
【写真】上田麗奈&芹澤優、2人の“尊さ”を詰め込んだ撮りおろし(18枚)
■猫好きなら共感必至! ギャップだらけの“ニャンデミック”ワールドへようこそ
――本作は「猫になる恐怖」と「猫の愛らしさ」が混ざったユニークな世界観ですが、最初に原作を読んだ時の感想を教えてください。
上田:「ハード」と「キュート」が絶妙に混ざり合っていて、とても独特な世界観だなと感じました。読んでいて「こんなマンガ、他にあったかな?」と思うくらい、ジャンルの枠におさまらない面白さがある作品です。
原作の絵もすごく写実的で、どこかシリアスな空気をまとっているんです。でも、描かれているのは“猫の可愛さ”や“猫の素晴らしさ”。そのギャップに、最初はちょっと混乱するくらいで(笑)。
主人公のクナギさんの表情も、決して「猫ちゃんにメロメロ〜♪」みたいな顔じゃないんです。むしろサバイバルの極限を生き抜こうとする必死さが出ていて……でも、その中で描かれるのは猫愛に満ちた世界。登場人物たちは真剣そのものなのに、読んでいる側はそのギャップに思わず笑ってしまうんです。猫が大好きな人ほど、すごく共感してしまうと思います。
どんなに危機的な状況でも、「猫の命を守らなきゃ」「猫の安全が最優先!」って本気で思って行動している。その姿に「わかる〜!」ってうなずいちゃって……。気づけば私も「相当な猫好きなんだな」って再認識させられました(笑)。とにかく、猫への愛がぎゅっと詰まった、大好きな作品です。
芹澤:最初に絵を見たとき、「あ、これはいつも読んでる少女漫画とか、異世界ものとは全然違うジャンルだな」という印象でした。正直ちょっと怖そうだなって思ったんです。表情もかなり激しくて、迫力があるし。でもその激しい表情で言ってることが……「猫可愛い!」だったりするんですよ(笑)。いや、その顔で言う!? みたいな。
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でも、読み進めていくうちに、だんだんこの“ニャンデミック”の世界に入り込んでいって、一緒に体験しているような気持ちになるんです。そして何より、相手が“猫”だから……怖いとか恐ろしいって感情より、「ああ、可愛い……」っていう気持ちが勝っちゃうんですよね。
「え、自分いま何してるんだろう?」っていう、ちょっとした錯覚すら起こるんですけど(笑)、でもそれがすごく楽しくて。まるで新しいアトラクションに乗っているみたいな、新しい世界を体験させてもらってるような、そんな作品だなって思いました。
――そんな世界観の中で、カオルとツツミというキャラクターを、どんなふうに捉えて演じられましたか?
上田:カオルは、一見クールで厳しい人に見えるかもしれませんが、その言動の裏には深い思いやりがあるんです。クナギさんに対しても、時にはきびしく接しながら、でもそのすべてが「相手を想っているからこそ」で。毎日、猫たち一匹一匹の様子を丁寧に見ている姿にも、責任感の強さや優しさがにじんでいるなと感じました。
倒れていたクナギさんを家に連れて帰って、ちゃんと面倒を見るという行動にも、面倒見の良さと誠実さが現れていて。困っている人に手を差し伸べたり、「これは違うよ」ときちんと伝えられる強さもあって……その“まっすぐさ”が、すごく素敵なキャラクターだなって思います。
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あとは、コミカルなシーンでも真剣にやる、ということ。真面目な表情で“猫可愛い”とか言っちゃうような、そのギャップが面白い作品なので、私も苦手ながら頑張りました(笑)。
芹澤:ツツミはカオルと同じ学校に通っている女の子で、ちょっといじめられていたりもするんですけど、内面はすごく明るくて。アクション映画が大好きだったり、実は趣味が多かったり。猫アレルギーなのに猫が大好きだったりと、見た目の印象と中身にギャップがあるところが、すごく魅力的だなと思って演じていました。
演じるうえで一番気をつけていたのは、「今、ツツミはどれくらい鼻が詰まっているか?」ということ(笑)。ちょっと変わっているかもしれないけど、これがすごく大事で。鼻の詰まり具合が、そのシーンでの警戒度。つまり、“どれだけ猫が近くにいるか”の指標になるんです。
たとえば、カオルの猫カフェに行くシーンでは、もう鼻が完全に詰まってて、ずっと苦しそうにしていたり(笑)。逆に猫があまり近くにいない場面では、少しだけ通るようにしたりとか。鼻水が出てきそうなレベルで詰まってるのか、ちょっと鼻声くらいなのか……そのあたりをシーンごとに細かく調整していました。
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■猫の描き込みが尋常じゃない!? 見るだけで虜になる“多様な可愛さ”
――作品の中で特に印象に残っているシーンや、アフレコ中に思わず笑ってしまったシーンはありましたか?
