大谷翔平のドジャースを“狙い撃ち”「アメリカ・ファースト」推し進めるトランプショックの余波

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2025年07月16日 08:00  週刊女性PRIME

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日本時間2025年7月9日、第31号ホームランを放った大谷翔平(共同通信)

 日本時間7月16日のオールスターゲームに出場する大谷翔平。ファン投票でリーグトップの票を獲得し、5年連続の出場となる。

史上最多の不法移民取り締まり

「二刀流を解禁した大谷選手ですが、オールスターゲームでは投手としては登板せず、DHでの出場になりそうです。

 試合前に行われるレッドカーペットショーも注目です。2024年に大谷選手は真美子さんと2人で登場し、裏地に愛犬のデコピンのイラストが描かれたスーツを着ていたことも話題になりました。

 ドジャースでチームメートの山本由伸投手と、大谷選手の花巻東高校の先輩であるエンゼルスの菊池雄星投手は試合には出場しませんが、関連イベントに参加する予定です」(スポーツ紙記者、以下同)

 球宴も楽しみだが、来春に“侍”たちが世界一の座をかけて挑む戦いの日程も発表された。

「2026年3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の試合日程の詳細が発表されました。日本は、3月6日に台湾と初戦を迎えます。順調に勝ち上がれば、アメリカ・マイアミで同18日に決勝。大谷選手の出場が見込まれており、連覇をかけての戦いになりますが、2024年のアメリカン・リーグMVPのアーロン・ジャッジ選手がアメリカ代表のキャプテンを務めるなど、ライバル国の布陣もかなり強力です」

 世界が盛り上がるイベントが控える裏で、ロサンゼルスでは大きな問題が起きていた。

「1月に不法移民への厳しい取り締まりを掲げるトランプ政権が誕生。アメリカ移民税関捜査局(ICE)は、トランプ大統領が就任してから100日間で、6万6463人の不法滞在者を逮捕しました。6万5682人の外国人を強制送還し、史上最多の不法移民取り締まりを行ったと発表。こうした政策に対して、移民に寛容な“聖域都市”であるロサンゼルスでは市民による抗議運動が起こっています」(在米ジャーナリスト、以下同)

 関税の引き上げなど、日本にも大きな影響を与えているが、この抗議運動と“日本”も無関係ではない。

ロサンゼルスで起こっていた抗議デモ参加者の一部が暴徒化。6月10日から17日まで夜間外出禁止令が発令され、トランプ大統領の指示で州兵4000人と海兵隊700人が派遣されるなど、物々しい雰囲気になりました。

 戦後に日系人が築いたアメリカ最大の日本人街であるロスの『リトルトーキョー』も飲食店から客足が遠のき、ホテルもキャンセルが相次ぐなど大きなダメージを受けています。ドジャースタジアム付近でもデモが起こり、日本人観光客が安全な場所にあるホテルへの変更を余儀なくされています」

 今回の抗議活動で現地の日本人に影響は出ているのか。長年、アメリカで取材をする梅田香子さんに聞いた。

“トランプ大統領の頭脳”がドジャースをターゲットに

「デモをしているのはアメリカ市民権を持った人たちが多く、ビザを持たない移民の人たちは逮捕されたくないため、ほとんど参加していません。ロサンゼルスには多数の日本人の駐在員がいますが、道路の封鎖といった過激なデモが行われていることで、自分たちのビザも取り上げられないかと心配する人もいます」

 一時に比べると落ち着きを見せているデモだが、移民を巡る対立にドジャースも巻き込まれることに。トランプ大統領の側近から“告発”されるという事態になっている。

「反移民論者として知られるスティーブン・ミラー大統領次席補佐官が設立に関わった保守系団体『アメリカ・ファースト・リーガル』は、ドジャースが差別的な雇用を行っているとして、アメリカ雇用機会均等委員会(EEOC)に調査を申し立てました。この団体は、ドジャースが“多様性”“公平性”“包括性”の英語表記の頭文字をとった『DEI』を推進する取り組みを装い、アジア人や中南米出身のラティーノ系選手など、特定の人種や民族のグループを優遇したと主張しています」(前出・在米ジャーナリスト、以下同)

“反白人主義”の雇用をしているとされたドジャース。これは報復的な意味合いも強そうだ。

「ドジャースは6月19日に“ICEの職員が球場の駐車場への立ち入りを求めたが、拒否した”とSNSで発表。それに対してICEは“虚偽だ。われわれはそこに行っていない”と否定しました。その翌日にドジャースはロサンゼルス市と協力して、移民取り締まりの影響を受けた家庭を支援するために100万ドル(約1億4700万円)を寄付すると発表。そうした移民への対応によって目をつけられたのかもしれません」

 ラテン系をはじめ、アジア系など多くの移民が暮らすロサンゼルスに本拠地を置くドジャース。移民や雇用にどう向き合ってきたのか、前出の梅田さんが話す。

「ドジャースは初の黒人メジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンを雇ったり、メキシコ出身のフェルナンド・バレンズエラが活躍して、ラテン系のファンを中心に一大ブームになるなど、移民や多様性に対してプライドを持っています。

 ドジャースは伝統として、球団職員が自ら退職を申し出ない限りはクビを宣告することはほとんどないという珍しい球団。水原一平氏ほどの事件を起こさないと解雇にはなりません。現在も職員には中国系やラテン系の人が多いですが、市民権やビザを持っている人しか雇っていません」

 共和党内で“トランプ大統領の頭脳”と称されるミラー氏が関わる団体が、ドジャースをターゲットにしたのはなぜなのか。

「トランプ大統領は現在2期目ですが、3期目はないといわれています。なので、ミラー氏は“ポスト・トランプ”の座を狙って、トランプ大統領のご機嫌を取りたいのだと思います。

 ロサンゼルスのあるカリフォルニア州では民主党の地盤が強く、トランプ氏が所属する共和党は票が取れない。そのため、ロサンゼルスに本拠地を置き、昨年の優勝チームであるドジャースをターゲットにして話題をつくりたかったのでしょう。まず注目を集めるというのはトランプ大統領の手法と同じです」(梅田さん)

 ドジャースは、これからどうなってしまうのか。

トランプが言う“俺の次にいい男”

 いざというときの切り札は、トランプ大統領から“俺の次にいい男”“ムービースター”と言われた大谷のようだ。

「今のメジャーリーグは中南米系の選手に支えられており、各球団はスペイン語の通訳を雇用することが義務づけられています。なので、メジャーリーグ全体でも“トランプ政権寄り”になることは考えにくい。

 今回の申し立てもミラー氏によるパフォーマンスの意味合いが強く、ドジャースもそのような不法な雇用をしているとは考えにくいため、申し立ては却下されて終わるでしょう。

 もし万が一、本当に困ったら、大谷選手がトランプ大統領に電話かビデオメッセージでひと言かければ解決すると思いますよ(笑)。今回の件はトランプ大統領が直接、関係しているわけではありませんので」(梅田さん)

 大谷なら不安なこともかっ飛ばしてくれそうだ。

 

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