しっかり寝たのに疲れが取れない…医師が教える「就寝前のコーヒー」が及ぼす危険性

1

2025年07月11日 20:00  クックパッドニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

クックパッドニュース

写真

リラックスタイムやひと息つきたいときなどには、おいしいコーヒーを飲みたくなるもの。ただ、就寝前にコーヒーを飲んでしまうと、睡眠の妨げになるだけではなく、脳にもあまり良くない影響を与える危険性があるようです。そこで、コーヒーやカフェインの摂取が脳にどういった影響を及ぼすのかについて、YouTubeチャンネルの登録者数が50万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。

カフェイン摂取は“睡眠中”も脳を活発にする

寝る前にカフェインを摂取すると、しっかり眠っているにも関わらず、脳の活動の複雑性が増大することが研究でわかりました。

神経活動がダイナミックに動き、読みにくい活動が脳の中で複雑に起こっていたのです。

また、カフェインを摂取することで、脳のクリティカリティが高まることもわかりました。

クリティカリティとは、規則正しさと無秩序の中間のことで、最も効率的に脳が働ける臨界点のようなものです。

この変化は、特にノンレム睡眠と言われる睡眠の深い状況で見られました。 ノンレム睡眠は記憶の固定や脳の回復に重要なフェーズなのですが、その最中にカフェインが脳を活発にしてしまいます。

カフェインの摂取で脳の広い範囲で高速の活動が増え、脳があまり休んでいない状態になってしまっていたのです。

若い世代のほうがカフェインの効果を受けやすい

これは年齢による差が顕著に出ていて、40〜50代はカフェインを摂取しても活動性の変化が少なく、20代は深い眠りについたときに如実に脳が起きてしまっている状態でした。

若い人と高齢者では、脳内のアデノシンの受容体が違ってきます。

アデノシンは日中に脳内に蓄積して、夜になると眠気を誘発する物質なのですが、カフェインはアデノシン受容体をブロックして、眠気を感じにくくします。

若い人にはアデノシン受容体がたくさんあるので、カフェインがそれをブロックしてしまうと、脳の複雑性を高めてしまうと考察されます。

年齢とともにアデノシン受容体は少なくなってくるので、中高年になってくると、カフェインの効果も少なくなってくるということでしょう。

そのため、若い方は寝る前にコーヒーを飲むことは避けたほうがいいかもしれません。

“脳の老化”を進めるリスクもある

クリティカリティとは、秩序的な状態と無秩序的な状態の中間で絶妙なバランスが取れている状態を示す専門用語ですが、ちょうどいい塩梅で脳を保つことは理想的なコンディションと言えます。

日中に活動するときはクリティカルな状態のほうが、集中力も記憶力も学習能力も発揮されますのでいいですが、夜の眠っているときにはクリティカル状態は必要ありません。

カフェインの摂取により、本来は休息モードに入るべき所を脳の活動を覚醒状態にしてしまうのは、脳のリラックスを奪い、睡眠の妨げにもつながります。

睡眠中でも脳が覚醒的であると脳の回復が少なくなり、脳の老化や変性が進んでいくリスクもあります。

カフェインは“眠った後の脳”にも影響を与える

就寝6時間前にカフェイン400mgを摂取すると、実際には睡眠時間を1時間くらい削られているのに、当人は睡眠の乱れや睡眠時間が短くなっていることに気づいていないということも報告されています。

カフェインは眠気を感じさせない作用以外にも、睡眠後の脳の眠った感じまで奪い、昨夜はしっかり寝たはずなのに疲れが取れないみたいなことも起こしやすいのです。

眠った後の脳にも影響していると考えると、やはり夕方以降のコーヒーの摂取は控えたほうがいいのではないかと思います。

カフェインは、紅茶や緑茶、エナジードリンクやコーラなどにも含まれていますし、ダークチョコレートや風邪薬にも含まれているので要注意です。

そういったものを摂取していると、トータルのカフェインの量が増えるので、日中に飲んだコーヒーの効果が打ち消されなくなってしまいます。

就寝前のリラックスタイムには、ハーブティーやカフェインレスの飲み物にするのがベスト。

睡眠は人の体の修復にとって非常に重要なプロセスなので、それを阻害する可能性があるカフェインを就寝前の7〜8時間はストップするようにしたほうがいいでしょう。

▼動画でもっと詳しく知る

画像提供:Adobe Stock

石黒成治先生


消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は50万人超(2025年5月時点)。

もっと大きな画像が見たい・画像が表示されない 場合はこちら

このニュースに関するつぶやき

  • 医者がひょっこりひょうたんじま状態
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定