
セクシー女優になると今までの友達と疎遠になってしまうという噂は、昔からよくいわれています。これは80〜90年代デビューの女優さんが、そもそも女優の人数が少なかったことから多くの人に顔が知られてしまい、友人にもバレてしまうことが多かったという話から始まったものらしいです。
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今は職業に対する偏見が薄くなっており、デビューが理由で仲良しグループだった友達たちが離れていってしまう例はめずらしいのではないでしょうか。また親公認のセクシー女優も多く、平成後期以降は人々の考え方が大きく変わったといえます。
とはいえ、セクシー女優への偏見がゼロになったわけではありません。職業がきっかけで誰かと疎遠になる話は未だに存在し、筆者もこれは経験済みです。ではどのように友達が離れてしまったのか、振り返ってみましょう。
引きつる友達の顔に、アチャー以外の感情なし
まずは筆者の友達だったYちゃんの話です。彼女は親友ではないのですが、いわゆる“趣味友”で、かれこれ7年くらいの付き合いがありました。
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当時はお互いに忙しく、1年くらい顔を合わせていなかったので久しぶりに再会。近状報告がてらお茶をし、「最近あーやちゃんは何をしているの?」と聞かれました。
ここで私は隠せば良いものの、あっけらかんと職業を言ってしまいます。当時の自分は「嘘も方便」というオトナの対応ができず、何事も正直でいることが正義だと勘違いしていたからです。
案の定、顔が引きつるYちゃん。驚くくらい微妙な空気が流れたのを、今でも忘れません(苦笑)しかも彼女は高学歴かつ、絵に描いたような真面目な人だったため、たぶんかなり軽蔑していたと思います。凍った空気の中でお茶会は解散、以降連絡は一切ありませんでした。
これは友達が悪いのではなく、相手を選ばずに喋った自分に原因があるでしょう。嘘をつくか否かといった話ではなく、よく考えてから言わなければならない問題だったと、今になってから思います。
引きつった表情が記憶から離れないのですが、「あれが世間一般のリアクションか」と自分を戒めるにはぴったりの体験でしたね。
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急なSNSブロック!からの数年後、呼び出しが!?
Yちゃん事件が起きて以来、「嘘も方便」という言葉を心に刻んだ筆者は、職業カミングアウトに関しては慎重になっていました。しかし次のさよならは近くまで迫っていたのです。
次に離れていく友達は、大人のお店で働いている学生時代の後輩です。彼女にカミングアウトをしたのは、女優デビューしてから半年くらい経った頃でした。
偶然、後輩と会う機会ができたので、様子を見ながら慎重に秘密を打ち明けます。後輩はカミングアウト時にはさほど驚いた様子もなく、むしろ背中を押してくれるほどでした。しかし2週間くらいが経過した頃、「セクシー女優とかきも笑」というInstagramのストーリーをアップし、筆者のアカウントはブロックされてしまいました。
2週間の間に後輩と遊んだわけでも、連絡を取り合ってもいないため、「思い返したら、やっぱり知人が女優とか無理だわ」という考えに至ったのかもしれません。似たような商売に就いていても、分かり合えるとは限らない現実を知りました。
それにしても1度は肯定してくれたのに、時間差で激しく否定されたことには非常にショックでしたね……。
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ただ、この話は“ブロックされておしまい”ではありません。実は1年後くらいにしれっと後輩からLINEが来て、「大規模な飲み会を開くから参加してほしい。久しぶりに会いたい」とお誘いを受けます。
「おいお前。ブロックしたくせに」なんてツッコミはさておき、筆者は年単位の時間が経過しすっかりと業界に染まっていました。セクシー女優という肩書きが悪い影響をもたらすことを理解していたため、「ただ話題が欲しいだけだな」と察したのです。
そのため筆者はこのお誘いを丁重にお断りします。もちろんその後メッセージは来ることがなく、いわゆる既読スルーをされてしまいました。この時の学びは、カミングアウトによって生じる悪い影響は偏見の目だけではなく、時に相手が敵のような存在に変わる可能性もある点です。
人間不信になってしまいそうなエピソードですが、これでももしかしたらマシな方かもしれません。セクシー女優の知り合いに話を聞くと、クラスのグループLINEに女優用SNSアカウントやパッケージを流されたり、家に突撃されたりと、もっと悪質な話が山ほど存在します。
セクシー女優といえど犯罪者ではないので、職業だけが理由で攻撃を受けるとやはり悲しい気分になります。そのため、偏見が当たり前のセクシー女優という仕事に就いても、今までと変わらず仲良くしてくれた友達には、心の底から感謝しています。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。