七夕賞を制したコスモフリーゲン(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る七夕賞
【Pick Up】コスモフリーゲン:1着
スクリーンヒーローは、父がロベルト系のグラスワンダー、2代母が80年代を代表する名牝ダイナアクトレスという血統。現役時代にジャパンCとアルゼンチン共和国杯を勝ちました。種牡馬としてもモーリス(年度代表馬)、ゴールドアクター(有馬記念)、ウインマリリン(香港ヴァーズ)などを出して成功しています。2023年の種付けを最後に引退、現在は生まれ故郷の社台ファームで余生を送っています。
JRAの重賞勝利は2023年のスワンSを勝ったウイングレイテスト以来1年9ヵ月ぶりです。産駒は福島コースを得意としており、なかでも芝1800〜2000mでは安定した好成績を挙げています。2015年以降、福島芝2000mで産駒が20走以上した49頭の種牡馬のなかで、スクリーンヒーローの連対率24.6%は第4位。七夕賞に出走馬を出している種牡馬のなかではナンバーワンです。
「スクリーンヒーロー×ダンスインザダーク」の組み合わせは成功しており、JRAで出走を果たしたわずか13頭から、コスモフリーゲンの他にクールキャット(フローラS)、ヴァリアント(3勝クラス)、イラーレ(3勝クラス)など7頭が勝ち上がっています。この組み合わせはサンデーサイレンス3×3が自動的に生じます。
◆血統で振り返るスパーキングレディーC
【Pick Up】フェブランシェ:1着
7月9日夜、川崎競馬場で行われたスパーキングレディーC(JpnIII・ダ1600m)は、大井競馬所属の2番人気フェブランシェが逃げ切りました。昨年秋に中央から大井に転厩し、すでに東京シンデレラマイル、しらさぎ賞を勝っていますが、ダートグレード競走は初制覇です。
父リアルスティールは今年、カナルビーグルがユニコーンSを、ヴェローチェエラが函館記念を勝っています。それ以外にも、フォーエバーヤングが海外でサウジCを制覇し、今回、フェブランシェが川崎でスパーキングレディーCを勝ちました。JRAのみを対象とした種牡馬ランキングではその真価が正当に評価されづらいタイプです。
リアルスティール産駒のグレード制重賞勝ち馬は7頭目。意外にも牝馬はフェブランシェが初めてです。
母方にデピュティミニスター、シアトルスルー、ミスタープロスペクターを併せ持つリアルスティール産駒なので、フォーエバーヤングと配合構成がよく似ています。母方に芝血統を入れれば芝向きの、パワー型の血を入れればダート向きの一流馬を出せるところがリアルスティールの長所です。