回収したが、残りは同容疑者が歯の治療費などに充てたとみられる。

 同課などによると、難波容疑者はコーチに指示し、入学時の大学への納付金名目で、本来払う必要がない授業料などを加えた金額の請求書を奨学生の保護者に送付。部の口座に振り込まれた現金から、水増し額以外を奨学生の名義で大学に納付していた。同様の手口による不正徴収は監督就任後、20年以上続き、総額計約5320万円に上るとみられる。

 再逮捕容疑は23年12月、翌年度に入部予定の奨学生の保護者4人に「2年目以降、スポーツ奨学生として申請予定。1年目のみ、お支払いください」などと偽って不正に授業料などを請求し、計262万円を詐取した疑い。

 難波容疑者は22年12月にも同様の手口で計205万円を詐取したとして、逮捕されていた。 
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