鍵山優真「五輪で目指すは金メダル」大技・4回転フリップ入りの新曲をノーミス

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2025年06月30日 18:20  webスポルティーバ

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【新SPは人気ピアニストとコラボ】

 ミラノ・コルティナ五輪が開催される2025−2026シーズンは、ショートプログラム(SP)、フリーともに新プログラムで挑む鍵山優真(22歳/オリエンタルバイオ・中京大)。

 6月27〜29日の『ドリーム・オン・アイス』で初披露したのは、SP『I Wish(回想)』だった。スティーヴィー・ワンダーの名曲を人気ピアニストの角野隼斗とギタリストのマーシンがカバーしている。この選曲について鍵山はこう話す。

「僕が最初に『ジャズっぽい、明るい曲調をやりたい』と振り付けのローリー・ニコルさんに言いました。というのも、北京五輪のショートがすごく自分に合っていると感じたので、4年を経て成長した自分らしいプログラムを見せたいと思った。同じ系統ではあるけど若々しさというより、もうちょっと成長したようなプログラムにしたかった」

 2022年北京五輪後のケガから本格的にした昨季、鍵山はSPに『The Sound of Silence』を選んだ。鍵山の静かなエッジワークとマッチするのではないかとニコルに勧められたという。当時、鍵山は「曲が静かな前半は、丁寧なエッジワークで僕の技術を最大限に見せ、曲が盛り上がるステップシークエンスでは、その盛り上がりに負けないような体の使い方や表現をしていきたい」と、新たな世界観に挑戦した。

【リズミカルに自分らしさ全開】

 その『The Sound of Silence』では、昨季2戦目のNHK杯でミスのない演技をして105.70点を出すと、次のフィンランド大会でもノーミス。GPファイナルと全日本選手権は完璧とはいかなかったが、年明けからはノーミスを続けて世界選手権では107.09点の高得点を出した。

 だが、ノーミスの演技でも北京五輪SPの108.12点を超えられないことに、もやもやしたものを感じてきた。だからこそ、勝負がかかった五輪シーズンへ向け、自分らしさが存分に発揮できるプログラムをもう一度演じたいという気持ちが強くなった。

「自分らしさ全開でショートもフリーもつくっていただいたけど、そのなかでも『I Wish』という楽曲は、自分のパーソナリティを100%出しきれるようなプログラムになっているので滑っていてすごく楽しいです」

 鍵山は『ドリーム・オン・アイス』の演技後にこう話した。その新プログラムは、「ローリー先生には『ちょっとこじゃれた男性をイメージして』と言われて。女の子たちが寄ってきて調子に乗るというか、ちょっと酔いしれているような感じ。いい意味で少し力を抜いたりしてニヤッとしたり......」と話すもの。リズミカルな曲調で始まると冒頭から全開で踊り出す滑りだ。

 五輪シーズンのSP『When You're Smiling』の流れる軽快なリズム感と比べれば、動きのなかに力感が出てきてメリハリもある、気持ちの余裕を持った踊りだ。

「最初から最後まですごく軽快なジャズ調のプログラムになっているので、楽しく盛り上がっていただけるのが見どころだと思います。終盤のステップシークエンスでもフィギュアスケートでは見られないような陸上の動きをすごく使っているので、振り付けをしたばかりの頃は全身が筋肉痛になっていたけど、今は少しずつ慣れてきたのかなと。手拍子で盛り上げていただけるとすごくうれしいなと思います」

 演技中は、坂本花織らの女性スケーターがリンクサイドのフェンスに並び、ノリノリで踊りながら声援を送っていた。

【目指すべきは五輪の金メダル】

 新SPのジャンプ構成は、最初に4回転トーループ+3回転トーループを入れたあと、昨季からフリーで入れるようになった4回転フリップを跳び、後半にトリプルアクセルを跳ぶ。昨季の4回転サルコウを入れていた時よりも基礎点を1.30点上乗せする意欲的なプログラムだ。

 その構成も初日の公演では4回転フリップがパンクするミスが出て自己評価は「85点」の出来。2日目の昼公演でもフリップは転倒と悔しい思いをしていた。だが、2日目の夜公演では余裕を持って最初の連続ジャンプを決めたあと、4回転フリップもきれいに降りて、トリプルアクセルも完璧に跳ぶ、ノーミスの滑りをした。

「今シーズンの一番目指すべき場所は、五輪の金メダル。団体も個人も金を目指しているので、そのために今から一日も無駄にすることなく努力していかなければならない。昨シーズンは自分に負けてばかりのシーズンだったので、今シーズンは本当に一日一日を過ごすなかで、反省点や課題をしっかりと出して、充実した生活を送れるようにしたい。それを積み重ねていけばおのずと目標につながっていくと思う。本当に一日一日をしっかり大事に」

 今季は7月の試合から出場予定で、早めに仕上げてGPシリーズはベストの状態で戦えるように備えていくという鍵山。鍵山は世界選手権3位で、1位と2位の選手が優先的にGPシリーズの出場大会を選ぶなか、鍵山のGP初戦はNHK杯、2戦目は最終戦のフィンランド大会になった。12月の全日本選手権まで中1週でGPファイナルを含めた4試合を戦うスケジュールだ。

 フリーのプログラムはまだ発表前だが、昨季終了時には4回転ルッツを入れたいとの意向も口にしている。高難度への挑戦となるだけに、いつものシーズンより早めに始動してプログラムの完成度を前倒しで高めていくことで、NHK杯からの過密日程を戦いやすくしたい思いもあるだろう。その点では、『ドリーム・オン・アイス』でのノーミスの演技は、彼にとって大きな自信になっているはずだ。

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