ARグラス「XREAL One Pro」は先代から何が変わった? Android XR対応「Project Aura」も2026年に日本発売へ

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2025年07月02日 23:00  ITmedia Mobile

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XREAL One Pro

 日本XREALが、ARグラス「XREAL One Pro」を発表した。独自の光学機構「X Prism」を搭載し、視野角57度という広い映像表示を実現している。価格は8万4980円(税込み)で、7月2日から予約販売を開始し、7月24日に発売する。


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 XREALのARグラスは、サングラス型のディスプレイデバイスだ。スマートフォンやPC、ゲーム機とUSB Type-Cケーブルで接続すると、目の前の空間に大画面が浮かび上がる。実際の視界を保ちながら映像を重ねて表示できるため、新幹線や飛行機での移動中でも大画面で作業ができ、カフェでは周囲を確認しながらプライベートな画面で仕事ができる。


 XREAL One Proの最大の特徴は、ARグラス市場で最も広い57度の視野角だ。従来モデルのXREAL Oneが50度だったのに対し、ユーザーが体感する画面サイズが38%拡大している。10メートル先に420型相当の仮想スクリーンが広がる計算になる。また、32:9のワイドスクリーンに加え、21:9のアスペクト比にも新たに対応した。


●ディスプレイは最大700ニトに向上


 ディスプレイの最大輝度は700ニトに向上し(XREAL Oneは600ニト)、昼間の明るい環境でも視認性を確保している。リフレッシュレートは120Hzを維持し、滑らかな映像表示を実現した。ディスプレイはソニー製の次世代0.55型マイクロOLEDを採用している(XREAL Oneは0.68型)。


 音響については引き続きBoseと共同でチューニングを行い、ノイズ抑制機能も強化されている。本体重量は約87gに抑えられており、長時間の装着でも負担が少ない設計となっている。


 自社開発の空間コンピューティングチップ「X1」もOneから引き続き搭載する。3自由度(3DoF)のヘッドトラッキングに対応し、レイテンシを3ミリ秒に抑えている。別売りのカメラアクセサリー「XREAL Eye」を装着すれば、6自由度(6DoF)にも対応し、空間に画像や情報を固定する「空間アンカー」機能も利用できる。


●軽量化を実現した新光学エンジン「X Prism」


 新開発の光学機構「X Prism」は、従来の「BirdBath」方式から大きく進化した。プリズムの形状を斜め型からスクエア型に変更することで、光学モジュール全体を44%軽量化している。同時に下方向からの光の反射を90%以上カットし、より鮮明な映像表示を実現した。


 「より良いスペックを追求すると、製品は重く大型化しがちだ。その逆を実現するのに非常に苦労した」とXREALのCEO兼創設者Chi Xu(チー・シュー)氏は開発の困難さを語る。テンプル部分の薄型化には多くの機械的イノベーションが必要だったという。


 ディスプレイサイズが0.68型から0.55型に小型化されたにもかかわらず、視野角が拡大できた理由について、Xu氏は「新しい光学システムにより、小さなパネルでもはるかに大きな視野角を実現できた。光学系はより複雑になり、部品点数も増えたが、品質を保ちながら組み立てる技術を確立した」と説明する。


●XREAL Oneも販売継続 約1万5000円ある価格差の理由は?


 XREAL One ProとOneの価格差は約1万5000円に設定されている。この差について同氏は「新しい光学設計には多額の投資を行っている。工場への投資も含めて、開発費用が価格に反映されている」と説明する。


 XREALは業界で初めてこの技術の量産化に成功した企業だという。光学モジュールの自社工場を中国国内に保有していることが、新設計の実現につながった。


 X1チップの搭載により、XREAL OneとOne Proでソフトウェア機能は共通化されており、両モデルとも最新のファームウェアアップデートで利用可能だ。販売についても両モデルで併売していく方針という。


 「ソフトウェアでは共通の運用を行う。唯一の違いは視野角だが、One Proは光学設計の特性上、環境光の反射がはるかに少ないという利点もある」とXu氏は両モデルの差別化について語っている。


 外観は似ているものの、ヒンジ部分には内部的な修正が加えられている。「見た目は同じだが、内部にはいくつかの改良を施した」とXu氏は説明する。


 ちなみに、米国では2024年末にXREAL OneとOne Proが同時発表されたが、日本でのOne Pro発売は約半年遅れとなった。この理由について問われたXu氏は「主に2つの理由がある。1つは製造面での事情、もう1つはトランプ関税の影響でプレッシャーがあった。ただ、主な理由は製造面の事情だ」と説明した。既に米国には1万台のOne Proが出荷されているという。


●瞳孔間距離に合わせて2サイズを用意


 XREAL One Proは瞳孔間距離(IPD)に応じてMサイズ(57〜66mm)とLサイズ(66〜75mm)の2種類を用意した。これにより、約95%のユーザーに最適な視聴体験を提供できるという。公式サイトではIPD測定ツールも提供している。


 予約期間中(7月2日〜7月23日23時)に購入すると、Nintendo Switchなどを接続する際に用いるXREAL Hubが無料でプレゼントされる。なお、光学系の変更により、XREAL One用の度付きレンズはそのまま使用できない。


●Android XR対応の「Project Aura」、2026年に日本で発売へ


 Xu氏は将来の展望として「Project Aura」も紹介した。GoogleおよびQualcommと提携し、Android XRエコシステムに対応した初のARグラスとなる予定だ。視野角は70度を超え、新開発の「X1S」チップを搭載する。2026年の発売を目指しており、日本でも米国と並行して導入される計画だという。


 「Android XRの登場により、ARグラスは新たな段階に入る」とXu氏は語る。従来のAndroidアプリが自動的に変換される仕組みにより、YouTube、Chrome、Google マップなど、主要なGoogleアプリは既にXR用に最適化されているという。また、AIアシスタントのGeminiとの統合により、音声操作を中心とした新しいユーザーインタフェースも実現される。


 Xu氏は製品ラインの位置付けについて「ウェアラブルディスプレイとしてのOne/One Proと、空間コンピューティングデバイスとしてのProject Auraは別カテゴリーの製品だ。Auraは置き換えではなく、並行して販売していく」と説明した。価格帯についても「HoloLensやMagic Leapと同じカテゴリーになるため、One/One Proより高価になる」と示唆した。


 「日本で最初のAndroid XRデバイスがXREALから登場することを強調したい」とXu氏は日本市場への意気込みを語った。



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  • 特別なんつけなあかんやん。早く伊達メガネなんでも+プロジェクタみたいなやつを
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