芹澤:私はやっぱり、クナギさんがとにかく面白いなって思ってます。本人はいつだって真剣なんですけど、その真面目さが逆に笑えてしまうというか(笑)。
特に印象に残ってるのは、カオルさんが料理をするシーン。そのあとクナギさんが、そのおいしさを全力で表現するんですけど……もう「どういうこと!?」って(笑)。セリフ自体は「うまい」とかすごくシンプルなんですけど、頭の中に浮かぶ映像がカオスすぎて、めちゃくちゃ笑ってしまったので、ぜひ注目してみてほしいです。
上田:わかります。あと、クナギさんって苦しんでる時ほど面白いんですよ(笑)。「俺に!! 近づいちゃ駄目だあああああ!!」って叫びながら、猫ちゃんに水をバシャーンって放つシーンも印象的でした。
でもそのあと、飛びかかってきた猫ちゃんを「ダメなんだあああああああああ!!」って言いながら、そっと優しくおろすんですよ。叫び声は激しいのに、行動はめちゃくちゃソフトで、猫ちゃんファーストなのがたまらなく可愛くて。あのギャップ、本当にずるいですよね(笑)。
――本当に“猫愛”があふれてますよね(笑)。猫好きの方はもちろん、まだ猫の魅力にピンときていない方にとっても発見が多い作品だと思いますが、「この作品を通して伝えたい“猫のすごさ”」は、どんなところだと思いますか?
上田:この作品は登場する猫たちの描き込みが本当にすごくて、一匹一匹、性格や機嫌に合わせて動き方が違うんです。顔立ちや毛色、フォルムもみんな違っていて、「猫ってこんなに多様なんだ」って、見ているだけで感じられるんですよね。声の演出もとても丁寧で、猫たちが発する鳴き声も、それぞれの性格がにじんでいて……。「この鳴き声、なんかグッとくる」って思える子がきっとどこかにいるんじゃないかなって。
あと、Cパートではちょっとした猫の豆知識なんかも出てくるので、そういう情報を知ることで、「よくわからないもの=ちょっと怖い」という気持ちが和らいで、猫との距離が近づくんじゃないかなと。知らなかった魅力に気づく“きっかけ”にもなる、そんな作品だと思います。
芹澤:本当にそうですよね。猫好きのスタッフとキャストが集結してる作品なので、愛情のこもり方がすごいと思います。
私、思うんですけど……やっぱり猫って“神様”なんですよ。原作第2巻のサブタイトルにもなっている「猫は無慈悲な世界の王」って、ほんとその通りで(笑)。家に帰ると、神様がいらっしゃる。そんな気持ちで仕えてます、完全に。「今日もせっせと猫のために働こう」って思えるくらい、猫って人間の原動力にもなる存在なんです。猫好きの方にも、これから好きになる方にも、きっと“猫は神”だって伝わるはずです!
■笑いと癒しが止まらない! 上田&芹澤のリアル猫エピソード
――日常の中で、思わず笑ってしまったり、心がふっと和んだりした愛猫とのエピソードはありますか?
