「採用面接でやってはいけない質問」にはどういったものがあるのだろうか。営業スタッフ育成や、役員・社員の生産性向上を支援するグロウアップの西前好朗社長に話を聞いた。
●採用面接でやってはいけない質問
――採用面接で「やってはいけない質問」とは、どういったものなのでしょうか?
面接で最も避けるべきなのは、面接官が意図を曖昧なまま質問してしまうことです。例えば「学生時代に頑張ったことは?」という定番の質問は、それ自体が悪いわけではありませんが、「なぜその質問をするのか」が不明確なままでは意味をなしません。候補者の表面的なエピソードを聞いて、肝心な思考や価値観を引き出せずに終わってしまいます。
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――では定番の質問でも、使い方次第で評価につながる可能性があるということですね?
はい。定番の質問はあくまでもジャブです。その後に「なぜその活動を選んだのか?」「何を得たのか?」といった深掘りをする意図と準備があってこそ、初めて意味を持ちます。ただし、面接官自身が深掘りする力や話を広げる技術を持たないと、テンプレート通りの質問のまま、形だけで終わってしまいがちです。
●面接では評価基準も重要
――他に注意すべき面接時の落とし穴はありますか?
質問が属人的になっているケースも多いですね。「Aさんにはこう聞いたけど、Bさんには別の質問をした」では、公平性が保てません。同じ質問を通して、同じ評価軸で比べるからこそ、本当に優秀な人材を見極められます。
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そのためには、質問ごとに「何を知るための問いなのか」を定義し、「この回答ならA評価、この回答ならB評価」といったスコアリングの基準を明確に持つことが不可欠です。ただ質問をするのではなく、こういった評価設計をしっかり構築した上で、企業も採用面接を行うことがとても重要です。
――「聞かない方がいい」とされるセンシティブな質問についてはどうでしょうか?
当然ながら、恋愛や家庭、プライベートな事情に関する直接的な質問はNGです。例えば女性の採用候補者に対して「彼氏はいるの?」などの質問は完全にアウトです。ハラスメントリスクがあるだけでなく、候補者の本質的な適性とは無関係です。
ただし、価値観や感情面を探ること自体は悪くありません。例えば「これは仮の話ですが、恋愛で大好きな人に振られたら、あなたはどうしますか?」といった仮定のケーススタディを用いれば、プライバシーに触れずに質問に困った時の採用候補者の反応を見ることができます。この時の反応により、実際の業務で難しいタスクに触れた時の振る舞いが分かると思います。
●企業が面接設計で見落としがちなポイント
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――最後に、企業が面接設計で見落としがちなポイントがあれば教えてください。
企業が本当に知りたいのは、「自主性」「成長意欲」「困難への耐性」といった抽象的な要素です。こうした資質は、表面的な受け答えでは見えにくい。だからこそ「この質問で採用候補者の何をあぶり出すのか?」という設計思想が必要です。
そしてもう一つ大事なのは、評価基準は毎年変えるべきだということ。去年欲しかった人材と、今年必要な人材は違うかもしれない。それにもかかわらず、毎年同じ質問・同じ評価基準で回していたら、採用候補者も面接対策を行ってきますので、採用のミスマッチが起こるのも当然ですよね。
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