ラグビー日本代表はウェールズとのテストマッチ「リポビタンDチャレンジカップ」を1勝1敗で終えた。
5日の第1戦は24−19、12日の第2戦は22−31。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、65)体制2季目の序盤戦で見えた収穫と課題を、15年W杯イングランド大会で活動をともにした沢木敬介氏(50)が分析した。日本は8月開幕のパシフィック・ネーションズカップに出場。10月にオーストラリア戦、11月にはアイルランドやウェールズと戦う欧州遠征で強豪に挑む。【聞き手=松本航】
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第1戦はFWのセットプレーが大きな勝因だった。
ラインアウトの攻防でワーナー・ディアンズ(ハリケーンズ)、リーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)らが優勢に持ち込んだ。W杯経験者の仕事ぶりが光った。
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初キャップの紙森陽太(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)らFW第1列はフル出場。ジョーンズHCもメンバーを変更することで、優位に立つスクラムが崩れるのを避けたのだろう。テストマッチでの勝利にセットプレーの安定は不可欠。若手は相手、環境面に左右されず、アウェーでも渡り合う経験を積むことが鍵になる。
理想とする“超速ラグビー”への伸びしろは数多い。
まずはキック。第2戦の前半ではSH斎藤直人(トゥールーズ)からのコンテストキックにこだわったが、種類を増やしたい。相手の背後を狙ったり、パスで仕掛けながら陣形に応じてCTB、FBなどが蹴る方法もある。キックは攻撃権を手放す。次に攻撃が始まる時に、蹴った地点より前進している必要がある。速いテンポでの攻撃を生かすために適切な場所へ進みたい。
中盤からの戦いも入念な準備がいる。
1度の流れで攻撃が6回以上続くと得点(または相手反則でPK獲得)から遠ざかる。ボールを長く持つほど防御側が有利なのが今のラグビー。得点につながる多くが攻撃3回以内だ。
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総じて求められるのはスキルの精度。ゴール前では相手が勢いよく前に出る。意味なくボールを下げるのではなく、間合いを操って攻めることが必要だ。秋の欧州遠征はさらに重圧がかかる。勝負どころのFWのモールはもちろん、得点へ手数を用意したい。(15年W杯日本代表コーチングコーディネーター)
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