【防災用電源完全ガイド】停電でも安心! 災害時に役立つ電源の選び方&活用術

1

2025年06月30日 17:01  BCN+R

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

BCN+R

停電でも安心!
 災害大国である日本において、停電対策は生活の質と安全を左右する重要な課題です。特にスマートフォンが生活の中心となった現代では、情報収集や家族との連絡手段を確保するための電源確保が欠かせません。本稿では、実測データに基づいて、災害時に本当に役立つ電源の選び方と活用法をご紹介します。

その他の画像はこちら

●防災用電源の基礎知識

 大きな災害が起きると、電気の復旧には時間がかかります。例えば2024年1月の能登半島地震では、一部地域で数日間にわたって停電が続きました。こうした状況に備えるため、適切な容量の電源を選び、確保しておきましょう。

 ポータブル電源の大きさを示す「Wh(ワットアワー)」という単位をよく目にしますが、これは簡単にいうと「どれだけの電気を蓄えられるか」を表しています。例えば、最近のスマホのバッテリーは3500〜5000mAh(13〜18Wh相当)程度。これと比べると、市販の1000Whのポータブル電源は、55〜75回ほど充電できる計算になります。ただし、実際に使う場合は変換時のロスが生じるため、この80%程度が使えると考えておくといいでしょう。

 最近の電源で便利なのが「USB PD」という規格に対応したポートです。これがあるとスマホの充電が格段に速くなり、30分ほどで80%まで充電できます。今年の新しいモデルでは、パソコンも充電できる100Wまで対応した機種が増えています。

 防水性能も見逃せません。災害時は雨の中で使うことも考えられるため、「IP65」以上の防水・防じん性能があると安心です。「IP」のあとの数字が大きいほど性能が高く、完全防水の「IP67」以上になると値段が2割ほど高くなりますが、状況によっては検討する価値があります。

 長期間の停電に備えるなら、ソーラーパネルも視野に入れましょう。今回の検証では、EcoFlowの「220W両面ソーラーパネル」と、BougeRVの「50Wソーラーパネル」の2種類を使ってみました。

 EcoFlowの220W両面ソーラーパネルは、よく晴れた日には160W程度の電気を作り出せました。これは、4時間ほどで約600Whの電力が得られる計算で、1000Whのポータブル電源が半分使われていても、半日で80%まで回復させられます。

 BougeRVの50WソーラーパネルはUSB-Cの出力で15W程度の発電でしたが、USB-C出力でスマホやモバイルバッテリーを直接充電するのに役立ちました。

●停電環境シミュレーション

 想定される電力消費を計測すると、スマホ充電が1回約15Wh、ノートPC(50Wで3時間使用)が150Wh、LED照明(10Wで6時間点灯)が60Wh程度。1000Wh電源(実効容量800Wh)だけでまかなうとすると、1日当たり約270Wh使用するとして、3日間(72時間)をこれだけで乗り切えられる計算になります。これにソーラー充電を組み合わせれば、容量を超えた消費にも対応可能です。

 例えば晴天日には220W両面ソーラーパネルで600Wh、50Wソーラーパネルで60Whを追加でき、合計660Whがプラスされます。これにより、電源残量が50%を切る前に太陽光で80%まで回復させる「サイクル運用」が可能です。曇天でもわずかな発電が見込めるため、まったくのゼロにはなりません。

 災害時の電源確保は「大容量=安心」だけではありません。天候や使い方に合わせた運用計画と、普段からのシミュレーションが鍵です。本稿のデータを参考に、ご家庭や持ち出し用に最適な組み合わせを見つけてください。これで72時間、安心して乗り切りましょう。(マイカ・秋葉けんた)

秋葉けんた

編集プロダクションのマイカに所属するITライター。雑誌、書籍、新聞、Web記事など、多岐にわたるメディアで執筆活動を行っている。特に家電やガジェット、IT関連の記事に豊富な実績があり、生成AIに関する書籍も多数手がけている。

    前日のランキングへ

    ニュース設定