
夏場に欠かせないものの1つ「エアコン」。一日中つけっぱなしにしていると電気代がかさむので、節約のためにこまめに消している人もいるでしょう。
この記事では、エアコンを一日中つけっぱなしにした場合とこまめに消した場合で、どちらが電気代を節約できるのか、FPが解説します。
また、エアコンの電気代を節約する方法も一緒に紹介するので、ぜひ記事をチェックしてみてくださいね。
●エアコンは「つけ始め」が一番電力を消費する
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一般的に、夏場に最も電力を消費する家電は「エアコン」といわれ、その電気代を節約することが、光熱費を抑えるポイントとなります。エアコンの節電方法を知るために、まずはその仕組みを理解しておきましょう。
エアコンは、冷媒を循環させて、室内の熱を外へ運び出すことで部屋を冷やしています。この役割を負うのが圧縮機(コンプレッサー)です。圧縮機はエアコンの消費電力の約80%を占める部品です。
運転開始時には、室内温度と設定温度の差が大きいため、迅速に設定温度に到達するように圧縮機がフル稼働し、多くの電力を消費します。設定温度に到達すると、消費電力が少ない安定運転を続けます。
外気温が高い夏場には、設定温度と外気の温度差が大きくなるため、冷却に必要なエネルギーも増加します。そのためエアコンを頻繁にオン/オフすると、その度に室温と設定温度の差が大きくなり、再起動時に再び多くの電力を消費することになります。
このようなことから、短時間の外出ならつけっぱなしにした方が、消費電力を抑えられる可能性があるのです。
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●「つけっぱなし」VS「こまめに消す」どっちがお得?
ここで、ダイキン工業が実施した検証結果を紹介します。
下記のグラフは、最高気温36.3度、エアコン設定温度26度で、9時から23時まで「つけっぱなし」と「30分ごとに入り切り」した状態の消費電力を比較した結果です(出典:ダイキン工業)。
日中(9:00〜18:00)の時間帯は、30分間であればエアコンを切るより、「つけっぱなし」にするほうが消費電力量は少なくなりました。
1日を日中(9:00〜18:00)と夜(18:00〜23:00)の時間帯に分けて、累積の消費電力の推移を表したものが下記グラフです。
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日中は「つけっぱなし」にした方が、消費電力量が少ないことが明らかですが、夜の時間帯は「こまめに入り切り」した方が、消費電力量が少なくなっています。これは夜になって外気温が低下したことで、起動時の消費電力が小さくなったためと推察されます。
もう一つ、外出時間に注目した検証も行っています。それによると、日中は35分を超えた外出の場合、エアコンの運転をオフにした方が消費電力量が小さくなり、夜の場合は、18分を超えた外出でオフにした方が消費電力量が小さくなりました。
これらの検証結果を目安にすると、日中は30分程度の外出ならエアコンをつけっぱなしにし、夜間はこまめに停止するといった調整を行うと、電気代が節約できると言えます。
●FPが教える「エアコンの電気代を節約する方法」
エアコンの運転方法による節電以外にも、エアコンの電気代を節約できる方法があります。ぜひ実践してみてください。
定期的にフィルターを掃除する
経済産業省資源エネルギー庁は、フィルターが目詰りしているエアコン(2.2kW)とフィルターを清掃した場合の比較で、掃除した場合には年間で約990円の節約になるとしています(出典:資源エネルギー庁)。フィルターは2週間に1回を目安に掃除をするとよいでしょう。
室外機に直射日光をあてないようにする
室外機が直射日光や地面からの照り返しにさらされると、冷房効率が低下し、電気を余分に使ってしまいます。できるだけ日陰に設置するか、よしずを立てかけるなどして日陰を作ってあけるとよいでしょう。
その際は、室外機の吹き出し口をふさがないように気を付けましょう。
風量は自動設定
冷房時の風量設定は自動にするのがおすすめです。自動にしておけば、部屋が冷えるまでは強風、冷えたあとは微風になるので、効率の良い運転をしてくれます。
ダイキン工業の検証によると、風向設定は「水平」がおすすめ、暑いときは設定温度を「1度下げる」よりも風量を「強」にする方が節電になるそうです(出典:ダイキン工業)。
サーキュレーターや扇風機を併用する
空気の性質から暖かい空気は上に、冷たい空気は下に行くので、何もしないと温度ムラができやすく、余分な電気を使うことがあります。サーキュレーターや扇風機を使って空気を循環させてあげると、温度ムラがなくなり、冷房効率が上がります。
カーテンで日差しをカットする
窓から日差しが入ってくると、部屋が暑くなり冷房効率が落ちます。レースのカーテンやすだれなどで日差しをカットしましょう。また外出時はカーテンを閉めてから出かけると、室温の上昇を抑えられるので、帰宅してからエアコンをつけた時の消費電力量を小さくできます。
●まとめ
エアコンをつけっぱなしにするのに抵抗がある人も多いと思いますが、気温が高い日中は、30分程度の外出ならつけっぱなしで出かけた方が節電できる可能性が高いということが分かりました。夜になって気温が下がってきたら、こまめに切る運転に切り替えるとよいでしょう。
くれぐれも節電を意識しすぎて、エアコンをつけずに我慢することだけはやめましょう。必要なときには、我慢せず適切に使うことが、健康を守るうえでも大切です。この夏を快適に過ごすためにも、エアコンを上手に活用していきましょう。