
中学受験を終え、私立の中高一貫校に入学した子どもを持つAさん(埼玉県・50代)。新しい学校生活が始まり、親同士のつながりもこれからだと思っていたところ、入学早々にびっくりするような保護者が現れました。まるで先生みたいに、いや先生以上にふるまうその人の存在は、公立学校しか通った経験のないAさんにはまるで別世界のように映りました。そして、その保護者の独善的なふるまいに、次第にAさんは圧倒されていきます。
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まるで学校を知り尽くした校長のような保護者登場
伝統ある中高一貫校に、この春から子どもが進学したAさん。同じクラスになった保護者の中に、ひときわ存在感を放つ女性・Gさんがいました。
彼女は入学して初めて行われたクラス保護者会の自己紹介で、「夫がその学校の卒業生であり、開業医であること」、さらに「長男も昨年同校を卒業し、現在は医学部に通う大学生であること」を誇らしげに語りました。極めつけは、「義父もこの学校出身で、内科医です。うちの男子はみんなこの学校なんです」とにっこり。
その言葉に続けて、「この学校のことなら私に聞いてください。多分、先生方よりも詳しくご説明できると思います」と断言。保護者全員が思わず戸惑ってしまうほど、自信に満ちた発言でした。その場が微妙な空気に包まれたのは言うまでもありません。
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先生を差し置いて教壇に立つママ
Gさんの存在感が際立ったのは、保護者会の最後に行われる恒例行事「役員決め」の場面でした。あの緊張感と沈黙の時間は、誰もが苦手です。本来ならば担任の先生が進行するはずでしたが、先生が「それでは最後に、クラスの役員を…」と口を開いた瞬間、Gさんがすっと立ち上がって教壇へ向かいました。
「役員決めについてですが、クラスから選出する役員は3名です。それぞれの仕事内容を説明しますね」と、先生を差し置いて仕切り始めたのです。
「…いまお話ししたように、特段難しい仕事ではありませんし、知り合いも多くなりとっても楽しいですよ。私はすでにPTA会長を引き受けることになっているのですが、もし立候補の方がいないようでしたら、まず私がやらせていただきます。何かご意義ございますか?」
突然の展開に、場内は静まりかえりました。先生は苦笑いを浮かべているようで、いつのまにか教壇から教室の隅へ移動しています。あまりにも堂々としたGさんの進行ぶりに、保護者たちは従うしかなく、あっという間にクラス役員が決まりました。
Gさんの振る舞いに、ほかの保護者たちはどう思っているんだろう…Aさんはふと気になって、まわりを見渡したのでした。
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グループLINEの強制参加まで…
役員決めも一瞬で終わり、場の緊張感もほぐれたころ、Gさんはクラスの懇親を深めるという名目で「ランチ会を開催しましょう」と言い出しました。
加えて、「情報共有もできるようクラスのグループラインを作ります。皆さん入ってくださいね」と、Gさんはあらかじめ用意していたグループLINE用のQRコードを提示します。もちろん任意参加と聞いていたのですが、実際にはそうではなかったようです。
クラスのグループラインに入っていない保護者が2名だけいたことを、彼女はしっかり把握しており、次の保護者会の場でその2人に対し、「クラスのグループライン入ってくださいね」とQRコードの読みとりを直接詰め寄っていたのをAさんは目撃していました。
そのグループライン、実際には連絡事項の一方通行。発信者はGさんと2名の役員さんのみであり、他の保護者からの発信はほとんどありませんでした。
今や学校からのお知らせは、アプリで保護者に直接届く時代です。それにもかかわらず、クラスで必要な「情報共有」とは一体どのようなことなのでしょうか。Gさんが強制的にグループラインへの参加を迫る様子に、一部の保護者は戸惑い、そして静かに距離を取り始めたように見えました。
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ついに学校が注意喚起する事態に
翌年、学校側から正式に保護者宛にSNSルールの徹底に関する通知が出されました。そこには、「保護者同士でのクラスのグループラインの作成・運用については、学校の管理外となるため、混乱や誤解を避けるためにも控えるように」という注意喚起が添えられていました。
誰が、どのような理由で学校に相談を持ちかけたのかは明らかではありませんが、Gさんのグループラインに関する不満や困惑の声が学校に届いたのは間違いなさそうです。善意に見せかけた圧力や見えない強制が、保護者の中に確かなストレスとして積み重なっていたことを物語っているようでした。
Aさんがこの一連の出来事を通じて感じたのは、経験者という立場の扱い方の難しさでした。学校の事情に詳しく、頼りになる存在でも、行きすぎた言動が周囲に圧力を与えてしまうこともある…。そうした場面に直面したからこそ、保護者同士も無理なく関われる距離感が大切だと実感したのです。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)
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