2026年のワールドカップ観戦への心得 最大の問題とされる酷暑よりも大変なことがある

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2025年07月03日 07:20  webスポルティーバ

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 現在アメリカで開催中のクラブワールドカップは、ベスト8が出そろった。ヨーロッパ勢優勢は質量のうえで当然の結果だが、ブラジル勢をはじめとする"非欧州勢"の健闘も目立つ。

 そんな大会結果とは別に、やはり気になるのは、来年アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で共催されるワールドカップがどうなるのか、ということだ。

 3カ国共催とはいえ、全試合の4分の3はアメリカで行なわれるのだから、クラブワールドカップを取材していて、"来年の下見"という視点は欠かせなくなる。

 さすがはスポーツエンターテインメントの最先端を行くアメリカだけあって、スタジアムはどこもすばらしい。

 1994年にもアメリカでワールドカップが開催されているが、当時と同じ開催都市はあっても、同じスタジアムはひとつもない。実際に訪れたことのある来年の試合会場に関して言えば、球技専用で試合は見やすく、大型ビジョンなどの設備は、日本とはまったくレベルが異なるものも多い。試合前後の時間を過ごすにしても、コンコースも広いので圧迫感がなく、値段さえ気にしなければ、飲食も充実している。

 ただし、日本同様、夏の暑さは大きな課題だ。

 幸いにして、ワールドカップの試合会場には屋根付きドーム型スタジアムがいくつかあり、そうした会場では暑さを気にする必要はないのだろう。だが、屋根のないスタジアムの、しかも昼の試合ともなれば、酷暑との戦いが待っている。

 実際、今大会でも、それが東海岸であろうと西海岸であろうと、正午キックオフの試合では、厳しい暑さに苦しんだことを吐露する選手は多かった。

 と同時に、突然の豪雨もまた、日本と同様の難題だ。

 たとえば、現地6月18日にシンシナティで行なわれたパチューカvsザルツブルクでは、雷雨で試合が中断。これは事前に天気予報でかなり正確な降り出し時間が把握されており、ある意味で予定されていた中断ではあったのだが、選手はもちろん、観客にとっても余計な準備を強いられる。

 また、同6月26日にフィラデルフィアで行われたザルツブルクvsレアル・マドリードでも、日中は30度を超える暑さだったのに、試合開始の少し前から冷たい風が吹き始め、キックオフを待っていたかのように激しい雨が降り出した。

 この日は試合が中断するほどではなかったものの、来年のワールドカップも天候には注意が必要な大会になるのだろう。

 その一方で、芝の問題は、昨年の同時期に行なわれたコパ・アメリカのときほど話題になっていない。

 アメリカのスタジアムでは、ドーム型はもちろん、屋外型でも、人工芝を使っているところが多いが、今大会はその上に天然芝を敷き詰め、試合が行なわれている。

 昨年のコパ・アメリカではそれがあまりにも雑な処置だったため、上に乗せた天然芝がはがれたり、つなぎ目がずれたりと、各国の選手や監督から不満の声が多数聞かれたが、今大会ではそれがない。

 FIFAも、アメリカの大学との共同研究で準備を進めた天然芝にはかなり自信を持っており、ある関係者は「芝は完璧だ。CONMEBOL(南米サッカー連盟)とは違う」と断言する。

 ワールドカップ本番では、会場ごとの試合数も増えるため、特にドーム型のスタジアムを中心にまったく不安がないわけではないが、今のところ、大きな心配はなさそうだ。

 ただ、正直なところ、アメリカを訪れてみて一番感じるのは、来年開催されるワールドカップに対する関心の低さ。現在開催中の今大会も含め、どの都市にも高揚感というか、盛り上がりというか、大きな大会が来年に迫っているという雰囲気がまったくと言っていいほどないのだ。

 空港や街にポスターやバナーなどはなく、テレビのニュースを見ていても、話題はシーズン真っただなかのMLB、ちょうどドラフトが行なわれたNBAとNHL、新シーズンに向けたキャンプ中のNFLが中心。サッカーについては、まったくと言っていいほど触れられることがない。

 実際、大会前に立ち寄ったカンザスシティで、大学やプロチームなどが所有する施設をキャンプ地としての活用へ、ワールドカップに出場する各国代表チームの招致に動いている、とのニュースを目にしたくらいだ。 

 また、これが最大の懸念点なのだが、コロナ以後、アメリカの物価高騰はすさまじく、飛行機やホテルの費用がかなり高い。今大会では、海外からやってくるサポーターの数がそれほど多くはないにもかかわらず、である。

 ワールドカップともなると、試合の有無に関係なく、街中で各国のユニフォーム姿のファンを当たり前に見かけるが、今大会ではそれがない。中南米勢のそれをときどき見かける程度だ。

 つまり、今大会目当てに渡米した観戦客は少なく、まだまだ飛行機やホテルの争奪戦は穏やかなはずなのに、それでも十分に高い。世界各国からファンやサポーターが大挙してやってくる来年はどんなことになるのか、不安は募る。

 一歩スタジアムに入れば、すばらしい観戦環境が待っていることがわかってはいるのだが、そこにたどり着くまでが、気候や移動時間、時差も含めてひと苦労。来年のワールドカップは、そんな大会になりそうである。

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  • 金も土地もある国はバカバカ新しいスタジアム作ってすげーな。
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