
サンバリア100の「Sサイズ + plus」
Image by: サンバリア100
年々夏の猛暑が厳しさを増す中で、日焼け対策はもちろん、熱中症・暑さ対策として外出時の必需品となりつつある「日傘」。近年はメンズ需要も高まり、街中で日傘を差す男性の姿を見かけることも珍しくなくなったが、同じく需要が急拡大しつつあるのが「子ども用日傘」だ。傘・レイングッズメーカーの小川では、2019年の展開開始から2024年12月までの期間に、累計10万本以上の子ども用日傘を販売。また、「芦屋ロサブラン」や「サンバリア100」など、遮光傘を手掛けるメーカーやブランドも近年相次いでキッズ日傘の展開を始め、いずれも売上は増加傾向にあるという。
初登場は2019年、国や自治体も推奨する子どもの日傘使用
子ども用日傘が初めて市場に登場したのは、2019年。小川が2018年から企画・開発をスタートし、翌年他社に先駆けて、初の子ども用日傘「Kukka hippo キッズ晴雨兼用傘」(3080円)を発売した。開発のきっかけは、炎天下で登下校する自身の子どもを心配した社員による「子ども用日傘があっても良いのでは」という一声だったという。
その後、コロナ禍におけるソーシャルディスタンス対策兼熱中症対策として、2020年頃から登下校時の子どもの日傘使用が増加。自治体や学校による導入や登下校時の使用を推奨するケースも増えたことから、現在では徐々に認知と使用が広まりつつある。「個人のお客様だけでなく、学校や自治体、大型小売店バイヤーからの問い合わせや購入も増えている。今年も既に5自治体・団体で購入があった」(小川担当者)。
実際、子どもは大人よりも熱中症のリスクが高く、環境省やこども家庭庁なども注意と対策を呼びかけている。国立成育医療研究センターによれば、子どもは身長が低いため地面からの照り返しの影響を受けやすく、子どもの顔の高さでは、大人に比べて3度ほど気温が高いというデータもある。
透明窓、安全ロクロ、丸みのあるパーツ──親も子も安心の安全設計
キッズ日傘では、子どもの身体の大きさに合わせたサイズ感や、遮熱や遮光、UVカットといった通常の日傘がもつ機能性に加え、傘の扱いに不慣れな子どもでも使いやすく安全な仕様が求められているようだ。
小川では、2020年に「登下校に使いやすい日傘」をコンセプトにした「LINE DROPS キッズ晴雨兼用傘」(50cm/55cm、いずれも1980円)を発売。「遮熱」「遮光率99%以上」「UVカット率99.9%」「はっ水」といった通常の晴雨兼用傘と同等の機能性に加え、前方が見やすい透明窓やリフレクター、突起のない露先など、子どもの安全に配慮した設計が特徴だ。
同製品の2025年1〜6月の販売数は、前年同期比1.7倍と好調に推移。現在は5歳〜小学校中高学年向けを中心に、自社ブランドの3シリーズで長傘・折りたたみ傘を展開しているほか、ライセンスブランドやEC限定商品なども幅広く揃える。同社では、サックスやパープル、ミントグリーンなど、ランドセルと同様のカラーが人気だという。
芦屋ロサブランでも、熱中症対策として2022年から子ども用日傘の展開をスタート。同社製品の強みである高い遮光率やUVカット率、雨傘と同等のはっ水性といった機能性や高い品質はそのままに、指を挟みにくく、ロクロの上げ下げだけで簡単に開閉できる仕様や、持ち手やつゆ先といった各パーツに丸みを持たせた安全設計に仕上げている。
当初はプレーンなデザインとカラーから販売を始め、顧客からの要望に応える形でカラーバリエーションやブランドらしいフリルデザインタイプなどを追加。現在は4歳〜小学校中学年以上向けに、「キッズ日傘 プレーン」3型(45cm、47cm、50cm/9790〜1万1000円)と、フリルをあしらった「キッズ日傘 フリル(47cm/1万2100円)」の計4型をラインナップしている。売上や販売本数は非公表だが、担当者は「売上は年々増加傾向にあり、需要の高まりを感じている」と話す。同社ではフェミニンなブランドイメージとマッチした、ピンクやフリルといったガーリーなデザインが人気のようだ。
サンバリア100は、今年1月から子どもも大人も使える遮光日傘「Sサイズ + plus」(1万1000〜1万1300円)を発売。紫外線、赤外線、可視光線などをカットする同ブランドの高い遮光機能に、安全性に配慮したロクロや石突、つゆ先パーツを備え、子どもから大人まで幅広い年齢層が使えるシンプルなデザインに仕上げている。同製品は、1月の展開開始から既に約3000本が売れたという。
サンバリア100の担当者は、「地上に届くすべての光を100%カットする弊社の遮光日傘は、暑さを大幅に軽減しつつ、日焼けによる皮膚ダメージや疲労蓄積も同時に防ぐことができるため、炎天下での熱中症対策に非常に有効」だと説明する。
「『安心して使える』という点を意識して今後も改良を重ねていく」(小川)、「展開を拡大予定」(芦屋ロサブラン)、「日傘だけでなく、子ども用の帽子の展開も検討している」(サンバリア100)など、各社ともに、今後も日傘をはじめとした子ども向けの暑さ・熱中症対策製品の開発や展開に注力していくという。
気象庁は、今月27日に西日本各地の観測史上最も早い梅雨明けを発表するなど、今夏も全国的に長く過酷な猛暑日が予想される。日傘は老若男女問わず、今後ますます夏の外出時の必需品となっていきそうだ。
■小川:キッズ日傘特集サイト ■芦屋ロサブラン:公式サイト ■サンバリア100:公式サイト