


俺は自分が嫌いだった。中学生の頃は自分が何にイラついているのかすら分からなくて、誰かに八つ当たりをすることでストレスを発散していた。世の中のすべてが敵に見え、父さんにさえもイライラをぶつけた。でも高校進学を考えはじめると……。


やがて母さんの気持ちも少し理解できるような気がしてきた。離婚当時、ひたすら俺に母さんの悪口を吹き込んできた父さん。ひとりぼっちになりたくなくて、どうにか俺を繋ぎとめようとしていたのかもしれない……。今は、そう思える。

高校生になると金を稼ぐ大変さも実感したし、「やりたいこと」よりも「やらなきゃいけないこと」の優先順位をつけて日々を過ごさなくちゃいけないことも分かった。なぜあの頃いつも父さんと母さんが喧嘩していたのか、両親が離婚に至った理由もなんとなく見えるようになってきた。
けれど幼かった俺は母さんを傷つけた。それに気が付くのが遅かったんだと思う。こちらから面会を拒否しつづけていた俺が、今さらどの面を下げて母さんに会いにいけばいいのか分からなかった。だから今回のことで母さんに謝るチャンスがもらえるかもしれない。そんな淡い期待があったけれど……。
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【第14話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・りますけ 編集・井伊テレ子