ラストキングから未来のキングへ−。85、86年に2度の3冠王に輝いた元阪神のランディ・バース氏(71)が、阪神佐藤輝明内野手(26)に「本塁打王への4つの金言」を授けた。7月上旬に来日したレジェンドは、現在21本塁打でタイトル争いを独走する後輩を絶賛した上で、自身以来39年ぶりの虎戦士の本塁打王誕生を期待した。チームは8日から2位広島との3連戦(マツダスタジアム)へ。バース氏も認める主砲が今季最長9連勝、球団セ・リーグ通算5000勝へ虎を導く。【取材=林英樹】
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佐藤輝の未来を想像するバース氏の表情は、柔らかかった。自身以来39年ぶりとなる猛虎プレーヤーの本塁打王誕生へ。4つの金言を後輩に送った。
<1>本塁打を打とうとするな
「私は1度もホームランを打とうと思って打ったことはなかった」と断言。意識したのはバットの芯で捉え、強いスイングをすることのみだった。
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「ボールが飛ぶところ、どこまで飛距離が出るかはコントロールできない。佐藤選手もホームランを狙って打席に立つことを避けるというか、とにかく来た球を強く打つ。それだけに集中したらいい」
<2>優勝争いをプラスに
85年は21年ぶりのリーグ優勝を達成。頂点に近づく高揚感も力に変えた。
「毎日、球場に来る時に集中力が高まります。どんどん優勝の確率、可能性が高くなっていくことで、モチベーションだけでなく、集中力も両方すごく上がる。プラスに働きますよ」
<3>内角をさばいて広角打法
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今季、中堅から左翼への本塁打を増やしている佐藤輝の取り組みに、バース氏は納得顔だ。イベントで甲子園を訪れた1日巨人戦では実際にその姿を見た。
「左方向に打てるように。全ての方向にボールを打てたら成功する。試合を見たら、その日はずっと内角を攻められていた。そこでアウトを取られたら、外角は攻められなくなる。外角を攻められなくなったら、反対方向への本塁打、長打は難しくなる。まずは内角をうまくさばくことです」
<4>自分らしさを忘れないで
1日に対面した際、バース氏は同じ3月13日生まれの佐藤輝に「いい誕生日だね」と話しかけた。「リラックスした状態を作って、その状態で試合に臨んでほしかったから」だという。
「佐藤選手は素晴らしい能力を持っている選手。彼にしかできないことがある。だから、彼らしくプレーしてほしい。他の選手をまねる、目指すとかはしなくていい。佐藤選手は佐藤選手ですから」
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レジェンドは歴史が塗り替えられる瞬間を、今か今かと待ちわびている。
○…佐藤輝は横浜から広島への移動日を静養に充てた。チームは8連勝と勢いに乗るが、屋外ゲームが続く。「メリハリをつけて、休む時は休んでおかないとバテちゃうんで。しっかり治療して、コンディションを整える時間にしたい」。8日の相手先発は今季9打数1安打の広島床田。「丁寧に緩急をつけながら本当にいいピッチングをしてくる。こっちも粘ってチームで丁寧にやっていきたい」と左腕エース攻略をイメージした。
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