扱いやすい機能を凝縮したハイコスパなスマホジンバル「Insta360 Flow 2」 Proとの違いは?

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2025年07月14日 12:31  ITmedia PC USER

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必要な機能を厳選して搭載したスマホジンバル「Insta360 Flow 2」

 考えうる限り全ての機能を搭載したのではないか――そんなスマホジンバルの決定版といえる「Insta360 Flow 2 Pro」が登場してから約半年。Proの名が付かない「Insta360 Flow 2」が発売されました。


【その他の画像】


 Proモデルと比較すると、細部に至るまでコストダウンしたモデルであることが分かるのですが、使ってみるとこれが悪くない。いや、特別な使い方をするのでなければ、Insta360 Flow 2で十分だと感じるモデルだったのです。


 価格はベーシックモデルが1万4900円です。扱いやすく、優れた機能を持つ撮影アプリを含めたら、実質コスパ最強ジンバルかもしれません。


●手持ち撮影で使うなら必要十分な機能を持っている


 Insta360 Flow 2とInsta360 Flow 2 Proの違いを確認してみましょう。


 スペック面で勝っているポイントを赤字で記してみましたが、明らかにInsta360 Flow 2 Proの方が優れているのが分かります。Insta 360 Flow 2が勝っているのは本体重量のみ。しかしその差は10gもありません。


 しかし、ジンバルを手に持って撮影する場合、この差がさほど気にならなくなります。なぜならジンバルの可動域とトラッキングライトは、Apple DockKit対応アプリを用いて、据え置き状態で使うときにこそ真価を発揮する性能だからです。1オペ環境で部屋の中を動きながらのトーク番組を収録/配信するのでなければ、さほど使うことはないかなと感じます(逆をいえば、そういった撮影を行うなら他社製品を含めてもInsta360 Flow 2 Proしか選択肢がない、ともいえます)。


 内蔵自撮りミラーも、メインカメラで自撮りを行うときに使うもので、インカメラで撮影するなら不要です。透明モーターデザインなどの意匠に関しても、なくてもいいかなと思えてきますね。


●シャツの胸ポケットに入れられるサイズ感


 Insta360 Flow Proよりは出っ張ってしまう部分がありますが、総じてコンパクトな収納状態で、グリップ感も優れています。


 パンツのポケットだけではなく、シャツの胸ポケットに挿して持ち運べます。ただし底が浅すぎるポケットだと、歩いているときに落ちる危険性があるので注意が必要です。


 ジンバルアームを開くと自動的に電源が入ります。磁気スマートフォンクランプ装着前だとモーターへの電源供給/制御が行われずフリーに動かせる状態になります。


 スマホは付属の磁気スマートフォンクランプで固定します。できる限り中央部分を挟み込むようにしましょう。対応するスマートフォンの厚みは約6.9〜10mmで、幅は約64〜84mm、重量は約130〜300gと大抵のモデルに対応します。開くと8型以上のサイズになるフォルダブルスマホでなければ問題ないはずです。


 接合部に赤いボタンがありますが、これはInsta360 Flow 2のよくできたポイント。磁気スマートフォンクランプを装着せずに電源を入れるとモーターの制御が行われないと先ほど紹介しましたが、この赤いボタンによって装着しているかどうかを判断しています。


 スマートフォンジンバルの中には何度かモーターを動かして、負荷が軽すぎるときにやっとモーターをストップさせるものがありますが、Insta360はできるかぎりモーターの負荷がかからないように設計しているんですね。この点はお見事といったところですね。


●内蔵三脚・自撮り棒が構図の幅を広げる


 内蔵三脚の存在も、Insta360 Flow 2の大きな利点です。筆者の記憶が正しければ、メジャーメーカーで内蔵三脚を初めて採用したのはInsta360です。外付けの三脚を持ち歩かなくても自立してくれるので、運用しやすいですね。


 自撮り棒としての機能も内蔵しています。さらにヒンジも備わっているため俯瞰(ふかん)位置、または超ローアングルからでも目的の画角で撮影できます。本来はバストアップ撮影向けの画角となっているインカメラで、周辺の景色も捉えながら自撮りするためのものですが、多くの人で混み合う展示会場で、人々の頭上から展示物を撮影するときも役立ちます。この一点においては、ジンバルとカメラが一体化しているVlogカメラより優れています。


 そんな自撮り棒とヒンジを使うことで、据え置き真俯瞰(ふかん)からの撮影も可能になります。ほら、料理動画とかでよく見るあの画角です。


 Insta360 Flow 2の三脚が映り込んでしまう角度なので、実際に使うときは少しだけななめ下を向くようにセッティングすることが多くなるでしょうけど、手持ちだと疲れやすい画角でも撮影できるのはうれしいですね。


●片手で操作するために設計されたコントローラー


 Insta360のFlowシリーズは、初期モデルから片手で操作できるように設計されていました。Insta360 Flow 2もその伝統を受け継ぎ、リング状のコントローラーでほとんどの操作を行います。


 中央にあるジョイスティックはジンバルの向きを操作するものです。赤い丸ボタンはシャッターボタンで、Cは1度押し、2度押し、長押しでそれぞれ設定されたモードへの切り替え/撮影、周囲にあるホイールでズームイン/ズームアウトや、ロール軸の操作を行います。


 ジンバルやズームの速度調整が可能な上に、ズームに関してはホイールを素早く2度回すことで、スマートフォンに搭載されている各カメラの基本画角に移動します。慣れるとこれがなかなか便利なのです。


 トリガーボタンはセンタリングや、スマートフォンの向きの切り替え、ロックモードやトラッキングの開始/停止をコントロールします。


 コンパクトな操作子ゆえに、各ボタンなどにさまざまな機能が割り当てられています。そのために、他社製ジンバルから乗り換えてきたときは覚えることが多くなります。この点に関しては注意が必要ですね。


●スマホの電子手ブレ補正では処理しきれないブレをなくす


 Insta360 Flow 2を持ち、歩きながら撮影してみました。構造上歩いているときの縦移動は吸収できないのですが、撮れる映像はスッキリとしたもの。近年のスマホには、極めて精度の高い電子手ブレ補正機能が搭載されていますが、木々の葉のような細かい形状が画面いっぱいに広がるようなシーンだと、ジッターのようなブレが残ります。しかしInsta360 Flow 2であれば、違和感のない映像を撮影できます。


 トラッキングの精度の高さも、Insta360 Flow 2のセールスポイントの1つ。速く動かしてトラッキング対象がフレームから外れても追いかけてくれます。またiPhone 12以降と組み合わせれば、複数の人を常に画角内にいれるグループトラッキング機能が使えますよ。


●Insta360アプリでしか撮影しないならベストバイ


 個人的に秀逸だと感じているのが、Insta360アプリのプロンプター機能です。撮影しながら喋る内容を読むことができるので、Vlogを始めたばかりの人でも安心できますよね。


 実はInsta360 Flow 2の強みって、撮影アプリとなるInsta360アプリの完成度が高いことにも起因していると思うのです。解像度を含めた撮影モードの詳細な設定が簡単に行えるし、Insta360 Flow 2そのもののセッティングもしやすい。録画だけではなくライブ配信もできるから、「その他の撮影アプリって必要ないかもな」と思えてきます。


 だからこそ、Apple DockKit対応のアプリを使うのでなければリーズナブルなInsta360 Flow 2でいいんじゃないか、って感じるのです。



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