<阪神1−0巨人>◇2日◇甲子園
巨人阿部慎之助監督(46)が、就任2年目で監督として初の退場処分を受けた。2日の阪神戦14回戦(甲子園)で0−0の8回裏、本塁クロスプレーで一度はアウトの判定が、阪神藤川監督からのリクエストでセーフに覆った。直後に投手交代を告げる際、山本球審に「根拠を教えてほしい」と抗議。責任審判の吉本一塁塁審から退場を言い渡され、二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ(49)が監督代行を務めた。現役時代の14年7月の阪神戦以来で、球団の監督では74年川上哲治以来51年ぶりの退場処分となった。チームは完封負けで2連敗。首位阪神と5・5ゲーム差に拡大した。
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震え上がる感情をのみ込んだ。敗戦から数分後。阿部監督は報道陣の前で口を開いた。「見た限りは、アウトに見えた。森下くんは、諦めてた感じだったので。抗議しちゃいけなかったんですけど、思わずしちゃいけないことをしちゃったので、申し訳ないです。退場処分になって、最後までチームの指揮を執れなかったというのは監督として良くはないこと。選手たちにも申し訳ないなと思います」と冷静に努めた。
熱帯夜の激闘に一切の妥協は許されなかった。同点の8回2死一、二塁。田中瑛の初球を打った阪神大山の打球は遊撃手・泉口の左肩付近をはじき、カバー入った二塁手・吉川が本塁に返球。本塁に突入した森下と捕手・甲斐がクロスプレーになった。山本球審はアウトの判定も、藤川監督からのリクエストでセーフに覆った。
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直後、阿部監督は三塁側ベンチを出て山本球審に投手交代を告げるだけのはずだった。だが、どうしても我慢ならなかった。「『(判定が覆った)その根拠は教えてもらえないんですか?』って聞いたら、『(審判団から)これは抗議できません』と言われたんで『それはわかってるので』と。『これで抗議したら退場になりますよね?』という確認もして」。完全敵地の甲子園で、1歩も引かなかった。
球団の監督ではV9に導いた川上哲治監督以来、51年ぶりの退場処分となった。自身としては現役時代の14年7月11日阪神戦(東京ドーム)以来。真意は勝負への強いこだわり以外、ほかはない。「僕自身、必死にやってる選手がいて。自分を失って熱くなってしまったので、申し訳ないなと思います。アンパイアにも選手にも申し訳ないなと思います」と頭を下げた。
戦いの船頭を預かる監督の重責は、想像をはるかに超える。この日は8安打も1点がとてつもなく遠かった。「そこはみんな必死に打とうと思ってる結果だから。とにかく明日はね、負けれない。切り替えてやるしかない」。晴らすには勝つしかない。【為田聡史】
▼阿部監督の退場は選手時代の14年7月11日阪神戦以来2度目。監督の退場は22年5月14日井口監督(ロッテ)以来で、巨人の監督では74年7月9日大洋戦の川上監督以来、51年ぶり。川上監督は2回、平光球審への暴行で退場となった。川上監督以前には、56年7月31日に、この日と同じ甲子園球場の阪神戦で水原監督が退場。1リーグ時代の49年4月14日南海戦では三原監督が退場となり、出場停止処分を受けた。
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