
2024年のある時期のこと。行き場を失った猫が収容される群馬県動物愛護センターでは、たまたまこの時期に「乳飲み子」の猫が立て続けに収容されました。センターの職員さんが、乳飲み子たちに必死にミルクをあげ、その尊い命を繋ぎ続けていました。
しかし、それも限界となり、地元の保護団体・Delacroix Dog Ranchに「乳飲み子の保護はできるか」と相談を持ちかけました。実は各保護団体と連携する預かりボランティアさんの中でも「生まれたばかりの犬猫にミルクをあげることができる」、いわゆる「ミルクボランティアさん」はかなり少ないものです。
団体でもミルクボランティアさんの心当たりは限られていたものの、該当のボランティアさんにセンターからの要請の話をすると「大丈夫です!」という頼もしい返答。そこで団体ではセンターから乳飲み子を引き出すことにし、保護後すぐにミルクボランティアさんに、そのお世話を託しました。
乳飲子たちを見てミルクボラさんが一言。「小さいですね」
複数保護した乳飲子のうちの1匹に、団体メンバーから「チャロアイト」という名前をもらいました。
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団体メンバーはチャロアイトをはじめとした乳飲子たちをクルマに乗せ、ミルクボランティアさんと落ち合う待ち合わせ先まで片道100キロを搬送。そこでお世話をバトンタッチしました。しかし、乳飲子たちと対面したミルクボランティアさんは一言「小さいですね」。
その一言に不安になる団体メンバーでしたが、センターでの細かいミルクと投薬の記録も一緒に渡し、「優しく頼もしいミルクボランティアさんのもとで、スクスク成長して欲しい」と祈りました。
乳飲子のうち1匹は亡くなってしまった
保護した乳飲子のうちの1匹は残念なことに後に亡くなってしまいました。亡くなった乳飲み子も必死に生き抜こうとしていただけに、これは悲しく残念でなりませんでしたが、その子の分も含めてチャロアイトには元気に成長してもらい、必ずや幸せを掴んでもらわなければなりません。
以降、ミルクボランティアさんは睡眠時間を削って献身的にミルクをあげたり、排泄ケアをし続けました。
心ある人たちの想いを受け、幸せな猫生に繋がった
献身的なケアのおかげでチャロアイトは無事にスクスク成長してくれました。成長につれて見せてくれるようになった性格はかなりのおっとりさん。食べるのが大好きで、いっぱい食べたせいでもまん丸のお腹になりました。
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ご飯を食べ終わったら「食べたよ―」と報告をしてくれるように預かりママのお膝に一直線に乗りお膝の上で毛づくろい。
これだけ穏やかな性格の持ち主なら、どんな環境でも間違いなく溶け込めるはず……そう判断した団体では程なくしてチャロアイトの里親募集を開始。後に「うちの家族になって欲しい」という優しい里親希望者さんが現れ、チャロアイトはこの方の家で幸せな猫生を歩んでいくこととなりました。
今はスクスク成長し、温かい家の中でのんびり過ごしているそうです。このような幸せに繋がったのは当初必死にミルクをあげていたセンター職員、団体、ミルクボランティアさんのおかげです。多くの人の気持ちが一つになったからこそ。心ある人たちの想いを受けて、幸せを掴んだチャロアイトの今を想像すると、ほっこりした気持ちになりますね。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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