
不審者から自分の身を守りいち早く逃げるのに役立つ護身術。夜間に外出する機会が増える夏場を前に岡山県警は、防犯意識を高めてもらおうと大学生を対象にした講習会を開いた。日頃からどんなことに気を付け、いざという時、どう対処すればいいのか。記者(22)も参加し、基本的な知識と動作を学んだ。
講習会は岡山中央署の警察官2人が指導者となり就実大・短大(岡山市)で開催。学生ら15人が受講した。
「不審者に遭遇してしまっても戦おうと思わないで。逃げるのが最優先」と警備課の沼本薫係長。「安全とされる相手との距離は2メートル。それ以上近づかれないように。護身術は最終手段です」と説明してくれた。
まずは2人一組になって、手をつかまれた時の対処法から実践。つかまれた方の手を手前に勢いよく引くとするりと振りほどけた。ほかに、手首をひねる▽大きく回す▽両手を組んで思い切り自分の方に引くーなど、力ずくではなく体の構造を利用すれば意外と簡単に逃げることができると分かった。
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ほかにも、後ろから抱きつかれたら、足を踏む▽肘で相手の腹部を突く▽後頭部をぶつけるーなどの動きを教えてもらった。
春から1人暮らしを始め、夜道や在宅中の不安から参加した心理学部1年の女子学生(18)は「簡単そうに見えて難しかった。事前に知って備えておくことで少しだけ安心できそう」と話した。
2024年に県警に寄せられた女性への声かけなど不審者情報は361件。このうち8割の293件は1人でいる時だった。時間帯は「午後8時〜午前0時」が全体の3割を占める。
データから1人でいるときこそ注意が必要と思いがちだが、実は人混みや公共交通機関の中にも見落としがちな危険が潜んでいる。電車やバスの2人がけ席の窓際は、自然に近付きやすい上、周囲から見えにくく逃げられない。「人目があるから大丈夫と油断してはいけない」という。
講師が重ねて強調したのは「不審者がいたら逃げる」こと。スマートフォンやイヤホンの使用で襲われるまで気づかないケースも多いといい、歩きスマホはしない▽背筋を伸ばして視線を上げてーなど日頃から防犯意識を高めておくことが大切だとも指摘する。
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日常生活で防犯を意識することは少なかったが、講習を受けて実際に体を動かすことで自分事として捉えることができた。背筋を伸ばして周囲に気を配ることから生活を改善してみようと思った。
(まいどなニュース/山陽新聞)