
『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!
今週の研究対象
手芸ブーム(ジャパンクラフトHD)
実は今、手芸ブームが来ているのをご存じだろうか? コロナ禍や推し活の流行に伴って、追い風が吹いているという。ということで、手芸関連の上場企業を検討してみよう!
助手 今年も暑くなりそうですね。5月21日には岐阜県飛騨市で最高気温が35℃になり、2025年初の猛暑日が記録されたとか。
坂本 ほかにも日本各地で30℃超えの真夏日が相次いでいるから、ちょっと異常だね。
助手 この時期でこれじゃあ、夏本番が思いやられます。普通なら夏の連休でレジャー関連銘柄が潤うんでしょうけど、これだけ暑いと外出控えが起こりそうですよね。
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坂本 夏はエアコンが効いた涼しい部屋でって人が増えるかもしれない。
助手 夏休みを室内で過ごす人が増えて、儲かる会社ってないですか?
坂本 別に夏に限った話じゃないけど、「室内」って意味だと手芸ブームに乗れる企業は面白いと思います。
助手 手芸ブーム? 初耳です。本当にそんなのブームなんですか?
坂本 本当ですよ。このブームにはいくつか背景があるんです。まずコロナ。在宅の時間が増えたことで、家でもできる趣味として手芸が見直されました。
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助手 なるほど。まあわかります。
坂本 さらにコロナによる推し活市場の成長も追い風です。オンラインのイベントやコンテンツ配信が一気に普及したことで自分の「推し」を見つける機会が増えて、推し活をする人も増えたんです。
助手 それが手芸と結びつきます?
坂本 推し活のひとつとして、推しにちなんだチャームやぬいぐるみを持ち歩く人がいるんです。例えば、観光地とか飲食店で、アニメキャラクターのぬいぐるみの写真を撮ってる人とか見たことない?
助手 そういえば見ますね。
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坂本 ほかにも、去年あたりから「じゃら付けバッグ」なんてのもはやっています。推しのぬいぐるみやチャームをじゃらじゃらとたくさんつけて飾ったバッグのことで、女子高生発のブームだったのが、プラダのセカンドブランド・ミュウミュウがじゃら付けバッグにインスパイアされたコレクションを発表したことで、ハイブランドを購入する層にも浸透しつつあるんです。
助手 ひょっとして、その人形やチャームを手芸で作ってるってこと?
坂本 そう。オリジナルグッズを作って人と差をつけたいってニーズがあるんです。作った物をSNSで発信すれば推し活仲間もできるし。
助手 推し活にかける熱意ってすごいんですね。企業は儲かるわけだ。
坂本 さらに推し活とは少し違う文脈での手芸ブームもある。TWICEのモモが手編みのニット帽をかぶった姿をインスタグラムに投稿したのがきっかけで、アイドルファンにも編み物を始める人が増えたんです。
助手 いろんな追い風が吹いてるんですね。でも一過性のブームでは?
坂本 いや。今後、若い層を中心に手芸がもっと広がっていく可能性もあると思います。手芸はタイパ、コスパを重視する最近の若い人にうってつけの趣味だからね。
助手 どういうことです?
坂本 手芸の材料や道具は数百円から買えてコスパがいいし、簡単なものなら場所を問わずにスキマ時間で作れるからタイパもいいんです。
助手 確かに伸びしろはありそうですね。投資するならどの会社に?
坂本 手芸用品・クラフト専門店 「クラフトハートトーカイ」のジャパンクラフトHDかな。この数年は赤字ですが手芸ブームの追い風で黒字化は目前です。株主優待や配当もあるので、長期投資として少し買ってみるのもいいと思う。
今週の実験結果
今は赤字ですが、黒字転換すれば株価が大きく伸びそうです
構成/西田哲郎 撮影/榊 智朗