
滋賀県長浜市の琵琶湖近くにある老舗和菓子店「菓匠禄兵衛」。羊羹や草餅など定番の和菓子が並ぶ中、一番人気の商品は可愛い焼印がトレードマークの「福みたらし」。特徴的なデザインで独自のこだわりが詰まった「個性派みたらし団子」として大人気となっています。
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なんとなく家業に入ったけれど、父には歓迎されず…
お話を伺ったのは、「菓匠禄兵衛」四代目の居川信彦さん。「福みたらし」はアイドル、アーティストなど著名人たちがSNSにアップしたことでも話題になり、現在は年間30万個の売上、お店の年商は3億円に!しかし、そこに至るまでは予期せぬ出来事の連続だったといいます。
「菓匠禄兵衛」の前身は、1926年創業の「居川製菓舗」。三代目である父・信三さんの長男として生まれた信彦さん。両親から明確に跡継ぎを求められることはなかったこともあり、家業を継ぐことは意識していませんでした。しかし・・・他にやりたいことが見つからなかったという理由から、22歳のときに実家での仕事を始めました。
そんな信彦さんを見て、父親の信三さんは歓迎しませんでした。「もっと大きな会社で働いた方がいい、和菓子屋は小じんまりとやるのが1番」と経営に消極的。なぜなら信三さんは婿養子で、自分の選択ではなく妻の実家を継いだため、和菓子店をいい商売だとは思っていなかったからでした。
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そんな状況の中、働き始めて2年目の1999年夏、思いもよらない出来事が起こります。親戚の集まりに行く父の代わりにお盆用の干菓子を作っておくように言われた信彦さん。手間のかかる干菓子を一人で作ることに不満を抱えながらも作業していると、帰宅した父から強烈なダメ出しが…。
「文句言うならちゃんと教えてくれ」「見たらわかる」と父子の言い争いはどんどんエスカレート!ついには信三さんから「お前がこの店をやれ!」と引退宣言が飛び出てしまいました。
店を継いで売上激減、そこからの復活
言い争いの翌日、信三さんは本当に仕事場に顔を出さなくなり、信彦さんは働き出してから2年目で老舗和菓子店を実質的に継ぐことに!信彦さん自身、そんな父親への意地もあり、「悩んでも仕方ない、俺がこの店を有名にしたるわ」と腹を括ります。
しかし、現実はそう甘くはなく、現実は苦難の連続。信彦さんが継いでから「味が落ちた」と評判は下降、売上も激減してしまいます。そんな中でも離れずにいてくれるお客さんのため、家業を継いで7年、信彦さんは真剣に和菓子と向き合うことを決意 !
ある年は羊羹、翌年は草餅と、年毎に研究する商品を定め、毎年ひとつひとつのお菓子を時間をかけて少しずつ改良!そうした努力の甲斐もあり、徐々に評判を取り戻していきました。
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そして2006年には全国への進出を目指すため、屋号を家名の「六兵衛」からとった「菓匠禄兵衛」に改め法人化、新たなスタートを切りました。
会社に余っていた「あるもの」から大ヒット商品が誕生⁉︎
従業員も増え、百貨店の催事イベントへの出店依頼も増えていく中、信彦さんは「菓匠禄兵衛」の名を轟かせるようなヒット商品を作ろうと考えます。そこで人気のあった「みたらし団子」を作ることにしたものの、差別化するためのいい案が浮かばずにいました。そんな時に目についたものが・・・フルーツゼリーの容器!
社員から、売り上げが伸び悩んでいたフルーツゼリーの容器が大量に余っていると相談が入り、どうせ捨てるならばと在庫処理の為に四角い容器にみたらし団子を入れてみることに。するとなんだか、みたらしっぽさがなくなり可愛い雰囲気に。
さらに会社にあったハロウィンで使用した「ニコニコマーク」の焼印をつけたところ、より可愛く、そしてなんだかニコニコマークが「縁起が良さそう」だという話に。そこから「福みたらし」と名付け、2014年から販売したところ、見た目のかわいさから大ヒット商品となりました!
こうして誕生した「福みたらし」は、見た目だけではなく味にも社長のこだわりが詰まっています。蒸した後に餅をつく機械でコシを出すことで、よりお餅に近い食感に!さらに、タレは普通の串団子よりも濃い目にして、口の中でより味わえるようになっているんです。看板商品のヒットもあり、元々1300万円だった年商が3億円になり、超人気和菓子店となったのです。
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偶然生まれた商品にこだわりを詰め込んでことで大ヒットにつながった「福みたらし」。これからも和菓子の可能性を探求し、ブランドとして発展していくようにしたいと語る信彦さん。これからの「菓匠禄兵衛」にも注目です!
番組情報
〇内容
『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ!
〇放送日時
テレビ大阪 第1〜3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。
(まいどなニュース/クラブTVO編集部)