芹澤:うちは2匹飼っていて、仲は良いんですけど、たまにケンカもするんですよ。お兄ちゃん猫の“むく”が6キロで、妹の“るる”は3キロと、体格差が倍くらいあって。で、その大きな体でむくが妹をガシッとホールドするんです。
上半身ではギュッと抱きしめてるのに、足ではめちゃくちゃ蹴る(笑)。たぶん猫の習性なんでしょうけど、妹がサンドバッグみたいになっちゃってて。あまりにも激しいと「こら、やめなさい!」って止めるんですけど、つい笑っちゃうこともあって。
あと、るるの方が体が小さいから、ケンカが白熱してくると、自分だけが入れる小さな隙間にスッと入り込むんです。むくは入れないから、外からパンチだけ繰り出してて(笑)。ケンカなのに、なぜか癒されるというか、ずっと見ていられちゃうんですよね。
上田:私も2匹飼っていて、上の子の“こたろう”が甘える時がもう、たまらなく可愛いんです。私がベッドに腰かけていると、ふわふわしてて安定感がないベッドの端にぴょんっと飛び乗ってきて、私の体に沿うようにゴロンって寝転がるんです。
それだけで愛おしいんですけど、6キロあるからそのままだと絶対ベッドから落ちちゃう。でも本人は全力で甘えてるから気づかなくて。私が左腕で支えながら、右手でなでて……って(笑)。「私の腕がなかったら落ちてるよ!?」って思いながらも、可愛すぎて笑っちゃいました。
下の子の“しいな”は、よく暗い廊下のすみっこで、じーっとこっちを見てるんです。なんだろうなって思って「しいちゃん?」と声をかけると、「呼ばれました!」って感じで、ルンルンルンって軽やかに走ってきて、その勢いでベッドに飛び乗って、「さあ、撫でなさい!」って言わんばかりに添い寝してくれる(笑)。跳ねるように近づいてくる姿がもう本当に可愛くて……毎回ニヤけちゃいます。
――聞いているだけで癒されます……(笑)。もしもご自身がこの“ニャンデミック”の世界にいたら、猫にならないように逃げますか? それとも受け入れますか?
上田:まず、うちの子からは絶対に逃げません(笑)。でも、街中で突然ニャンデミックに巻き込まれたら……さすがに逃げるかも。とりあえず、うちに避難します。もしうちの子に猫に変えられるなら、それはそれで「まぁ、いっか」って思えるんですけど、でもやっぱりすぐに世界が落ち着いてほしいから、共存の道を探すと思いますね。
おうちをちょっとだけリフォームして、バリケード作って、でもゴハンはちゃんとあげて……。そういう工夫をしながら、どうにかうちの子たちと“触れずに暮らす”みたいな状態にして。それでもどうしようもなくなったら、私はもう猫になります(笑)。
芹澤:私も最初は「すぐ猫になる!」って思ってたんですけど……でも、私にはファンのみなさんがいますし、私が私であることに価値を感じてくれてる方がいると思うと、簡単には猫になれないなって。
上田:プロだ……!
芹澤:あと、うちの子たちはすぐに外へ出たがるんですけど、絶対に野生では生きていけないタイプなんですよ。きっと数日で社会に飲まれちゃう。だから私が彼らを守るためにも、猫にならずに生き残らないといけないんです。やっぱり私もリフォームしてでも共存の道を探します。絶対に手放せない存在だから。
上田:うん、ほんとそれ。できれば共存の道を選びたいよね。めちゃくちゃ共感です。
――最後に、放送を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。
上田:モニターに映るアニメから猫の鳴き声が聞こえた瞬間、うちの猫たちがピクッと反応して、耳をそっちに向けたり、そっと寄ってきたりして。「この鳴き声、どんな気持ちなの?」って、きっと彼らには伝わってるんだろうなって思う瞬間があって……そのとき、改めて「この作品、すごいな」って感じたんです。
もしかしたら、画面越しに猫同士の交流が生まれるかもしれない。そんなふうに思えるくらい、リアルで愛情のこもった猫たちが描かれています。もしおうちに猫ちゃんがいる方は、ぜひ一緒にこの作品を観てほしいです。そして、作品を見ている時の猫ちゃんの反応も、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すべての猫ちゃん、そして猫を愛するみなさんに、この“猫愛”が届きますように。
芹澤:この作品、コメディーとしてもすごく面白いんですが、何より魅力的なのは「真剣に猫愛を語っているのに、世界観がめちゃくちゃ」っていう、そのちぐはぐさなんです(笑)。登場人物たちは真面目なのに、内容がどこかズレていて、それが最高におかしくて愛おしい。
他のどんなアニメとも被らない、まさに“新ジャンル”の作品だと思います。猫好きの方はもちろん、犬派の方や「動物はあまり…」という方も、観終わった頃にはきっと“猫派”になっているはず!
笑えて癒されて、猫がもっと好きになる。そんな猫愛に溢れた作品です。ぜひ、気軽に楽しんでください!
(取材・文・写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』は、7月7日よりテレ東・BSテレ東・アニマックスほかにて順次放送スタート。テレ東では毎週月曜26時から放送。さらに7月6日よりABEMAにて先行配信も開始。