2年連続最下位→リーグ3連覇 高山郁夫が語る「オリックス黄金期はこうして創られた」

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2025年07月08日 10:30  webスポルティーバ

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高山郁夫の若者を輝かせる対話式コーチング〜第15回

 オリックスのリーグ3連覇(2021〜2023年)など、数々の球団で手腕を発揮してきた名投手コーチ・高山郁夫さんに指導論を聞くシリーズ「若者を輝かせるための対話式コーチング」。第15回のテーマは「オリックスがリーグ3連覇を成し遂げた理由」。昨季までオリックス監督として黄金期を築いた中嶋聡氏(現・オリックススペシャルアドバイザー)のエピソードなど、チームの変化を語ってもらった。

【中嶋監督は常識を疑う指揮官】

── オリックスは2020年シーズン途中で西村徳文監督が退任し、二軍監督の中嶋聡監督が昇格しました。翌2021年にはリーグ優勝を飾ることになるわけですが、何が変わったのでしょうか?

高山 支配下選手全員にチャンスを与えるスタンスでしたので、選手たちのモチベーションが上がり、チーム全体に活気が出てきたことが、変化の要因かなと思います。

── 中嶋監督はどんな指揮官でしたか?

高山 本当にこれが最善策なのかどうか、別の視点からもじっくり考えていたと思います。いわば「常識を疑う」監督でした。

── 投手起用は酷使をせず、シーズン通して無理なく運用する印象がありました。

高山 特に投手の故障は、運用と管理に大きく左右されます。その意味ではやりやすい環境でしたね。

── キャンプの練習内容も変わったのですか?

高山 全体練習の時間よりも、個別の時間を多くとり、それぞれの課題に向き合う形の春季キャンプでした。

── オリックスの春季キャンプは宮崎・SOKKENスタジアム(宮崎市清武総合運動公園)で一軍も二軍も実施しています。投手陣のブルペンは一・二軍とも同じ場所を使いますが、選手にとっては刺激のある環境なのではないですか。

高山 一軍のベテランから、育成の若手まで同じブルペンで投球練習する環境は、若手にとっては本当に刺激になると思います。また、コーチ間の情報共有もスムーズで、投手全体の状態を把握しやすいメリットがありました。

【オリックスが3連覇を果たせた理由】

── 中嶋監督は現役引退後にアメリカへコーチ留学するなど、MLBの育成システムから影響を受けていると言われます。現役時代にアメリカ留学を経験した高山さんも、中嶋監督の考えに共感するところがあったのではないでしょうか?

高山 そうですね。コンデショニングに対しての配慮は徹底して、常に選手ファーストの方向性は共感できました。アメリカの野球観と先端技術を取り入れ、うまく融合させていた印象です。

── 中嶋監督は攻守交代時や走塁時の全力疾走を選手に求めたそうですが、日本式とアメリカ式を混ぜ合わせたということでしょうか?

高山 中嶋監督が唯一選手に求めたのは、ファーストへの全力疾走でした。日米プロアマ問わず、基本中の基本だと思います。私の野球留学時に、あるマイナー選手の怠慢走塁があり、翌日にその選手のロッカーから名札と荷物が消えていました。

── そうなのですか?

高山 当時所属していた球団関係者から、ルーキーリーグやシングルAは、教育的観点から怠慢プレーに対して相当厳しい対応をすると聞きました。イメージと違って、少し驚きました。

── 中嶋監督になって文化がガラッと変わったことは理解できましたが、2年連続最下位のチームが翌年からリーグ3連覇を成し遂げるのは尋常ではありません。なぜ優勝できたのでしょうか?

高山 低迷していたチームですから、中嶋監督と選手たちとの根比べでもあったと思います。潜在能力を引き出しながら、選手たちを信じ、辛抱して戦った結果が3連覇につながったと思っています。

── オリックス投手陣は球速の速い投手が多い印象です。

高山 これは、福良淳一GMをはじめとするフロントの方針と、スカウト陣の力だと思います。

── 山本由伸投手(現・ドジャース)や宮城大弥投手など、もともとコントロールのよかった投手が、プロでスケールアップして大成したイメージです。

高山 そうですね。ふたりとも入団時から投手としての総合力が高かったです。球威がクローズアップされがちですが、しっかりとボールを扱えて守備もうまいので、安定した成績を残せていると思います。(今季も)故障せず、健康で長いシーズンを乗り切ってほしいと思います。

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