JRAのロゴ(c)netkeiba テレビや映画、YouTubeにいたるまで、「ドローン」による映像を見ることが増えた。その技術は競馬界でも使われはじめ、中央競馬でも一部ビッグレースにおいて、上空からの迫力ある映像が提供されている。今後、ほかの競走への拡大など、さらなる活用はあるのだろうか。JRAの担当者に「ドローン撮影」の導入経緯や将来の展望を聞いた。
JRAの平地競走でドローンが活用されるようになったのは、昨年の有馬記念から。今年の皐月賞が2回目だった。JRAによれば、レース撮影における基本的な考え方は「馬券を購入するお客様への重要なサービスとしての情報提供」と「競馬のもつスポーツ性のアピール」との両立。そのうえで、国際的なスポーツエンターテイメントとしての競馬の魅力をより一層伝えることを目的とし、海外主要レースで広く活用されているドローン映像の導入にいたった。
操作はJRAから撮影業務を委託している株式会社山口シネマの担当者が行っており、1レースあたり1台で運用する。操作には細心の注意を払っているが、安全確保の観点から、お客様エリア付近での飛行はしない。また、万が一にも機器不良などで操縦不能となった際、コースなどに落下することがないよう、ドローンをワイヤーで係留し、一定範囲内しか移動しないようにしている。
現時点ではGIレースを盛り上げるための増設カメラの位置付けだが、今後はさらなる活用も。昨年から中山競馬場を中心に本格的な研究を進めてきたが、今後は東京競馬場への拡充も視野に入る。また、将来は安全面での課題をクリアしたうえで、海外と同じくワイヤー係留なしでの撮影、さらにはパトロールビデオへの応用も検討中という。
技術の進歩によって、今後もさまざまな視点から、競馬中継を楽しむことができそうだ。