【後編】笹本CEOに聞く「有料プラットフォームにおける広告のあり方」“DAZNサッカーパック”誕生の可能性は?

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2025年07月16日 12:01  サッカーキング

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[写真]=兼子愼一郎
 笹本裕氏はDAZN Japanの最高経営責任者(CEO)兼アジア事業開発として、2024年2月にDAZN Japanのトップに就任。現在は「選択と集中を意識」して、日々サービス向上に務めている。

 インタビュー後編では、有料プラットフォームにおけるCMのあり方やサッカーパック誕生の可能性など、ユーザーからの要望や意見ついて聞いた。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
写真=兼子愼一郎

――ここからはもう少し細かいサービスについてうかがっていきます。いわゆる“エゴサ”をして世間の声を知ることもあるのでしょうか?
笹本 前職がTwitter Japanですから……(笑)。エゴサはしますけど、そこで大きく感情が揺さぶられるということはないですね。世間の声を参考にさせていただいている部分はあります。

――近年「有料プラットフォームにおけるCMのあり方」という問題があると思います。ここについてはどうお考えでしょうか?
笹本 ここはまだまだ改善・進化の余地があると思っています。ネイティブ広告の存在は、ソーシャルネットワークのビジネスモデルを成功させた要因だと思います。通常の投稿とほぼ変わらないような自然な形で広告に触れられるので、違和感なく使えているのだと思います。では、我々OTT(※インターネット回線を通じて動画・音楽・SNSなどのコンテンツを提供するサービス)はどうしていくのか。OTTなりのネイティブ広告に匹敵するフォーマットはどうあるべきなのか。今、まさに議論している最中です。皆さんに違和感なく試合を楽しんでいただける環境を作ることがゴールです。

――同じOTTサービスと括っても、スポーツはライブで見ることがより重要だと思います。
笹本 デジタルの広告において重要なのは、レレバンシー(※広告の訴求内容が特定ターゲットの興味・関心に関連する度合い)です。見ている方々にとってレレバントな広告でない限り、それは異物として捉えられてしまう。どうお見せするべきなのかは、まだまだ研究すべき分野だと思っています。
今年2月に「Moment Booster(※AIが自動でピックアップし、DAZN視聴者が自由にXに共有拡散できるモーメント動画にブランドインテグレーションが可能なプロモーションプロダクト)」をリリースさせていただきました。ライブの良さを生かしながら、違和感ない形で広告を挿入し、シェアしていただける仕組みです。このような創意工夫は続けていきたいと思っています。



――そしてサッカーファンは「DAZNサッカーパック」の登場を待っていると思います。
笹本 そこは、あらゆる可能性を検討しています。もっともっとDAZNにおけるサッカーコンテンツは充実させていきたいと考えています。今回のFIFAクラブワールドカップもそうですし、来年のFIFAワールドカップも期待したいコンテンツです。また今夏の海外クラブが日本で行う試合は、DAZNでも多くの試合を配信させていただきます。24時間365日サッカー漬けにできるくらいコンテンツを充実させて「サッカーだけを見たい!」という方に向けたオプションも用意できるようになったら良いかなと思っています。

――「DAZN BASEBALL(※野球専用プラン)」はありますが、との違いとして、サッカーに関しては独占なのか、競合がいるのかという点もこれからプランを作る際に影響すると思います。
笹本 DAZNだけで見られるコンテンツ、DAZN以外でも見られるコンテンツがあります。野球に関しては我々が後から仲間入りさせていただくので、その名刺代わりと言いますか、「DAZN BASEBALL」はそのような位置付けで捉えています。

――先ほどの「Moment Booster」や「DAZN BASEBALL」、近年力を入れている「FanZone(※視聴者が参加できるチャット機能)」など、DAZNの中でも様々な見方や楽しみ方がありますね。
笹本 プロダクトに関しては、DAZN Japanがリードしています。日本におけるDAZNの歴史も長くなってきました。日本のユーザーの皆さんはデジタルリテラシー、プロダクトに関する感度が高いと思っています。推し活という日本特有文化もありますし、そういった部分はもっともっとプロダクトに反映させていきたいです。今も日々議論を重ねていて、新たな商品開発や今後ロードマップに乗ってきそうなものは日本起源のものが多いので、楽しみにしていただければと思います。



――Jリーグ、欧州5大リーグ、UEFAチャンピオンズリーグといった主要大会が全てDAZNで視聴できた時代が「忘れられない」というサッカーファンも多いと思います。今後のDAZNに期待しているサッカーファンに向けて、展望をお聞かせいただけますでしょうか。
笹本 サッカーファンの方が「昔は〜」というノスタルジーを感じさせないように、今後もコンテンツを充実させ、努力を続けて参ります。冒頭にも少しお話しましたが、今はOTTのあり方を左右する時期だと思っています。「こんなスポーツの見方もあったのか」「もう少しDAZNを見ようかな」とプロダクトの良さを感じていただけるように、今は作り上げていくフェーズにあります。それができたタイミングでコンテンツを投入していくと、我々の加速度がさらに増していくはずです。何かを決して諦めたわけではなく、順番と組み合わせが重要だと思っています。今後もDAZNに期待していただけるとありがたいです。

――また笹本CEO個人として、今後DAZNでどういったことを成し遂げていきたいですか?
笹本 スポーツを通じて日本を元気にしたい。これがビジョン・ミッションだと思っています。DAZNは英国発の会社ですが、日本にも根付いてきていますので、“和製外資系企業”のように考えています。より多くのスポーツファンの方がDAZNに入っていただけるように。そして日本のスポーツが海外へも受け入れられるように。そういった環境を作っていくこともミッションだと思っています。まだまだ道半ばですが、私の年齢的に(※現在60歳)どこかでバトンタッチする時は来ますが、まだまだ始まったばかりだと思っています。

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