「子供たちも乗っている」軽自動車を“あおり運転”した大型トラックが警察に捕まるまで

0

2025年07月16日 09:20  日刊SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊SPA!

※写真はイメージです
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2025年あおり運転実態調査』によれば、5年以内にあおり運転をされたことがあるドライバーは34.5%であった。また、遭遇したあおり運転は、「後方から激しく接近された」が最多の84.3%。あおり運転された際の対処方法は、「道を譲った(51.1%)」、「何もしなかった(28.8%)」が上位を占め、あおり運転に遭遇しても、冷静に対応するドライバーが目立つことがわかった。

 今回は、安全運転を心がけるなかで直面した恐怖体験を紹介する。

◆ぴたりと背後に張りつく大型トラック

 田村真美さん(仮名・40代)は、小学生の息子と娘を乗せて、実家へ向かう途中だった。

「小回りが利く軽自動車が好きで、ずっとダイハツの“ミラココア”に乗っています。運転が得意じゃないから、少しでも安心できる車を選んでいるんです」

 その日も、いつものように安全運転を心がけながら走っていた。場所は大きな川を渡る橋の上。片側二車線の広い国道で、両車線とも比較的スムーズに流れていたという。

「みんな同じくらいのスピードで走っていました。もうすぐ右折する必要があったので、あらかじめ右車線を走っていたんです」

 すると、ルームミラーに異様な圧力を感じた田村さん。すぐ後ろに、大型トラックが迫っており、“相当な接近”だったようだ。

「うわ、近いな……って思った瞬間、“ファーン!”ってクラクションが鳴りました。ビクッとしてしまいましたね」

 田村さんの車は、流れに乗ってスピードも出ていた。しかし、その後もクラクションは何度も鳴らされたという。

「今さら左車線に移ると、右折地点を過ぎちゃう距離でした。子どもたちも乗っていたので、本当に怖かったです」

◆「なにか悪いことした?」不安を打ち消した出来事とは…

 緊張したまま右折地点に近づくと、トラックが急に左車線に入り加速。田村さんの車を追い越していった。

「車体も大きいですし、すごいスピードだったので、ぶつかると思ってブレーキを踏みそうになりました」

 その直後、後ろからサイレンの音が響いたという。白バイが1台、猛スピードで走り抜けていったそうだ。

 田村さんが右折レーンに入ると、前方にはコンビニがある。そこの駐車場には、先ほどのトラックが白バイに誘導されるように停車していた。

「スピード違反なのか、無理な追い越しのせいなのかはわかりません。でも、あんな運転は危険すぎるし、白バイがきてくれて本当に安心しました」

 ミラココアが小さな車だからなのか、普段からクラクションを鳴らされたり、あおられたりすることがあるという田村さん。

「子どもが乗っているときは、とくに無理をしたくないんですが……」

 田村さんは自分のためだけでなく、家族を守るためにも慎重な運転を続けている。

◆執拗にあおるスポーツカーにヒヤリ

 佐々木美咲さん(仮名・30代)は、訪問介護の仕事をしている。車いすの利用者を乗せ、病院やリハビリセンターなどへの送迎を担当することも多いそうだ。

「リフターつきの車両は、後部座席に直接衝撃が伝わるんです。だから、急ブレーキや急ハンドルは絶対に避けなければいけません。常に神経を張りつめて運転をしています」

 その日は、県道を走っていた。利用者の自宅まであと数キロという地点で、後ろから異音が聞こえたという。

「“ブオォーーン”って爆音がして、バックミラーを見ました。すると、メタリックブルーのスポーツカーがものすごい勢いで近づいてきたんです」

 次の瞬間、クラクションとパッシングが繰り返され、車間距離を詰めて執拗にあおられたそうだ。

「お客さんを乗せているから、福祉車両として速度は控えていたし、無理な運転はできません。すごく怖かったですね」

 下手にブレーキを踏むのも危険だと判断し、佐々木さんは慎重に運転を続けていた。だがその直後、スポーツカーは右車線に入り、幅寄せをしてきたのだ。

「思わず『ぎゃあああ!』って声が出てしまいました。当たるかと思って、走馬灯が見えた気がしました」

 佐々木さんは必死にハンドルを切り、間一髪のところで衝突を回避。スポーツカーはそのまま蛇行しながら、視界の先へと消えていった。

◆見覚えのある車体と赤色灯

 緊張で手汗を握りしめながら運転を続け、ようやく利用者の自宅近くまでたどり着いた。すると前の方に、赤色灯を点滅させたパトカーが見えてきたという。

「警察官が1人、なにか話をしている様子でした。その横には、さっきのスポーツカーが止められていたんです」

 すると後部座席で、利用者がポツリとつぶやく……。

「……捕まっちゃったねぇ」

 無理な幅寄せかスピード違反か、詳細はわからない。ただ、過剰な運転に対してきちんと取り締まりが行われたことに、佐々木さんは少し安堵したようだ。

 その後、佐々木さんは気を引き締め直し、無事に利用者を自宅まで送り届けた。

「仕事中はとにかく安全第一。今回みたいな危険な運転は、本当にやめてほしいです」

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

    前日のランキングへ

    ニュース設定