
なんらかの事情でひとりぼっちになり、動物愛護センターや保健所に収容された犬猫は、一定期間元飼い主からのお迎え、あるいは保護団体などからの保護の申し出を待ちます。
しかし、この期間内に引き取り手が見つからない場合は、おおむねシニアや重篤な持病を持つ犬猫から先に殺処分を受けることになります。
2024年に九州の動物愛護センターに収容されたメスの豆柴、つららも一定期間を過ぎても元飼い主からのお迎え・保護団体からの引き出しの声がかからなかったワンコでした。
殺処分の日が刻一刻と迫る中で…
言い換えればつららもまた、殺処分となる日が近づくワンコでした。
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つららの存在を知った福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすの代表は、つららに会うためにセンターを訪問しました。
そこで会ったつららは、「初対面の人になかなか懐かない」と言われる柴の血を引いているにもかかわらず人懐っこく笑顔を浮かべ代表に尻尾を上げてご挨拶。
こんなに明るくかわいい1匹のワンコが、人間の身勝手、人間社会の都合で殺処分されることは絶対にイヤだ…そう思った代表は急いで、団体に提携する預かりボランティアさんの受け入れ状況を確認。そのうちの1人の預かりボランティアさんが「私が受け入れますよ」と言ってくれ、ここで保護を決意しました。
散歩好きすぎの性格がゆえ…
この預かりボランティアさんは以前も、殺処分が決まっていた中型の雑種犬を引き取り、最期までしっかりと看取ってくれた経験があります。また、昨年はシニアのダックスを一時預かりし、無事に新しい家族へと送り出してくれました。どんなバックボーンのワンコ、どんな状態のワンコでも向き合い、寄り添ってくれる優しい預かりボランティアさんです。
この家にやってきたつららは初めての場所に緊張しつつも、すぐに部屋の中を探検。興味津々の様子ですが、この家にいる猫ちゃんを威嚇することなどもなく、すぐに馴染みました。
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また、つららは散歩が大好きで、トイレは必ず散歩中に済ませるというお利口さんでもありました。散歩が好き過ぎて、家のドアが開くたびに外に飛び出そうとするところはたまに傷ですが、問題行動と言えばたったこれだけ。脱走対策をしっかりすれば、全く問題なく飼いやすいワンコでした。
ついに優しい里親さんとの縁が結ばれた
動物病院での検査も問題なく、すでに避妊手術、歯石取り、マイクロチップ挿入もすみました。あとは、こんなにお利口さんのつららに「うちにおいで」の声がかかるのを待つのみでしたが、2025年3月、ついに優しい里親さんとの縁が結ばれ、無事「ずっとのお家」を掴むことができました。
本当に良かったですが、ここまでの通り、こんなにお利口さんでかわいいつららのようなワンコでも状況次第では殺処分対象になってしまうのが日本における動物愛護の現状です。つららのような例はむしろ良かった例で今日もなお、行き場を失い殺処分の淵に立たされた犬猫が多くいます。改めて日本の動物愛護のあり方を考え、議論を重ねていくべきだと思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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