写真 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「びっくり体験」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2020年7月30日 記事は取材時の状況)
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ひと昔前までは、小さい女の子の定番のひとつだったお人形遊び。最近はあまり見かけませんが、それでも女性にとって人形は身近な存在。自分の部屋にぬいぐるみやフィギュアを置いている人も少なくないでしょう。
でも、同じ人形でも実家などに置いてある古い人形を「ちょっと怖い」「気味が悪い」と感じたことはないでしょうか? 筆者の実家にも古い日本人形やフランス人形が和室に置いてあったのですが、小さいころは怖くてその部屋に1人で入ることができませんでした。
◆黒目が動き、まばたきした仏間の古い日本人形
「私の実家にも仏間(ぶつま)に日本人形が一体だけあったんですけど、“ある出来事”を境に1人では絶対に中に入らないようにしていました」
そう語るのは、中国地方内陸部の農村出身という三枝未稀さん(仮名・44歳/飲食店パート)。一体、何があったのでしょうか?
「あれは小学校低学年のときだったと思います。当時の実家は、昔話にでも出てきそうな日本家屋。今思うと、オバケが出てもちっとも不思議じゃない古い家でした。
いつものように学校から帰ってきて、問題の仏間でひとりで遊んでいたんです。自分以外に誰もいないのになんか視線を感じて振り向くと、人形の黒目だけがゆっくりと動いて私のほうを見たんです。それもこっちを見たまま何度も瞬(またた)きまでしたんです」
その後、人形の目は正面を向いた最初の位置に戻りましたが、ほんの数秒の出来事が未稀さんにとってはものすごく長い時間に感じたそうです。
「人って本当に驚くと声も出せないってことをあのとき知りました。あの後、すぐ台所にいる母と祖母のところに行って、『人形の目が動いたの!』って言いましたが信じてもらえませんでした」
夕方、家に戻ってきた父親や祖父にも同じように訴えますが、同じようにまともに取り合ってもらえなかったとか。
実際、この日本人形は黒目が動いたり、瞬きをするような仕様にはなっておらず、単なる見間違いや気のせいとして片付けられてしまいます。
◆娘に続いて母親も目撃
「家族ですら信じてくれなかったので幼心にこの話はしちゃダメなんだと思い、誰にも言わず自分の中で封印していました。それでもふと思い出すこともあり、夢に出てくることもありました」
ただし、高校卒業後は実家を出たこともあり、日本人形のことも半分忘れかけていたといいます。ところが、社会人として働いていた24歳の夏のある日、母親からの電話でトラウマとなっていた記憶が呼び起こされてしまいます。
「少し興奮した様子で『目が、人形の目が動いたのよ!』と何度も言ってきたんです。母は子供のころに私が話したことを覚えていたらしく、『ごめんなさい。未稀の言ってたことを信じてあげられなくて』と謝ってくれました。
父は目撃していなかったようですが、母はふだん冗談でもウソを言わない人なので信じていた様子でした。祖父母はこのときすでに亡くなっていましたし、両親は人形のことを気味悪がってしまい、私の提案で処分することになったんです」
◆人形を処分した後、両親の体調が改善
しかし、すでにゴミとして普通に処分して後で自分たちの身に何か起きるのも怖かったため、人形供養も行っている県内のお寺に持って行って処分してもらうことに。
この年のお盆休みに帰省した際、両親とそのお寺を訪れた未稀さん。住職に人形を渡すと、しばらくジーっと見つめて「確かに、こちらで引き取ったほうがいいかもしれませんね」と言われたそうです。
「その含みを持たす言い方が気になりましたが、きっと聞いたところで怖くなるだけでしょうし、それ以上に私も両親も一刻も早く手放したかったので、詳しいことは聞きませんでした。こんな形でお話する機会があると知っていれば、聞いておいたんですけど(笑)」
ちなみに人形を処分した後、母親が長年苦しんでいた片頭痛がウソのようになくなり、年に数回は熱を出して寝込んでいた父親もほとんど風邪すら引かなくなったそうです。
「単なる偶然だと思いたいですが、やっぱりあの人形の仕業(しわざ)だったのかなって。今となってはそれを確かめる術はありませんけどね」
怪奇現象がなかったとしても人形は処分に困るもの。全国各地には人形を供養してもらえるお寺もありますし、ゴミとして捨てるよりはそういった場所に持ち込むのがいいのかもしれませんね。
<文/トシタカマサ イラスト/ただりえこ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。