帝王賞2025に出走するディクテオン(撮影:Spice Upさん) 上半期のダート中距離王者決定戦として長い歴史を持つ帝王賞(4歳上・JpnI・ダ2000m)。中央・地方の交流競走となったのは1986年のことで、ダートグレード制の導入よりずっと古い。80年代はチヤンピオンスター、フェートノーザン、90年代にはアブクマポーロ、メイセイオペラなどが中央馬を迎え撃ってきたが、気づけば10年のフリオーソを最後に地方馬は勝利から遠ざかっている。だが、今年はダートグレード競走でも好走歴がある実力派が複数エントリー。ひさびさの“快挙”はあるだろうか。
中でもディクテオンはJRA所属時に23年浦和記念、名古屋グランプリ、24年白山大賞典とダートグレード重賞3勝を挙げている実績馬。今春、大井競馬に転入すると、初戦のダイオライト記念こそ4着だったが、前走の川崎記念では直線であわやのシーンをつくる3/4馬身差の2着だった。脚の使いどころが難しい印象だが、ハマったときの爆発力はJpnIでも見劣りせず、昨年3着以上の結果を期待したくなる。
シンメデージーは悲願がかかる。高知生え抜き馬として存在感を示し、昨年は東京ダービー4着、ジャパンダートクラシック5着で、ともに地方馬最先着を果たすなど、ダート三冠路線で話題をさらった。その後も暮れの名古屋大賞典で3着、今年の佐賀記念、名古屋グランプリで2着と悲願のビッグタイトルまであと一歩。相手はさらに強化されるが、前走で先着を許したサンライズジパングは不在であり、上位食い込みの場面は十分考えられる。
ほかにも、復活が待たれる南関東三冠馬ミックファイア、昨年の南部杯で3着に入ったキタノヴィジョンと役者は揃った。中央馬も強力だが、今年こそ地方馬が意地を見せるか。その戦いは初夏の暑さより、熱いものになりそうだ。