
30代のAさんには、3歳になる子どもがいます。ある日Aさん家族は、七五三のお祝いも兼ねて、両親と義両親を招いて食事会をしました。すると親や義両親は「2人目は考えているの?」「一人っ子は可哀想だから、2人目を作った方がいいわよ」「やっぱり“一姫二太郎”が理想よね」など、次の子どもを催促するような言葉をAさんに投げかけます。
「両親は日本人なのに…私だけハーフ顔」 54歳で出産した母の“出生の秘密”
Aさんは不妊治療をしてようやく子どもを授かった経緯があり、やっとの思いで生まれてきた子どもの前で次の子のことばかり話す両親や義両親に腹が立ち「2人目は考えていません」とハッキリと言いました。すると両親たちはAさんではなく子どもに「兄妹がいたほうが賑やかでいいわよねぇ」と聞き始める始末です。
せっかくのお祝いなのに最悪の気分になったAさんは、両親や義両親にはもうしばらく会いたくないと思いました。第2子を強く望む両親たちにAさんの考えていることを理解してもらうには、どうしたらいいのでしょうか。コミュニケーションコンサルタントの鮎永麻琴さんに話を聞きました。
一姫二太郎は育てやすさと将来設計を兼ねた「理想像」
ーなぜ親世代の人は「子どもは2人いた方がいい」と考えているのでしょうか
|
|
「一姫二太郎」とは、女の子を最初に、男の子を次に授かるのが理想とされた昔のことわざ。日本では長らくこの考え方が根付いてきました。
・長女はおとなしくて育てやすい(とされていた)
・弟の面倒をよく見る(という期待)
・家を継ぐのは男という家制度の影響
つまり、育てやすさと将来設計を兼ねた「理想像」として、親世代の頭の中に深くインプットされています。だからこそ、善意のつもりで「2人目は?」「一人っ子は可哀想」と何気なく言ってしまうのです。
ー親世代の理解を得るにはどうすればいいでしょうか?
Aさんはこれまでの背景や苦労を、改めて両親や義両親に伝える必要があります。相手も善意で第2子の提案をしてきているので、「傷ついた」「しばらく会いたくない」と黙り込むだけでは、理解は得られません。
|
|
両親たちにAさんの心境を理解してもらうためには、次の3つのポイントを押さえるといいでしょう。
1. 【背景を伝える】
「実はやっと授かった子なの。2人目の話が簡単ではないの…」などAさんの背景を静かに伝えることで、相手の“無意識の押しつけ”に気づかせることができます。
2. 【善意を受け止める】
「心配してくれてありがとう。でも、私たちは今のこの子を精いっぱい大切にしてるの」というように、相手の言葉を“攻撃”ではなく“心配の裏返し”と受け取ることで、会話のトーンは和らぎます。
3. 【価値観の違いを否定しない】
「一姫二太郎という時代もあったよね。でも今は色んな家族の形があるから、私たちなりの形を大事にしたいの」といい、親世代の考えを否定するのではなく「時代の違い」として尊重する姿勢が、軋轢を和らげます。
◆鮎永麻琴(あゆなが・まこと)撫子Plus株式会社代表
大学時代にはプロスノーボーダーとしてW杯に出場し、世界ランキング20位を記録。卒業後は国際線CAとして13年間勤務。現在は、コミュニケーションスキルコンサルタントとして多くの人の悩みに向き合う。2020年にはTEDxFukuokaで「自由への切符」というテーマで登壇。
|
|
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
- まいどなニュース
- まいどなニュース 関連ニュース
- 息子が浪人中、SNSに現れた“マウント系ママ友”「#赤門」「#努力は報われる」…母の胸に去来した“忘れていた悔しさ”
- IQは53 視覚障害の母を支えて育ち、高校で軽度知的障害と診断…バイトではミスだらけ「健常者を目指すのはやめた」青年が俳優として踏み出すまで
- 1歳双子を連れて義実家へ…義父の準備がスゴすぎた!? 嫁もビックリ「孫ラブパワー凄い」「じーじの鑑ですね」
- 「アポなし突然訪問」「合鍵を要求」に妻は限界!? 近くに住む義実家の“過干渉”にどう対処…夫婦カウンセラーが解説
- 「座ってて良いよといわれても…」「動かないと後から愚痴を言われる」 義実家での辛い時間、女性にとっての悩みは?