
「もうすぐボーナスが入る」と思うと、つい財布のヒモがゆるんでしまうという人もいるのではないでしょうか。けれども、まだ手元にないお金をあてにして使ってしまうと後悔することになりかねません。
そこで今回は、ボーナス前後で変わりがちな気持ちや行動に注目し、ボーナスを上手に、そして計画的に生かすためのヒントをご紹介します。
ボーナス前にありがちな“見込み消費”に注意
「もうすぐボーナスが入るから大丈夫」と油断して、まだ振り込まれていないお金を先に使ってしまう“見込み消費”。そんな経験、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。特に夏は、旅行、レジャー、セールなど外出機会が増える時期。人々の消費意欲が高まるこのタイミングを狙って、企業側も夏季限定のセールやイベント、ボーナス払いキャンペーンなどの販促を強化してきます。「今ならお得」「ボーナス払いOK」などの言葉に背中を押されて、つい予定外の支出に踏み切ってしまうケースも少なくありません。
|
|
さらに、ボーナス前後には思わぬ出費が重なることもあります。例えば、エアコンが突然故障した、実家への帰省費用がかかった、友人や親戚の急な冠婚葬祭が入った……など、予定外の出費は避けられないものです。
このような状況に備えるためにも、「まだ手元にないお金は使わない」という基本姿勢が大切です。ボーナスは確かにありがたい臨時収入ですが、もらう前にあてにし過ぎず、冷静な判断で計画的に使うことが、後悔しないお金の使い方につながります。
入金されてから「仕分け」するのが正解
ボーナスが入ると、つい気持ちが大きくなりがちですが、「入金されたらまず仕分ける」ことが、後悔しない使い方の第一歩です。使い道をざっくりでもいいのであらかじめ3つに分けておくと、気持ちに余裕が生まれます。仕分けの目安は「貯める」「支払う」「楽しむ」の3つ。もちろん割合は各家庭のライフスタイルや家計の状況によって異なりますが、ここではボーナス50万円を受け取ったケースを例に見てみましょう。
|
|
ボーナスの5割は「貯める(将来の備え)」
まずは25万円を貯金に。生活費用の口座とは別に、貯蓄専用の口座を用意し、ボーナスが振り込まれたらすぐに移しておくのがおすすめです。「旅行資金」「老後の備え」「急な出費への準備金」など、目的に合わせて分けておくと、いざというときにも安心です。ボーナスの3割は「支払う(家計の補填(ほてん))」
次に15万円ほどを、生活費の補助に。例えば、エアコンなど家電の買い替え、車の車検、固定資産税の支払い、子どもの教育費など、まとまったお金が必要になりやすい支出をここでカバーしておくと、日常の家計にゆとりが生まれます。ボーナスの2割は「楽しむ(自分や家族のごほうび)」
残りの10万円は、「本当に欲しかったものを買う」「家族でちょっとぜいたくな外食をする」「近場でプチ旅行」など、自分や家族の笑顔につながる使い方を。あらかじめ金額の上限を決めておくことで、気持ちよく使いつつも、ムダ遣いを防げます。このように、ボーナスは「入ってから使い道を決める」のではなく、「入ってすぐ仕分ける」ことで、満足度も管理力もグッと上がります。将来に備える安心感と、今を楽しむ豊かさ、その両方を叶えるために、少しだけ立ち止まって仕分けの時間を取ってみましょう。
ボーナスは家計の“リセット”にも使える
「理想通りに仕分けなんてできない……」「正直、今は立て直しが最優先……」。そんな方もいるのでは。そこで番外編として、“家計リセット”という視点でのボーナス活用法をご紹介します。
|
|
「せっかくのボーナスがすぐ消えてしまう……」とがっかりするかもしれませんが、その一歩が将来の選択肢や余裕を広げてくれることにつながります。だからこそ、まずは家計の負担を軽くするためにボーナスを使うのも立派な活用法です。
とはいえ、全てを返済に回してしまうのは少し寂しい……ものです。例えば1割だけは自分や家族へのプチごほうびに使うなど、心が喜ぶことを大切にしながら、上手にバランスを取ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
ボーナスはうれしい臨時収入。なんとなくという気分に流されず計画的に使うことが大切です。未来の備えと今の楽しみをバランスよく考えつつ、自分や家族の家計の未来を見据えた使い方を意識しましょう。舟本 美子プロフィール
会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方を発信。3匹の保護猫と暮らす。All About おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド。(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))